Red oceanは血を血で洗うような激しい価格競争が行われている既存市場のことだ。
Nikkei Asian Reviewはred oceansというサブタイトルで、関西地区の苛烈な銀行間の競争を紹介していた。
報道によると三井住友銀行とりそな銀行は、3月末までに基本合意に達し、両行が出資する共同持ち株会社の下に三井住友系の関西アーバン銀行とみなと銀行、りそな傘下の近畿大阪銀行をぶら下げる案が有力なようだ。
関西地区の地方銀行は1955年の21行から10行に減少しているが競争は苛烈だ。特に地元で貸出先の少ない和歌山の紀陽銀行、京都銀行、島根の山陰合同銀行などが、泉南地区や兵庫県に進出しているので、競争は一層厳しくなっている。
全国的に見ると昨年4月―12月間で上場地銀の内7割が減益となった。減益は人口減少という構造的要因による部分が大きいが、日銀のゼロ金利政策も打撃を与えている。
またAsian Reviewは「トランプ大統領当選以降米国金利が上昇し(米国債価格は下落)、米国債に投資していた地銀が痛手を被った」ことも指摘している。
ドルをマザー通貨とする米国では金利上昇は銀行の利ザヤ改善ということで、大手銀行株は上昇基調が続いているが、日本の金融機関は痛手を被っている訳だ。
仮に3行が統合すると資産規模は11.6兆円に達し、強力なライバルの京都銀行等を抜き、資金量第6位の銀行が誕生することになる。
しかし資金量が増えただけでは、厳しい競争を生き抜くことはできない。当然人員削減やその他経費の削減が迫られる。これからも血の海Red oceanは続くのである。
ところでRed oceanの反対語はBlue ocean。こちらは競争の少ない新規市場を指す言葉だ。海外に資金運用チャンスを持つメガバンクにとっては海外市場はBlue oceanと言いたいところだろうが、こちらも競争は厳しい。
競争相手は伝統的な銀行とは限らない。フィンテックを掲げる新たな業態との競争もあるからだ。関西の第2地銀統合は今後日本の金融界で起こりそうな統合のプレリュードに過ぎないだろう。