最近最低利回り記録を更新した日本国債。当然価格は最高値圏にある。その国債をショート(空売り)しようという動きがヘッジファンドに出ているとFTは報じる。財政赤字問題などファンダメンタルを考えると、もっと売られて金利が上昇すると見るのが、まともな判断だ。しかし銀行に積み上がった預金を運用する先がないので、銀行は国債を買っている。だから国債利回りが上昇しないというのが日本国債の現状だ。
だがFTによるとヘッジファンドの中には総選挙の結果安倍内閣が発足すると、円安誘導のため外国の国債を購入するといったことが行われ、日本国債が上昇すると読むファンドもある。
私はこの見方は極端だと思うが、原発停止の結果化石燃料輸入増による経常赤字が持続し、円安基調に推移するとインフレ懸念などから金利上昇圧力がかかると判断している。
それがヘッジファンドに短期的に巨額の利益をもたらすほどのものかどうかは分からないが。
ところでFTの記事は興味深い書き出しだった。ヘッジファンドマネージャーの中には「日本で老人用のおむつが幼児用のおむつの数を上回った」ことに着目している人がいるという。経済成長は結局のところ働く人の頭数に比例する。生産人口の減少が続く日本に経済成長が見込めないとすれば、常識的な投資家は成長の源泉を海外に求めて、資金をシフトする。
今まで円高が海外運用のリターンを押さえてきたが、顕著な円安とはいかなくても、為替が中長期的にニュートラルで推移すると判断する人が増えると、円資産を売却して外貨資産を買うという人が増えるだろう。2012年の後半は相場の一つの転換点になる可能性がある。