旅行する時皆さんはどんな本を持っていきますか?
列車に乗っている時間によりけりだけれど、私はエッセー集が多い。
長い小説は途中で腰を折られることが多いので、短い読み物の方が列車旅には向いている。短い読み物となるとエッセー集が良い。
エッセーの中で私が旅行によく持っていくのが、角田光代さんのエッセー集だ。角田さんのエッセーは大好きだが、角田さんの小説はあまり読んでいない。というか私はフィクションよりノンフィクションの方が好きなのであまり小説は読まない。あまり読まない小説の中で歴史小説はよく読む分野だが、史実に近い(感じがする)中村彰彦さんなどを好んでいる。
ただし中村さんの本はほとんど読んでしまったので、最近の旅の道連れはもっぱら角田さんだ。
角田さんのエッセーは、角田さんの今までの暮らしが適度に開示されていてリアリティが高い。それに身近な材料を仕立て上げる巧みさに引き込まれる。表現や文体が実に自由なことことも魅力だ。
最近山旅の前後に読んだ「今日もごちそうさまでした」というエッセー集の中の「ホワイトアスパラが成し遂げた革命」というエッセーの中に「缶詰に入ったホワイトアスパラガスは、へにょーんくにょーんとしていて、缶臭く・・・存在意義があまりよくわからない感じのものだった」という一文がある。
「へにょーんくにょーん」などいう表現は、男性作家では使わないだろう。大の男がそんな表現を使うと変な奴、と思われるのが、関の山だ。
女性作家だからそして角田さんだからできる自由な表現と多様な文体。一つ一つの話が短く完結しているので、どこから読み始めてもどこで読み終えてもこちらの自由。
小1時間ほど新幹線に乗るような旅には持ってこいの旅の道連れである。
角田さんは毎日自宅から自分の事務所に出勤して原稿を書いているらしい。角田さんがたくさんエッセーを書いて、旅の道連れに不自由しないことを願っている。
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