5月3日御嶽山スキー登山後、Nさんを木曽福島駅に送った後、車を馬篭宿に向けた。19号(中仙道)は信号が少なく交通量もそれほど多くないので、1時間ほどで馬篭宿に到着。
宿場の入り口にほど近い民宿「白木屋」に名古屋組5名、東京組2名が勢ぞろい。その中の一名は「山には登らないけれど、飯田の別荘に連泊中だが飽きてきたので一晩一緒に飲み明かす」という本当に付き合いの良い方だ。
5月4日(日曜日)白木屋さんは何と5時半に朝食を用意してくれた。普通民宿の朝食は7時ごろだからこれは山屋には助かるサービスだ。白木屋さんの一泊二食の宿泊料は7千円で食事はそれなり以上に良かった、と私は思う。
馬篭から中津川ICに行き恵那山トンネルを超えて園原ICで下車。ここから広河原の登山口に向かう途中の月川温泉は花桃が咲き乱れまことにきれいだ(だがすごい人出で帰路は大渋滞に巻き込まれた)。
広河原登山口の駐車場には数十台の車が既に停まっていた。7時25分登山開始。最初は谷川の左岸の舗装された林道を歩いていく(許可された車以外は進入禁止)。約30分で川にかかる橋を渡った。ここで小休止を取っていた時、ちょっとしたハプニングが発生。それは100mほど先の対岸の斜面をノソノソと歩いていく黒い動物がいるな?カモシカかな?と思ったが何と熊だった。大勢の登山客が入っているルートだがいるところにはいるものである。もっとも広河原登山道は比較的新しく整備された登山道なので熊の方が縄張りを荒らされたと怒っているのかもそれないが。
熊騒動も落ち着いたので8時4分いよいよ本格的な登り開始。このルートは尾根に出るまでの登りが急だ。1時間半ほどカラマツなどの樹林帯を歩いて残雪の残った尾根にでると素晴らしい眺望が待っていた。
正面に見えるのは赤石岳(中央)と聖岳(右)だ。この地点の標高は1,730m時刻は9時半だ。無雪期にこのルートを歩いたことのあるKさん・Sさんは「夏道は尾根の上でなく、北側の林の中なので眺望はなかった」と言っていた。この眺望を楽しむためにも恵那山は残雪期に登る山だ、と断言しても良いだろう。
更に登ると視界はますます広がり、中央アルプス、昨日登った御嶽山はいうまでもなく、穂高連峰も見えてきた。ここから上は一部雪が切れてぬかるんだところもあるが、概ね残雪を踏んで頂上まで登ることができる。
6名の仲間の内、1名がアイゼンを着けたが後の人はツボ足で歩いた。登りはツボ足で問題はないだろう、と私は思う。
11時12分恵那山山頂の標識に到着。
「恵那山山頂の標識」と書いたがその理由は2メートルほど高い「山頂」が北方にあるらしい。その最高点を求めて北に歩いてみたが、頂上との間に4,50メートルの段差がある。つまり真の頂上を求めて一度ピークを降りるとまた登って帰る必要があるのだ。
メンバーの大方がここで良いでしょう、と判断したので昼食。12時12分に標識の前で集合写真を撮ってその後はいよいよ下山だ。
下りの尾根道も気持ちが良い。私以外の人は下りにアイゼンを着けた。私がアイゼンを着けない理由は雪の心をそのままとらえたいからである。柔らかな雪に体重をそのまま預けて、その体重が真っ直ぐ雪に乗っていると雪は必ず受け止めてくれる。しかし少しでもずれていると雪は手厳しくはね飛ばすことがある。
雪はクライマーにとって永遠の教師である。
雪が消えて1時間ほど急斜面を降ると大きな河原にでて、朝渡った橋を渡り返し、恵那山登山は終わった。14時31分駐車場到着。半分以上の車が消えていた。
この夜は私は南木曽の民宿泊まり。翌日の天気が良ければ蘭キャンプ場から南木曽岳を往復する予定である。
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恵那山は良い山だ、と思った。深田百名山の中には頂上からの展望が良くない山が2,3ある。恵那山もその一つだ。しかし頂上は眺望に恵まれていないが、頂上に至る尾根筋には絶景ポイントがいくつかあった。
重ねて言うが恵那山は残雪期に登るのが良い山である。