金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

【イディオム】Explain away 米株急騰するもまだまだ視界不良

2015年09月09日 | 英語・経済

昨日(9月8日)は4連休明けの上海市場の株価が3%近く上昇したことなどを好感し、大幅上昇した。ダウは390.30ポイント(2.42%)上昇、S&P500 は48.19ポイント(2.51%)上昇した。

しかしこれで株価が底を付けたという見方は少なく、まだ先行きを懸念する声が強い。

USA Todayは「株価を懸念する3つの理由」をあげていた。

The destruction has left serious marks the bulls still cannot explain away.

Explain away は「うまく釈明する。言い抜ける」というイディオム。文章全体では「市場の崩壊は強気論者がうまく釈明することができない深刻な傷跡を残している」という意味だ。

さて3つの理由とは

【ダウがまだコレクション領域にある】

コレクション(調整)とは、直近の最高値から10%以上株価が下落した状態をさす。昨日急騰したとはいえ、ダウはまだコレクション領域を抜け出していない。

【S&P500は200日移動平均線より下にある】

S&P500とナスダックは、コレクション領域から抜け出したが、S&P500の株価はまだ200日移動平均線以下だ。200日移動平均線は過去1年間の株式の平均取得価格を意味する。つまり現在の株価が移動平均線以下であるということは、含み損を抱えている人が多いことを示し、株価が移動平均線を越えてくると「戻り売り」が出ることを示唆している。

【米国株式市場以外に問題が山積み】

米国株の下落は年初来2%半ばの下落まで戻してきたが、日経平均は10%下落している(今日は大幅反発するだろうが)。

米国の新規住宅価格は5.3%下落し、コモディティ価格は14.5%下落している。

私はやがて米国株は反発すると見ているが、まずは来週のFOMCの結果を見たいと考えている。

もっとも相場には「まだはもう」という格言がある。相場の底を見つけることは難しい。

★    ★    ★

最近出版した電子本

「海外トレッキングで役に立つ80の英語」

「インフレ時代の人生設計術」 B00UA2T3VK

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

 

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私の生涯学習論(10)~愚者は平均に惑い、賢者は自分に学ぶ

2015年09月08日 | ライフプランニングファイル

昨日(9月7日)は久しぶりに銀行時代の「証券畑」の連中と丸の内のビヤホールで飲みました。

「証券畑」の連中ですから、個人の資産運用に熱心な余り突っ込み過ぎて、この急落相場にボヤキが出るのか?と思っていたらそうでもなく、皆さん割りと余裕綽々(しゃくしゃく)でした。「Sさん(私のこと)も本に書いているでしょ。現在の資産運用は長期的に見て年4%程度で回れば恩の字です。株価はこれまで急速に上昇してきたので、調整局面ですね。」とUさん。それだけ覚めた見方ができていれば問題はないでしょう。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という趣旨のことを述べたのは、ビスマルクですが、「証券畑」の方々も、相場の歴史を学んで賢者になられたのでしょう。

昨夜一緒に飲んだ仲間は60歳という節目を向かえた、あるいはまもなく節目を迎えると連中が多く、勢い「老後の楽しみ方」などという話が中心になりました。大学時代にマンドリンをやっていたUさんは最近チェロを買い、レッスンに通い始めたとのこと。

また60歳を迎えてシニア職に就き、時間的な余裕が出てきたFさんは「絵を描いてみようかな」と言う。「Sさんは何か楽器をやるのですか?山に行った時オカリナなんか吹くと楽しいと思いますよ」とUさんが話を振ってきた。実は以前からオカリナをやってみようかな?と考えていたので良いところを突いてきます。ただし私は音感が悪く、ちゃんと吹けるようになるか不安なのでまだ踏み切っていないのですが・・・

さて今日の日経新聞電子版に「長生きの自由時間は膨大 楽しむにはお金がいる」という記事がでていました。

記事によると22歳から65歳までの自由時間は概算10万9005時間。計算根拠は平日は3時間の自由時間、年間120日の土日・祝日は15時間の自由時間としてその合計です(計算するとそうなりました)

