金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

もし日本がナンバーワンならば?

2011年08月24日 | 社会・経済

今日(8月24日)ムーディズは日本の格付ワンノッチ引き下げ(Aa3へ)を発表した。こんな日にJapan as No.1の話でもなかろうと思うが、外向専門誌フォーリン・ポリシーにアメリカ戦略研究所のクライド・プレストウィッツ所長のWhat if Janan really is No.1?という寄稿があった。「ジャパンアズナンバーワン」は1979年にエズラ・ヴォーゲルが書いた有名な本だ。この本の後、80年代の日本の躍進があり、やがてバブルで頂点に達した。その後バブルの崩壊とその後始末に追われ、デフレ・低成長の20年が続いている。今ではジャパンアズナンバーワンは遺跡の表札に過ぎないとすら思われる。

だが日本通でありまたジャパンバッシングでも知られたプレストウィッツ氏は、この小文の中で「今日の光景を見ると、(予想に反して)結局のところ、ヴォーゲルは正しくなかったかどうか疑問に思わざるを得ない」と述べている。

今日の光景とは、世界的な債務危機の中で日本円が金やスイスフランと並んで安全資産として買われていることであり、巨額な貿易・経常収支の黒字を貯めていることであり、失業率は米国の半分であり、主要国の中で最長寿国であることだ。

プレストウィッツ氏は、勿論日本は多くの問題を抱えていると指摘する。例えば原発廃止の問題。同氏は日本は原発廃止に向けて動き出し、それは短期的にはコストアップ要因になるけれど、長期的には日本はグリーンエネルギーで世界のリーダーになるかもしれないと言っている。少し持ち上げ過ぎではないか?と思うが、東日本大震災と原発事故で東北地方の工場が止まると、世界のサプライチェーンの歯車が止まったことや、それが比較的速やかに復旧したことを海外から見るとJapan as No.1のイメージが戻ってくるのかもしれない。

この日本への軽い羨望の裏には、米国の中でここ数ヶ月「グローバリゼーション」への信頼が揺らいでいることがあると思われる。90年代のマントラだったグローバリゼーションというのは、米国は製造業を発展途上国に譲っても、付加価値の高い金融とIT産業により繁栄するというドクトリンだったが、これに対する反省が起きている。

プレストウィッツ氏の別のコラムによると、ノーベル経済学賞を受けたマイケル・スペンス氏はフォーリン・ポリシー誌で「1990年以降米国は貿易財・サービスセクターでは雇用増は起きておらず、雇用増があったのは、政府関係の仕事、ヘルスケア分野、建設分野だった」と指摘している。

政府とヘルスケアの人件費は、税と社会保険で賄われ、建築分野の雇用は新規住宅着工などで伸びる。だがこれらの分野への金の流れはすっかり細っている。

だから少々景気が上を向いても、米国では雇用が中々改善しないのだ。雇用回復が喫緊の課題である米国では輸出増とアウトソーシングの見直しが大きなテーマになりつつある。ドル安も米国の輸出競争力を高める方策の一つだ。

グローバリズムの反動で米国の保護主義が台頭するのだろうか?でも万が一にもJapan as No.1などという煽てには二度と乗らないことである。日本は国債の発行残高(GDPに対する比率)という悪いことでも世界一なのだから。

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西暦3500年には日本人も中国人も消滅?

2011年08月23日 | ニュース

エコノミスト誌にEnd of history and the last womanという記事が出ていた。アジア諸国が豊かになるにつれて、女性は「結婚のくびき」よりシングルライフを好むようになる。その結果出生率が低下する。出生率の低下は人口の減少を招く。現在の出生率が続くといつその国の人口はゼロになるのか?という「机上の計算」を国別のグラフにしたものだ。

香港を例にとって計算してみよう。香港の純再生産率(一人の女性が一人の女性を産む割合)は0.547である。仮に100人の女性集団があるとして、この純再生産率が3世代続くと100×(0.547)^7=1.46・・人となり8世代目は存在しないことになる。

実際の香港の女性人口は375万人で同じような計算をすると、25世代で人口は消滅する。香港の出産可能期間を31.4年とすると、31.4年×25=785年。つまり786年後には香港人はいなくなるというのが、エコノミスト誌の計算だ。

無論これは机上の計算に過ぎない。人口が減少すると生活環境が好転し、出生率が改善するのではないか?と考える人が多いのではないか?

