金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

マイナンバー制度を携帯電話との対比で考えてみました

2015年09月17日 | うんちく・小ネタ

来月から始まるマイナンバー制度。その来月1日で浦安市でシニアの方向けにマイナンバーについて講演を行います。

話す時間は90分間。15分ほど内閣府が公表している「動画」http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/ad/kj_movie/kojin.html

を流す予定にしていますし、10分程度の質問の時間を設ける積りですから、正味の話は60分程度です。

そのためにパワーポイントのスライドを30枚程度用意しました。連休に北アルプスに出かける前に完成する予定でしたが、何とか間に合いましたね。今日の雨のお蔭で。(笑)

後は「シニアの方に分りやすい説明」を考える段階です。そこでちょっと思いついたのが、「マイナンバー制度を携帯電話に例えてみよう」というアイディアです。

マイナンバー(個人番号)は12桁、携帯電話は11桁。携帯電話は1人で1台使っているとすると、携帯電話番号はある個人を特定する番号ということができます(もちろんを携帯電話を所有していない人もいますので、国民的番号とはいえませんが)。

仮に電話番号がなくて「氏名」などの個人情報を電話に入力するシステムになっていた、と考えてみましょう。たとえば「山田太郎」と入力すると「複数の連絡先があります」と端末は答えるはずです。そこで「生年月日」を入れます。候補はグンと絞られるはずですが、なお複数の連絡先がある可能性があります。次に大変手間がかかりますが、住所を入力します。こうすると相手が特定する可能性は極めて高いのですが、逆に「該当先はありません」という回答が返ってくる可能性もあります。山田太郎さんが住所を変更し、それをシステムに届けていない場合です。

つまり携帯電話は携帯電話番号という個人を特定するユニーク(一意に特定する)な番号を利用しないと成立しません。

ところがマイナンバー制度を導入するまでの行政は「氏名」で携帯電話をかけるような作業を行っていたことが多いのですね。

その典型的な例が年金業務です。総ての年金受給権者を一意に特定する基礎番年金号なしに業務を進めた結果5千万件の年金記録が宙に浮き、その後名寄せ作業を行ってもまだ2千万件の記録が宙に浮いているのです。

ところで携帯電話は中に2枚の小さなカードが入っています。1枚は携帯電話番号を記録したSIM(Subsvriber Identity Module Card)でもう1枚は色々な情報を記録しておくSDカードです。

来年1月から希望すれば交付される予定の「マイナンバーカード」の裏のICチップには、このSIMカード部分とSDカード部分があると考えても良いと思います。つまりSIMカード部分は個人番号を記載した部分と「氏名・生年月日」など4情報を記載した必須記載領域で、図書館カードなどとして利用することができる「空き領域」はSDカード部分と大雑把に分けることができるのではないか?と考えています。本当に雑駁な比喩ですが。

携帯電話には電話をかける以外に色々な使い方があります。一例はおサイフケータイ。かざすだけでコンビニなどで買い物ができるので便利な機能ですが、携帯電話を落としたり紛失することを恐れて使わないという人もいると思います。

便利なものにはリスクもある、ということなのでしょうね。便利さを重視するかリスクを重視するかは個人の判断だ、と思います。

しかし大部分の方は一度携帯電話そのものについては一度利用すると中々手放せないと思います。

マイナンバーカードも似たようなところがあるのではないでしょうか?

