一般に「退屈なことは素晴らしい」とは思わないが、昨日(4月30日)に限れば、
For the Fed and the markets, boring is beautifulだったとCNBCのニュースタイトルは告げている。
朝方発表された米国の第一四半期GDP成長率はたった0.1%だった。朝方株価は下げ基調だったが、連銀は予想されていたとおり、毎月の債券購入額を100億ドル減らして450億ドルにするという声明の中で「第一四半期の低い経済成長率は冬の悪天候のため」と明言したので、株式市場は今年後半の経済成長を期待して買い上がった。
ダウは終値で16.580.84と高値を更新した。
さて冒頭で一般に「退屈なことは素晴らしい」とは思わない、と書いたが何故そうなのか?と考えると、人間の脳は「何の刺激もない状態より刺激のある状態つまりリスクを好む傾向がある」という最近の脳科学の研究成果が参考になる。
平たくいうと適度にストレスがかかっている方がやる気がでるように脳はプログラムされている、という。
その理由を私なりに考えるとそれは「困難に挑戦しそれを達成することで快楽物質であるドーパミンがでて、気持ちよくなるという仕組みを人間(および他の生物にも)に神が与えたのは、環境変化に適合していくためだ」ということになる。
だから一般に人は平穏無事より波乱万丈を好む傾向がある(個々人で差はあるが)。
だから投資の世界では、退屈なパッシブ投資よりもアクティブ投資の方が儲かるチャンスが多いと考えてバタバタと動き回ることが多いのである。だが投資の世界では往々にしてパッシブ投資の方が高いパフォーマンスを上げることが多い。
投資の難しさは「リスクを取ることが好き」という脳の本能を押さえて、退屈さに耐えることなのかもしれない。
連銀の金融政策のかじ取りもまた然りで、市場を驚かせず淡々とときに退屈とみえる政策を進めることが大事、ということなのだろう。