三菱UFJ銀行の貸金庫からの行員による窃盗事件など金融機関の相次ぐ不祥事がマスコミを賑わしています。
私がかって勤めていた銀行でも、インサイダー取引事件を起こしていましたので、偉そうなことは言えませんがあえて不祥事の背景を考えてみました。
そのシンプルな答がMoralとMoraleの欠如です。この二つの言葉の語源は道徳を意味するラテン語Moralisですが、前者が「道徳や正しい行動基準」を意味し、後者は「集団の士気や個人のモチベーション」を意味しています。
不祥事に関する金融機関トップの会見を見聞きすると「管理体制の強化」などといったMoralに関する話ばかりで、Moraleに関する話はでてきません。
しかし私は金融機関の不祥事の背景には、多くの行員のモチベーションの低下、平たく言うと「業務に対する熱意Enthusiasmの低下」があるのだろうと推測しています。この推測は過去のバブル期やバブル崩壊期を通じて、内外の金融機関で起きた不祥事件をベースにしたものです。
融資や証券投資が活発化する時期において、それらの分野に従事する人々の評価はあがり、報酬面でも優遇されます。一方個人営業担当者等は、リスク商品の販売等に関して大きなノルマを背負わされ、本来の金融機関のあるべき姿である「顧客に寄り添った金融サービスの提供」ができなくなっています。
これが業務に対するEnthusiasmの低下を招いている。つまりMoraleの低下を招いています。
Moraleの低下は、時として人生の目標設定を狂わせ、ギャンブルや過剰な消費行動へののめり込みにつながり、Moralの低下そして犯罪行為へとつながります。
つまり金融機関が不祥事の撲滅を目指すのであれば、役職員が「顧客に寄り添う金融サービスの提供」とそれに対する顧客の評価をやりがいとするようにEnthusiasmから考える必要があると私は考えています。
言うは易く、実践のハードルは高い話ですが。
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