昨日(5月27日)まで日経平均株価は9日連続で上昇を続けた。そして今日の予想も上昇だ。米国ではダウ、S&P、ナスダックとも上昇(ダウは121.45ポイント0.67%上昇)。シカゴ日経平均も150ポイントほど上昇しているので、まず今日の日経平均も強くスタートすることは間違いない。今日も日経平均が上昇すると10日連続の上昇となり、これは1988年2月以来約27年ぶりのことだ。
日本株を持っている人にはうれしいニュースなのだが、一方「果たして好調な相場がどこまで続くのか?」という疑問を持ち始めている人も多いはずだ。
脱デフレ期待で日本の公募投信には資金の流入が続き、先月末には過去最高の水準の100兆円規模になっている。手数料稼ぎを目的とする証券会社や銀行にはうれしい話だが、手数料を払う個人投資家側からは目先のパフォーマンスに目をくらまされることなく、長い眼で自分の運用構造を見直すことが必要だ。
昨日(5月27日)の日経新聞朝刊Wednesdayマネー計画に出ていた「急拡大のラップ口座 利点とコスト比べて」は、個人投資家に警鐘を鳴らす記事として良い記事である。
お読みの方も多いと思うが、ポイントを紹介しておこう。
「日本で急拡大中なのが金融機関に一任し、投信で運用するファンドラップ。資産配分の助言をする点が初心者に受けている。ただ総コストは年2~3%かかる。日本の公的年金が見込む世界分散投資の長期期待リターンは年約4%。2~3%のコストを引けば資産の増え方は鈍る」
資産運用のポイントは資産配分にある。たとえていうならば、魚の少ない小さな池であの手この手と工夫をして魚を求めるか、もっと大きな海で豊富な魚を求めるか、ということだ。従来日本の証券会社が推奨してきたやり方は「小さな池型」だ。だから何とかRIETのようなニッチな商品が売れてきた。一方今年に入ってパフォーマンスが相対的に見劣りしているが、米国の一般の投資家が保有してきたのは、インデックス型の株式投信(商品としてはバンガード・トータル・ストックなど)だ。これは「大海型」の商品だ。大海型の運用報酬の低い運用商品をじっくり保有するというのが、米国型の資産形成方法だ。
ところで今米国では、人工知能を使った資産運用が急速に伸びている。ロボット・アドバイザーの大手BettermentとWealthfronには34億ドル(41百億円強)の資金が流入していると聞く。
「人工知能にお金の運用を任せて大丈夫?」と思われる方もいるかもしれないが、私の答えは「大丈夫」だ。なぜかというと、人工知能が決定するのは顧客の運用目的やリスク耐性に基づく資産配分計画だからだ。
資産配分計画は日本でも「効率的フロンティア理論」に基づいて、コンピュータで計算される。それを人手で説明するかどうかの違いがコストに直結する。答が一緒ならコストの低い人工知能アドバイサーを使って良いというのが私の答えだ。
資産運用を長期的に成功させるもう一つのポイントは、当初定めた資産配分を維持することだ。たとえば日本株への資産配分比率を3割なら3割と決めていた場合、株価急上昇により日本株の時価比率が5割に上昇していれば、見直し時期に2割部分を機械的に売却して、時価比率が下がっている資産を購入する。これがリバランスという作業だ。
これも機械的にやるから、ロボットの方が良いということになる。資産配分とリバランスの重要性については少し前に「インフレ時代の人生設計術」という本で詳しく説明した。ご関心のある方は一度のぞいてみてください。
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最近出版した電子本
「海外トレッキングで役に立つ80の英語」
「インフレ時代の人生設計術」 B00UA2T3VK
「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/
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