WSJにLiving near your parents could help limit the long-term damage of a layoffという記事がでていた。
「失業による長期的なダメージを緩和するには親の近所に住むのが良いだろう」というクリーブランド連銀の調査結果を報じたものだ。
調査によると両親と同じcensus tract(合衆国国勢調査局が用いる地理的単位で人口4千人程度の近隣地域)に住む25歳~35歳の世代は、失業後6年程度で非失業者と同じ所得水準まで所得が回復していることが分かった。
一方両親と遠く離れて住む失業者は所得水準が回復しないことが明らかになった。
ただしこの調査は「親の家と本人の住む場所の距離」と「失業後の所得回復」の相関関係を示しているが「因果関係」を示したものではない。
何故親の近所に住んでいると失業後の所得回復がうまく行くのか?は今後の研究を待たないと分からないということだ。
推測としてWSJは「親の近所に住んでいると住居面での援助や勇気づけあるいは職探しの上で親の支援が得られるのではないか」と述べている。
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「親の近くに住む」という点での究極の選択は「親と同居する」という方法だ。
アメリカでは成人した子は親元を離れて独立した暮らしを始めると一般的に思われているかもしれないが、金融危機後親と同居する若者(25歳~34歳)が増えていて、2015年時点では若者の39.5%が両親、兄弟姉妹、親戚などと同居している。アメリカで同居率が4割に迫ったのは大恐慌が公式に終わったとされる1940年以降75年ぶりのことだ(1980年代から2000年代前半は3割強で推移していた。
景気後退と親兄弟との同居率の間には直観すると遅行的な相関関係があるのかもしれない。つまり景気が回復してもしばらくは同居率が高止まりするといったような・・・
あるいは今のアメリカの若者世代が何か構造的な変化を感知して親兄弟と同居するあるいは親の近くに住むという自衛的行動をとっているのだろうか・・