マイナンバーカードの基本機能は1枚で自分のマイナンバーを証明することができることです。この基本機能に留まっても良いし、図書館カードや健康保険証(まだ決まった訳ではありませんが)に使うなど便利性を求めるのも良いと思います。

ところで携帯電話が出始めた頃、これ程携帯電話を利用した「振り込め詐欺」が横行すると予想した人はいなかったと思います。便利なものは悪用される可能性があるということです。マイナンバー制度も便利な制度のはずですが「詐欺などに悪用される」可能性は否定できません。

それを防ぐには一人一人が「どういう場合にマイナンバーを提示する必要があるのか」「どういう場合はマイナンバーを教える必要がないあるいは教えてはいけない」ということを理解しておく必要があると思います。

ということで少し詳しく「マイナンバー制度」を見ていきたいと思います。

(以上で導入部終わり)

さてこのような説明で聴衆の皆様の理解が得られるかどうか・・・それはやってみないと分りません。(笑)

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【イディオム】take a pass CPI下落で金利引上げ予想困難に

2015年09月17日 | ライフプランニングファイル

昨日(9月16日)FOMCの最中、米国株は薄商いの中、上昇した。ダウは140.10ポイント0.84%、S&P500 は17.220.87%の上昇。株価上昇を牽引したのは、原油価格上昇に伴いエネルギーセクターが上昇したことだ。

加えて商務省が発表した消費者物価指数が前月比0.1%下落したことで、連銀が金利引上げ時期を12月にずらすのではないか?という見方が広がっていることが伺える。

WSJはTD EconomicsのエコノミストのWe expect the Fed to take a pass on hiking tomorrow.という顧客向けレポートを紹介していた。

Take a passは「見送る」というイディオムで、全体としては「(インフレ懸念が視界に入らないので)、我々は連銀は明日(9月17日)金利引上げを見送ると予想する」という趣旨だ。 

連銀首脳はかねてから「まず我々は物価上昇率が2%のターゲットに向かっているということを確信したい。低い物価上昇率は経済が弱いことの兆候であり、早過ぎる金利引上げは景気拡大を阻害するリスクがある」と述べている。

物価上昇の重荷になっているのはエネルギー価格だ。ガソリン価格は過去1年間で23%下落している。このため物価全体では過去1年間の上昇率はわずかに0.2%だった。ただし食品・エネルギーを除くコアCPIは1.8%上昇した。

また昨日労働省が発表したインフレ調整後の週給に関する統計では、8月の週給は時間給のアップと勤務時間が増えたこと双方の要因で0.7%アップした。時給の上昇率は0.5%で今年1月以降最大の上げ幅となり、労働需給がタイトなことをうかがわせる。

FOMCが9月の金利上昇に動くかどうかは証券会社の間でも意見は分かれている。結果はどうかるか分らないが、金利引上げを行うにしろ見送るにしろ、今回は明確な理由付けが必要なことは間違いなさそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「シニア大樂」で話し方を学びました

2015年09月16日 | うんちく・小ネタ

昨日の午後はNPO法人「シニア大樂」で「円満な相続を進めるポイント」という講演をしてきました。昨日のイベントは「楽しい講演と落語」というテーマの公開講座で7-80名のシニアの方が参加していました。

講演は「ドイツ人の合理的ケチケチライフ」「きらわれない話し方 明るい会話で生き生きと」「円満な相続を進めるポイント」そして最後が落語協会真打の三遊亭圓王師匠の古典落語です。

私以外の人の演題は「楽しい」ものですが、相続などというテーマはあまり楽しいものではありません。

私の前にお話された平川仁美さん(話し方一級講師)は「嫌われる話の一つは専門用語をポンポン出すような話し方」と言われたのですが、相続の話となると法律用語で話をせざるを得ませんから、聴講の方には嫌われたかもしれません。(笑)

さて三遊亭圓王師匠の落語。演題は「鼓が滝」。

粗筋は摂津の国の有名は「鼓が滝」に行った西行が「伝え聞く鼓が滝にきてみれば沢辺に咲きしタンポポの花」と歌を読む。

日が暮れて道に迷った西行は1軒の農家に一夜の宿を求める。そこで晩飯をご馳走になったお礼に翁の求めに応じ、前述の歌を披露する。しかし翁・媼とその孫が西行の歌を「音に聞く鼓が滝を打ち見れば川辺に咲きし白百合の花」と手直しする。

