今日(2月24日)の日経新聞朝刊の記事の中で注目したのは「三菱UFJがインターネットバンキングを使って全米で個人向け金融サービスを始める」という記事だ。
キーワードは「米国」「個人」「インターネットバンキング」だ。
三菱UFJは営業純益の35%ほどを海外部門であげている。その中の約半分は米国からのものだ。人口減少やマイナス金利政策で本邦内では収益をあげ難くなっているので、持続的な成長が期待できる米国市場の重要性はますます高まっている
しかし原材料である「ドル預金」の獲得は十分とはいえず、重要な経営課題になっていたはずだ。
米国で企業からドル預金を集めることは容易ではない。そこで目を付けたのが、子会社ユニオンバンクの銀行免許を使ったネットバンキングの展開だ。
その背景には米国ではスマートフォンを使ったモバイルバンキングなどインターネットバンキングが徐々に拡大していることが上げられる。モバイルバンキングと個人金融取引は親和性が極めて高い。
三菱UFJの動きは他のメガバンクを刺激し、他のメガバンクも米国事業を一層強化するだろう。そのため国内のリスクアセットを削減する動きも高まる。たとえば三井住友ファイナンシャルグループが傘下の関西系地銀をりそなに売却する(大雑把な表現だが)のもこの文脈の中にある。
「風が吹けば桶屋が儲かる」の論法でいえば「トランプ政権が米国の経済成長を加速させると、メガバンクの米国事業ウエイトが高まり、地方金融機関の再編が加速する」可能性が高いのである。
そして再編過程でインターネットバンキング等ローコストオペレーションにどれほど真剣に取り組むかで収益構造が変わっていくのである。