それはそれとして、この机上の計算によると日本人も中国人もタイ人もドイツ人も西暦3500年頃にはゼロとなる。

示されたグラフの中で一番長く民族が続いたのはブラジルで西暦5000年まで存続する。

米国はグラフに登場していないが、これは純再生産率が相当高いということだろう。

総人口で10倍の違いがある日本人と中国人が同じ時期に消滅するとは、机上の計算とはいえ面白いと感じた。

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おとなになったら、したいこと

2011年08月22日 | うんちく・小ネタ

「おとなになったら、したいこと」というのは、JR東日本の「おとなの休日倶楽部」の宣伝文句である。吉永小百合さんのポスターにでているキャッチコピーである。「おとなの休日倶楽部」は50歳以上の男女をミドル、65歳以上の男性および60歳以上の女性を「ジパング」会員として、乗車券等を優遇する仕組みだから、「おとな」とは還暦前後を指すことになる。

「還暦になってしたいこと」というと、7,8年前に出版された「ローカル線おいしい旅」(講談社現代新書)の冒頭で、著者の嵐山光三郎さんが還暦をむかえた月夜の晩に書き出してみたと10個のやりたいことをあげていた。

①寝台列車の旅②駅弁再調査③日本の奇祭めぐり④港町の酒場で酔って女にもたれかかる⑤神社お参り⑥海峡見学⑦不良婦人発見⑧ローカル温泉⑨ご利益のある散歩⑩胃がほくそ笑む料理・・・・である。

嵐山さんは「寝台列車に乗って、ガッタンゴットンと余生をすごし、不良ジジイの見本になる」と続けている。

少し時間があったので嵐山さんに習って「おとなになったら、したいこと」をピックアップしてみた(嵐山さん風の切り口に揃えてみた)。

①旬(しゅん)の山旅②山の合間の地元料理や蕎麦③神社などパワースポット参り④山の合間の温泉入浴⑤ワイフとの国内外旅行⑥スポーツジム・サイクリング⑦酒の肴作り⑧原資料からの歴史探訪⑨対等目線の女性との飲み会⑩流水見学

僕の場合、軸は旬つまり季節季節で一番美味しいところを目指した山登りになっている。花の美しい山は花の季節に、山スキーが楽しめる山は雪の季節にである。

山あいには地元料理・蕎麦があり、山里や山の頂上には神社がある。また大抵の麓には温泉がある。また山には沢や滝がある。だから①~④と⑩はほぼワンセットだ。山に登るには体力作りが必要だから⑥もセット。また家を空けすぎるとワイフから不満が出るのでワイフとの旅行も表裏の関係にある。⑦は主に冬場の燻製作りなど。これも山旅のお供である。

女性に関していうと嵐山さんのように港町酒場の女性や不良婦人には興味はない。むしろ年齢に関係なく対等目線の女性とお酒を楽しみたい。山仲間やスキー仲間にこのような女性がいるからこれも広い意味では山旅のセットだ。

「原資料からの歴史探訪」というと大袈裟だが、近代史などをプレーヤー自身の手による日記や随想録で読もうという発想。江戸時代まで射程を伸ばしたいが古典力が追いつかないのが難点だ。

早春に江戸後期の随筆家・鈴木牧之の「北越雪譜」でも読みながら、越後を旅して晴れた日は苗場の神楽峰か平標山をスキー登山し、温泉で清酒・八海山を飲む・・・これが僕の「おとなになったら、したいこと」の一つのモデルだ。ああ、おとなになりたい。

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リビヤ反政府軍、トリポリ主要部をおさえる

2011年08月22日 | ニュース

ニューヨーク・タイムズによると、今日(22日)反政府軍は大きな抵抗も受けず、トリポリに進攻した。市の中心部のグリーン広場では、市民が緑の旗を降ろし、カダフィ大佐のポスターを踏みにじっている。カダフィ大佐の親衛隊はまだ戦闘は終わっていないと発表しているが、米国国務省のスポークスマンは「カダフィ政権の余命はいくばくもない」と発表し、反政府軍に政権交代に備えるよう促した。

40年にわたってリビアを支配したカダフィ政権は終わりに近づいた。金正日はじめ世界の独裁者は背筋を寒くしてこのニュースを見守っているだろう。

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カダフィの二人の息子、反政府軍が逮捕か?

2011年08月22日 | ニュース

CNNの速報(東部時間午後8時、日本では午前9時頃か)によると、リビヤで反政府軍がカダフィ大佐の長男・次男を逮捕したと発表したと。ただしCNNは事実であるかどうか確認できていない。

今朝の日本の新聞では首都攻防が長引く可能性もあると報じられていたが、事態は急速に展開するかもしれない。これ以上無益の血が流れないことを希望するのみである。

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