直された歌の良さに驚いた西行が3人の身分を聞くと3人は自分たちは和歌三神(住吉明神・人丸明神。玉津島明神)の化身だと身分を明かし、西行の歌に対する慢心を戒めた・・・というものです。

この話を膨らませて圓王師匠は約30分の話にしました。師匠は「プロの噺家というものは、同じを話を短くやれ、といわれると幾らでも短くすることができますし、長くしろ、といわれると長くすることができます」と言いました。素人の噺家さんは筋を覚えるのが精一杯で、このような調整はできないそうです。

プロの芸は奥が深いと改めて感心しました。

私も時々講演をするのですが、同じテーマでも聴衆の方の反応や与えられた時間を考えながら、話の流れを変えたり、雑談を入れるなどの工夫を凝らすようにしています。学会のセミナーのように「このテーマの話を聞こう」と聴衆の方が決めている時は話がしやすいのですが、昨日のように色々な講演が混じっている時は、総ての聴衆の方が私の話を目当てに来られている訳ではありませんから、気を使いますね。

「人を引き付ける話をする」というのは、学び続けるテーマの一つですね。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

FOMC前に米株上昇

2015年09月16日 | ライフプランニングファイル

今世界の市場関係者がもっとも注目しているFOMC(連邦公開市場委員会)ミーティングを前に昨日の米国株市場は大きく上昇した。ダウは228.89(1.4%)、S&P500は25.06(1.28%)の上昇だった。

株価を押し上げたのは、商務省が発表した小売売上高が堅調だったことだ。8月の小売売上高は市場予想の0.3%に届かなかない0.2%だったが、ガソリンなどを除いたコア小売売上高は0.4%上昇。このことは中国発の世界的な株安にも関わらず米国の景気が堅調なことを示したと市場が解釈したことを意味する。

今日・明日2日にわたるFOMCで連銀が政策金利の引き上げに踏み切るかどうかは分らないが、ロイターによると金利先物は9月に金利引上げを行うと予想する比率は月曜時点の23%から4%上昇して27%になった。

8月時点では80%強のエコノミストは連銀は9月のFOMCで政策金利を引き上げると判断していた。理由は失業率は完全雇用に近い水準に低下し、景気は堅調だったからだ。今月の経済指標は米国の景気が引き続き堅調なことを示しているから、国内事情だけを見ると金利引上げ環境は整っているといえる。問題は政策金利の引き上げで、世界の経済と株価に悪影響を与えることを連銀が懸念しているところにある。

要は連銀は悪者になりたくないのである。

ただし連銀が今月政策金利の引き上げを見送ったすると、市場に不確実性が残り、方向感が定まらず、ボラティリティが高止まりする可能性があるということだ。金利引上げを見送っても悪者になる可能性があるというので、連銀の判断は難しいところだ。

米国株が買われた株価下落でバリュエーションから見て値ごろ感がでたこともある。予想利益ベースで見て、S&P500のPERは、過去15年間の平均15.6を下回る15.4倍になった。

★   ★   ★

昨日元の会社の仲間のUさんと飯田橋で軽く飲んだ時、株の話になった。短期的にみると株価は金利動向や一部の投機家のspeculativeな動きに左右されることが多い。FOMCが金利引上げを決めると不透明感が一つ消えた、ということで一時的に株価は上昇する可能性もあるだろう。

しかし中期的には株価に影響を与えるのは企業収益(予想)である。中国の景気減速はやはりじわりじわりと効いてくる可能性は高いと私は見ている。

もう少し投資の時間軸を広げて考えると、産業構造の変化が株価にドラマチックな影響を及ぼす可能性もあると私は考えている。例えば「人工知能」を中心としたIT分野には非常に伸びしろがあると思っている。

具体例は自動車の自動運転部門だ。また日本では今話題になっている「マイナンバー制度」も大きなビジネスチャンスを持っていると考えられる。「マイナンバー制度」が理想的な形(情報漏えいリスクを回避しながら、多くの国民が利用しやすい形で運用される場合)で運用されるならば、行政・民間事業者・消費者の手間暇とコストは大幅に削減される。

