金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

今月のセミナー、若干聴講枠があります~相続学会

2013年06月10日 | うんちく・小ネタ

今月17日(月曜日)神田駅前のホールで実施する予定の相続学会のセミナー「歳をとるということ」~老化現象とは~」「相続に学ぶ人間学」について若干の空き枠があります。学会員以外のビジターの方も歓迎ですから、ご興味のある方はホームページhttp://www.souzoku-gakkai.jp/をのぞいてください。そしてさらにご興味があればセミナーにお寄りください。

昨今のこの手のセミナーを見ていると、「節税」や「争族争いの回避」をテーマとしたセミナーの人気が高いようです。相続問題をHow to的に攻めている、と私には思われます。だが今本当に必要なことはHow toではなくWhyのアプローチではないでしょうか?

HowとWhyの問題を企業の経営改善のアナロジーで考えると次のようなことが見えてきます。悪い経営改善というのは、Howに終始します。つまり如何にして経費を削減するか?どうすればもっと売れるか?という手段にフォーカスして本質的な問題を考えないのです。だがHowという観点に立つと「なぜ売れない商品を作っているのか?」「なぜそのプロセスが必要なのか?」というより根源的な問題が見えてくるようになります。

HowとWhyを相続問題に適用すると、どのような遺産の残し方をすれば、相続税が少なくて済むか?というようなアプローチを取るのがHowのアプローチです。だがWhyのアプローチを取ると「何故自分は誰それにどれだけの遺産を残そうと考えるのか?」あるいは「何故自分は誰それには法定相続分より多い(あるいは少ない)遺産を残そうとしているのか?」ということがフォーカスされます。無論その後には専門家の知恵を借りながらHowを考える必要がありますが、まずWhyを考えることで、自分の思いを整理し、遺言を受ける相続人の気持ちが見えてくると私は思います。だからWhyをまず考えるべきだ、というのが私の考えなのです。

そのWhyを考えるということは、自分の生き方を含めて「生きるということ」「死ぬということ」を直視することにつながると思います。今回の講演テーマはまさにWhyにつながると私は思い、楽しみにしています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

失業率は下がっても変わらない雇用人口比率

2013年06月10日 | 社会・経済

先週金曜日に発表された米国の失業率と非農業部門雇用者増。座りどころの良い数字(別の見方をすると、市場参加者がそれぞれの思惑で勝手な解釈をしたのかな?)で、米国株は堅調だった。シカゴ先物市場では日経平均が500ポイントほど上昇しているから、今朝の東京市場は大幅上昇が期待される。このように世界の金融市場に大きな影響を与える米国の雇用統計だが、ピューリサーチのメモによると、経済学者は「失業率」より「雇用人口比率」の方を重視しているそうだ。

雇用人口比率とは、就業者数の就業可能年齢者の総数(OECD統計では15~64歳)に占める割合だ。失業率計算で使う「失業者」の定義は、就学・就職していないけれど、仕事を探していない、という人を含まないため、時系列的に見るとブレが大きいが、雇用人口比率はブレが少ない。

ピューによると、リセッション後(2009年9月)の失業率から金曜日に発表された今年5月の失業率は、9.8%から7.6%に下落しているが、雇用人口比率は58.6%でほとんど変化がないということだ。失業率が低下しても、雇用人口比率がほとんど変わらない一つの理由は「仕事を求めていない」人の比率が上昇していることだ。またベビーブーマーの退職者が増えていることも一つの要因だ、と考えられる。就学年齢・退職間際の年齢を排除した25~54歳というコアの就業年齢層で雇用人口比率を計算すると5月の数字は76%だった。改善傾向にはあるものの、リセッション前(2007年1月)の80.3%という数字に較べるとまだ低い。

英語版Wikipediaに出ていたOECD諸国比較によると、2011年の米国の雇用人口比率は、66.6%だった。同年の日本の雇用人口比率は70.3%、OECD諸国の中では高い方だが、上には上があり、トップはスイスの79.3%でノルウェー75.3%、スウェーデン74.1%が続いている。雇用ニーズがあれば、労働力を捻出する余地は充分あるということだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする