金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

失業リスクを緩和するには親の近くに住むと良い~アメリカの話だが

2017年02月28日 | ニュース

WSJにLiving near your parents could help limit the long-term damage of a layoffという記事がでていた。

「失業による長期的なダメージを緩和するには親の近所に住むのが良いだろう」というクリーブランド連銀の調査結果を報じたものだ。

調査によると両親と同じcensus tract(合衆国国勢調査局が用いる地理的単位で人口4千人程度の近隣地域)に住む25歳~35歳の世代は、失業後6年程度で非失業者と同じ所得水準まで所得が回復していることが分かった。

一方両親と遠く離れて住む失業者は所得水準が回復しないことが明らかになった。

ただしこの調査は「親の家と本人の住む場所の距離」と「失業後の所得回復」の相関関係を示しているが「因果関係」を示したものではない。

何故親の近所に住んでいると失業後の所得回復がうまく行くのか?は今後の研究を待たないと分からないということだ。

推測としてWSJは「親の近所に住んでいると住居面での援助や勇気づけあるいは職探しの上で親の支援が得られるのではないか」と述べている。

★   ★   ★

「親の近くに住む」という点での究極の選択は「親と同居する」という方法だ。

アメリカでは成人した子は親元を離れて独立した暮らしを始めると一般的に思われているかもしれないが、金融危機後親と同居する若者(25歳~34歳)が増えていて、2015年時点では若者の39.5%が両親、兄弟姉妹、親戚などと同居している。アメリカで同居率が4割に迫ったのは大恐慌が公式に終わったとされる1940年以降75年ぶりのことだ(1980年代から2000年代前半は3割強で推移していた。

景気後退と親兄弟との同居率の間には直観すると遅行的な相関関係があるのかもしれない。つまり景気が回復してもしばらくは同居率が高止まりするといったような・・・

あるいは今のアメリカの若者世代が何か構造的な変化を感知して親兄弟と同居するあるいは親の近くに住むという自衛的行動をとっているのだろうか・・

 

 

 

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本日(2月28日)のクローズアップ現代+は「相続」

2017年02月28日 | 相続

今日(2月28日)午後10時から放映されるNHKのクローズアップ現代+のテーマは「相続」だ。

当初の予定では1週間前に放映される予定だったが、金正男氏暗殺事件などで1週間延びたらしい。

この番組作成については一般社団法人 日本相続学会として色々協力してきた。学会員の弁護士もスタジオゲストとして登板する予定だ。

なお番組制作者の意図は「相続はお金持ちだけの問題ではなく、遺産額が少ない相続でも争いは発生する。争いを未然に防ぐには遺言や家族信託などの準備が必要」ということを訴えることにあるようだ。

趣旨は大いに結構なのだが、遺言書作成はさておき、ちゃんとした家族信託となると契約書等の作成にかなりお金がかかる(最低でも1~2百万円?)。

遺産額が少ない相続でその費用を負担して家族信託等を準備するかどうか?疑問が残るのも事実。仮に費用を惜しんで専門家に頼まず拙速な信託契約を行うとかえって問題を複雑化させるリスクもある。

紛争の未然防止にはそれなりの知識とコストが必要だということを番組は伝えるだろうか?

期待と多少の懸念を持ちながら放送を見てみたいと思っている。

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