削減される側(たとえば「先生」と呼ばれる士業の仕事の中のclericalな部分)にとっては脅威だろうが、国民経済全体からはプラスであることは間違いない。高齢者にとって使いやすい情報端末の普及も課題だろう。現在はPC・タブレット・スマートフォンに大別される情報端末の境界線があいまいになり、もっと設定等が簡単でかつ入力がしやすいデイバイスが普及するのではないだろうか?などと考えている。

そしてそのような市場を制するのは、世界規模の企業であることは間違いない。投資の時間軸とともに、地平線を広げて考えてみたいと思う。資産運用の期間を長寿化に合わせて、10年20年単位で考えるのであれば、の話だが。

★   ★   ★

最近出版した電子本

「海外トレッキングで役に立つ80の英語」

「インフレ時代の人生設計術」 B00UA2T3VK

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋山の準備はLayering(重ね着)から

2015年09月15日 | 

ブログの読者の方の中には「金融そして時々山」と言いながら、最近は山の話題が少ないと思われる方もいると思います。でも1週間ほどお待ちください。今週末は北アルプスの一番深いところを歩いてくる予定です。週間天気予報では、天気は良さそうですから、きれいな写真を撮ることができると思います。

予定しているルートは、大町温泉郷から高瀬ダム経由で烏帽子岳に登り、野口五郎岳を経て、鷲羽岳に登り、黒部五郎岳を経て、飛越新道を降り、平湯に出るというもの。山中3泊の縦走で毎日結構歩くことになるはずです。縦走に重いカメラを持って行くのは、少々辛いのですが、想像される絶景を思うとOlympusの一眼OMDを持って行かざるを得ません。

その分他の装備、特に衣料関係は極力軽くすることにしました。軽くするといっても、この時期標高3千メートル近い稜線の最低気温は5度前後になると思いますので、ある程度の防寒装備は必要です。また体が下界の夏の暑さモードなので、気温以下に寒く感じると思います。

一方初日は標高1,300mから烏帽子岳2,628mまで一気に登ります。「ブナ立尾根」コースで北アルプス3大急登の一つです。ここでは汗をたっぷりかきそうです。

暑さと寒さが同居する秋山では、小まめな体温調節がポイントになります。また好天が予想されるとはいえ、降水確率も20%程度あると予想されていますので、雨具や撥水性のアウターは必携です。

これらの問題を解決するのが、Layering(重ね着)です。

今回の上衣は基本的に写真の3層構造にしました。Base layerと呼ばれる肌着①は、ポリエステル100%の長袖。モンベルで「ウイックロン」という商品名で売られています。「通気性と保温性を両立させ、汗冷えから体を守る」というのがうたい文句です。

中間のLayer②は断熱層Insulation Layerと呼ばれます。これには裏起毛があり、撥水性の高いナイロン素材を選びました。ソフトシェルというカテゴリーの商品で商品名はモンベルのクリマプロです。モンベルは数種類のソフトシェルを販売していますが、違いは良く分かりません。

アウター③は軽量の雨具にしました。私は夏用・積雪期用(インナー付)2種類の雨具を持っていますが、軽い方の夏用を選択。ソフトシェルとの組み合わせで氷雨が降っても凌げるとの判断です。

 ブログを書いている内に山への思いが募ってきました。昨年は黒部源流の赤木沢を登り、北ノ股岳から太郎小屋を経て折立に降りました。今回は一部このルートをたどります。

赤木岳から北ノ股岳につながる広々とした尾根や黒部から吹き上げる風にそよぐ草紅葉を思うと胸が熱くなります。赤木岳から折立の道は長くうんざりしたことを思い出すのですが、辛いことより楽しかったことの方が印象は強いですね。だからまた山に行きたくなるのでしょうね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする