金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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世界経済フォーラムが示す10大リスク

2014年01月17日 | ニュース

USATodayは昨日世界経済フォーラムが発表した2014年の世界の10大リスクを紹介していた。リスクは「経済」「環境」「政治地政学」「社会」「技術」の5分野に分類された。

全世界の700人の専門家があげた今年の最大のリスクは「財政危機」(経済)。先進国の財政が危険な状態にある一方、発展途上国の信用供与も拡大しているので、一国の財政危機が世界的な影響を与える可能性が高まっている。

2番目のリスクは「失業およびアンダーエンプロイメントの問題」だ。アンダーエンプロイメントとは「学歴や職歴に較べて低すぎる仕事に甘んじていること」だ。特に新興国や発展途上国では若者の失業率が50%に達するところがある。

3番目のリスクは「水危機」だ。その原因は世界的な水不足は水資源の管理の失敗ともとより足りない水資源獲得競争の激化だ。

4番目は「所得格差の拡大」だ。これは「社会リスク」と深く関わっている。リーマンショック後の世界的な金融危機で先進国の中間層は大きなダメージを受けた。これは私見だが、中間層というクッションが薄くなったことで、世論のブレ幅が大きくなり社会的な安定性が減っているのではないだろうか?また新興国や発展途上国でも所得の二極化が進んでいる。

5番目は「地球温暖化への対応失敗」だ。最近のニュースを見ていると中国では旧正月で故郷へ向かう車が増えているが大気汚染で視界が悪くなり、高速道路で閉鎖されているところが増えている。また大気汚染の影響は韓国にまで及び始めている。

6番目は「異常気象現象」だ。大規模な洪水、干ばつ、竜巻などの異常気象は世界各地で報じられている。日本の場合はこれに加えて大規模震災リスクがある。

7番目は「世界的なガバナンスの失敗リスク」だ。

8番目が異常気象現象と関係が深い「食糧危機」だ。

9番目は「主要な金融メカニズム/金融機関が破たんする」リスクだ。

そして最後が「拡大する政治と社会の不安定」リスクだ。国家と国民の間で信頼が失われ、国家の崩壊、暴力、地域的な場合によっては世界的な不安定が起こり、軍事的な衝突が起きるリスクがある。

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このリスクアプローチから日本を眺めると、日本もまたこれらのリスクに大きな影響を受ける(あるいはすでに受けている)ことを改めて認識する。「水資源」「食糧危機」「金融メカニズム/金融機関の破たん」リスクは比較的発生確率が高くないと思われるが、中国発の大気汚染、異常気象による世界的な水と食料不足とその奪い合い、食料価格の暴騰などが、所得格差の拡大と相まって政治的不安定さを生み、その結果財政規律が失われて、財政破たんというリスクシナリオを完全に排除することはできないだろう。

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考えてみると経済・技術がグローバル化するということは元々「リスク吸収」と「リスク増幅」の両面を持っている。グローバル化していないと一国で起きたリスクイベントは世界に広がらないが、一国のリスクを深刻化する。一方経済がグローバル化していると一国で食糧危機が起きたとき、他国から食料を輸入することで危機を回避できる。

まずわれわれは世界中がこの「持ちつ持たれつ」の戻ることのできない関係に入っているということを認識して、何ができるかを考えるべきなのだろう。ひょっとするとそのような認識を欠いていることも大きなリスク要因かもしれない。

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