金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本株に大反発はあるのか?

2014年05月09日 | 金融

今週水曜日(5月7日)に400円以上暴落した日経平均は昨日(5月8日)は130円ほど値を戻したが足取りは弱い。日経平均の下落率は年初来13%で世界の主要株式市場の中でダントツに悪いパフォーマンスだ。「谷深ければ山高し」というが、日本株に大反発はあるのだろうか?

単なる株屋さんの話なら、株を売らんがためのトークに過ぎないが、CNBCがリサーチハウスのCapital Economics等のビューを紹介していたので、少し耳を傾けても良いだろう。

Capital Economicsは水曜日にシンガポールで行われたカンファレンスで「日本株は日銀による追加的な金融緩和の可能性を考慮すれば先行きは明るい」と述べている。同社の予想では日経平均は現在の14,093円(記事の数字を引用)から、2015年3月までに2割上昇して17,000円になると予想し、更に2016年3月までには18,500円に届くのではないか?と期待している。

4月の消費税引き上げの影響や構造改革に対する見通しがはっきりしないことで、投資家の中にはアベノミクスに対する信頼を失いつつある連中がいる。Capital Economicsも同じ懸念を頂きながらも、日銀のさらなる金融緩和策が行われると日本株は上昇すると予想している。同社は大規模な金融緩和が実施されると今年年末までに円は120円(対米ドル)まで下落するだろうと予想する。

問題は日銀が追加緩和を行うかどうかだ。

Capital Economicsのエコノミストは日銀のインフレ見通しは楽観的過ぎるという。日銀はコア消費者物価指数は2014/15で1.3%、2015/16で1.9%上昇すると予想するが、Capitalは「消費税引き上げのインパクトを除くと今年度の物価上昇率は1.1%にとどまる」と述べ、この見解に立つと追加的な金融緩和が必要になると結論付けている。

またCapitalは日本株を上昇させる2番目のファクターは原発の再開だ、と指摘する。

日本株に強気な見通しを持っているのはCapital Economicsだけではない。Rogers Investment AdvisorsのRogers氏も強気の見方をしている。

私見を述べれば恐らく今日本株を売りに回っている人でも「企業業績が好調なこと、賃金が改善していること、消費税引き上げの顕著な悪影響がでていないこと」には同意するだろう。

では何故売りに回るのか?それは恐らく日銀がインフレ率や景気の見通しについて強気の見通しを持っていてすぐに追加的な金融緩和に踏み切らないので日本株はもう少し下落すると判断しているからだ。

年末に決算を迎えるヘッジファンドとしては、日本株が年の半ば頃大幅に下落したところで買い戻し、年末に高くなっていれば利益がでるという目論見もあるのかもしれない。

Rogers氏は大反発をする前に、日本株は更に5-10%下落する可能性があると述べている。というような話を聞くと投資家は買い控えるえるから日銀の金融緩和の声を聞くまで日本株に反発はないということだろうか?

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