週末4年ぶりにプレーしたゴルフ。スコアは良いはずはなかったが、当初恐れていたほど滅茶苦茶にもならなかった。その理由ははっきりしている。安全ゴルフに徹したのである。遠くからグリーンオンを狙うとバンカーにハマる可能性の高いところでは、短く安全に花道から・・・という具合に。長年のブランクにより、当然ショットに対する自信はなくなっている。しかし自信がないから、謙虚に安全策を取ることになり、結果としては当初思っていたよりはましなスコアにつながった。
自信過剰が身を滅ぼす危険については、「河童の川流れ」という諺がある。英語にはPride goes before a fall.(プライドは衰退に先行する)という直截な言い方がある。自信過剰に溺れるというのは洋の東西を問わない人間の性なのだろう。
自信過剰に溺れる、といえば先週金曜日から続いていたトルコの大規模なデモについてFTにHubris threatens to humble all-powerful Erdogan(自信過剰は全権力を掌握しているエルド元首相の地位を貶める危険性がある)という記事があった。
10年間政権の座にあり、経済成長を推し進めてきたエルドガン首相。先週のデモの直接の原因はタクシム広場の緑地を取り壊して、モールにするという政府プランに反対するものだったが、その背景にはイスラム色を強めるエルドガン政権に対する世俗派の反発がある。FTによると政権発足時には、反対する少数派の意見にも耳を傾けていたエルドガン首相だが、最近は独裁色が強まってきた、という批判が高まっている。
日本の政治家を見ていても、権力を握る前までは慎重に謙虚な発言をしていた人が、権力の座に座った途端に自信過剰で傲岸な発言をして墓穴を掘る場合がある。
選挙民は「謙虚で自分たちの声を聞いていくれる政治家」を選んだつもりだったが、選ばれた政治家は恐らく自分の考え方全般に負託を得た、と勘違いするのである。ゴルフでの自信過剰は、OBやバンカーでの大叩きで済むが、実社会での自信過剰のツケは大きな代償を伴う場合が多い。古い諺は「口は災いの元」という言葉で、軽々な発言を戒めている。