昨日発表されたS&P/ケース・シラー住宅価格指数は9月に0.3%上昇した。過去1年間では住宅価格は3%上昇している。FTによると住宅価格の上昇は、激しいダメージを受けていたラスベガスやフェニックスなどでも起きている。
あるアナリストは、住宅供給が極めてタイトな中で新規・既存住宅に対する需要が拡大しているので価格上昇は続くだろうという見方を示している。
住宅価格は米国の消費者にとって財布の紐をコントロールする大きな要因だ。住宅価格が上昇すると、担保価値が上昇し住宅ローンを安い金利で借り換えることが可能になるからだ。それにより可処分所得が増える。
ニューヨーク連銀の最近の家計債務に関する調査では、過去3ヶ月に比べて不動産関連以外の家計債務は2.3%上昇した。連銀のシニア・エコノミストは「消費者が緩やかに金融ポジションに自信を回復を取り戻しているので買い控えていたものを買い始めたのではないか」という見方を示している。
また昨日発表された消費者信頼感指数も2008年2月以来の高水準となった。FTはバークレーのエコノミストの「消費者は財政の崖問題に懸念を抱いていないように見える」というコメントを紹介していた。
しかし昨日の米国ダウは89.24ポイント(0.69%)ダウン。幾つかのポジティブなデータは「財政の崖」懸念に引きずられた一日だった。
米国のファンダメンタルは改善しているが、財政健全化に向けて増税や財政支出カットは避けられない状況だ。問題はどの程度の消費抑制圧力になるかという点である。