この前ブログの読者の方の「新興国投資の注意点はありますか?」という質問に回答を述べたが、追加で一つコメントを申し上げたい。それは今エマージング市場への投資が急拡大してバブルが発生する懸念が無きにしも非ずという点だ。
サブプライム・ショック以降、新興国の株価上昇が著しい。FTの記事を見ておこう。
l MSCIの新興国株価指数は月曜日に1,174.27と新記録を更新した。これは世界の信用市場が混乱した8月16日以降28%上昇している。因みに同期間に米国のS&P500指数は5.6%上昇したに過ぎない。米国の連銀は政策金利を0.5%切り下げたが、これにより新しい資産バブルが発生しているのではないかという懸念が出ている。
l メリルリンチの新興国株式ストラティジスト・ハートネット氏は1980年代のラテンアメリカ危機、90年代のアジア通貨危機、ロシアのデフォルトの後の金融緩和は日本株バブルとITバブルを引き起こしたと言う。しかし何人かのアナリストは現在新興国市場が繁栄しているのには、ファンダメンタルな理由があると述べる。
l アクション エコノミックス社のアナリスト・コーヘン氏は「最新の情報によると不確実性は高まっているものの、第三四半期のデータは新興国の強い経済成長を示唆している」と言う。新興国にプラスの要因は高い経済成長率に加えて、豊富な外貨準備とコモディティ市場の強さだ。
l EPFRのファンドデータによると、新興国の株式ファンドには4週続けて資金の純流入がプラスで、先週は25億ドルの純増だった。この4週間で今年の資金純増額の6割を占めている。前述のハートネット氏は「現在の新興国市場は極めて大きな買いのチャンスだが、投資家の熱狂が将来の問題を積み上げている可能性はある」と述べている。「バブルは貪欲、レバレッジ(借入)、とんでもない株価算定によって引き起こされる。今のところ新興国市場を通じてそれらを見ていないが、それは行く手にある」
バブルの判定の難しさはバブルが発生し、崩壊するまで分からないことである。しかし株価収益率などを見ていると、ある程度の判定は付く。どうぞバブルにはご注意ください。