写真はランタン谷のゴダタベラGhodatabela(標高3,000m程度)から見たランタンリルンⅡ峰。下山時にゴラタベラ付近で偶然イタリア人トレッカーと一緒になり、しばらく雑談をしながら歩いた。
話は次のような展開だった。
「僕はイタリアから来たけれどお前は日本人か?」
「そうだ。僕は初めてのトレッキングだけれどあんたは何回目?」
「僕は8回目だ。学校を作るプロジェクトなどを兼ねてきている。今までアンナプルナやマナスルのトレッキングにも行った」
「マナスルといえば最初に登ったのは日本人だよ」
「そうだ。そうだ。すごかったな」
「いやイタリア人もすごいよ。イタリア人は世界第2の高峰K2に登った。また若くてアルピニズムの真似事をやっていた時、僕はワルテル・ボナティをとっても尊敬していた。」
「君はボナティを知っているのか!すごい。ボナティは昨年82歳で死んだ。」
その後イタリア人トレッカーはコンパニヨーニ達による初登頂にはボナティに対するトリックがあった・・・ボナティこそ偉大なアルピニストだ・・・というようなことを言っていたようだがそこは省略。
K2初登頂の裏には色々とドロドロした話があるが私は詳しくない。だがボナティが示した「正統なアルピニズム」がラインホルト・メスナーを通じてアルピニズムの王道の上に輝いていることは間違いないだろう。
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トレッキング途中に外国人トレッカーと話をかわすことは多い。
そんな時ヒマラヤ探検や遠征に関する歴史にちょっとした知識があると話が弾むことがある、と思った次第だ。
我々はトレッキングコースという現在の空間を歩きながら、時として50年前100年前の偉大なパイオニアの話題に出会うことがある。まさに時空の旅をしているのである。
またエベレストに初登頂したテンジン・ノルゲイと一緒に撮った写真を見せてくれた老トレッカーにもあった。「おお、あのノルゲイか!」というとそのトレッカーは大変喜んでいた。
英雄への賞賛はトレッカー達のなによりの共通語である。