一方セカンドライフは「毎日が自由時間」ですから、毎日の自由時間は15時間。65歳から19年間生きるとして15時間×365日×19年=10万4025時間になります。19年は男性の平均余命ですから、65歳までの自由時間と65歳以降の自由時間はほぼ一緒ということになります。

この記事の筆者の山崎俊輔消費生活アドバイザーは「時間がどんなにたくさんあっても、その自由な時間をエンジョイするお金がなければ、何もせずじっとするしかありません。それではバラ色の老後とはいえません。自由時間がたくさん、ということは趣味に使うお金もたくさんいるのです。」といい、だから「若い時からお金を貯めておきましょう」とアドバイスしています。

お説ごもっともだと思います。

でも覆水盆に返らず、夏の間歌を謡って気楽に過ごしていたキリギリスは厳しい冬を迎えます。

若い人はアリになってコツコツと老後の趣味生活のためにお金を貯めることもできるのですが、冬の食糧不足を知らずに

遊んでいたキリギリスはどうすれば良いのでしょうか?

一つは「自由時間があるから何かをするためにお金を使う」ことになるのですから、自由時間を減らせば良い訳です。一番良いのは働ける間は働くことです。ただしこれは働く機会・場所の問題がありますから、必ずしも万人向けではないかもしれません。

次にボランティアを考えてみましょう。できればお給料は貰えなくても、食事代位出るボランティアを見つけたいですね。

またDIYを実践するのも良いと思います。DIYは家具を作ったり、家の小修理をするだけではなりません。今までお金を払って人にやって貰っていた行政手続きなども全部自分でやってみるのです。そうすれば世の中の仕組みも分るし、経費を削減することもできます。家事に取り組むのも良いと思います。時には手間暇をかけて料理に取り組むのも良いでしょう。

これらのことをやると一日の自由時間はあっという間に減少します。減少するから自由時間を恐れることはなくなります。

若い時から「セカンドライフに備える」ことは良いことですが、備え不十分でもある程度リカバリーショットを打つことは可能だと私は考えています。また若い時に遊んで身につけた知恵は役に立つこともあります。若い時の遊びは無駄にはなりません。

大切なことは「他人を見ない。平均を気にしない」ことです。特に老後の平均支出などというものは余り参考にはなりませんから気にしない方が良い。我々は平均的な生活を生きているのではなく、自分の生活を生きているのです。だから平均を学ぶ時間があれば、自分を棚卸して、自分を見つめ、何をするのか・しないのかを見つめた方が良いと私は思っています。

「愚者は平均に惑い、賢者は自己に学ぶ」のです。生涯学習とは自己を学ぶことなのです。そして自己を学ぶことは、一番有意義でかつ安上りな自由時間の使い方でしょう。老後の自由時間、恐れる足らずです。

 

 

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「相続問題が新聞記事になり難い」理由~中日新聞記者の話から

2015年09月06日 | 相続

先週金曜日(9月4日)一般社団法人 日本相続学会のセミナーで中日新聞の白井記者の「新聞記者から見た相続問題」をいう講演を聞いた。

白井記者からは冒頭で「相続問題は新聞記事になり難い」という話があった。

「記事になり難い」理由として同記者は次のことをあげていた。

  • 相続問題は生活部記者が書くことが多いが、生活部は介護・医療・家計等の部門別担当制になっているが、相続問題の担当記者はいない。
  • 記者クラブ所属の記者は、自治体や大企業の発表資料をもとにして、記事を書くことが多いが、相続問題を扱う記者クラブはない。
  • 相続トラブルの実例を生々しく描写できればいいが、実例をなかなか見つけることができない。

なお白井記者は約1年前から中日新聞で「よーく考えよう相続」というシリーズ記事を書いたところ、「肉親などへの憎しみにあふれた相続トラブルを綿々と訴える手紙」が何通も来るという意外な反響があった、と述べていた。

まずどのような話題が新聞記事やブログなどで人気を博するか?ということを考えてみた。

【出来事・事件の異常性】

「犬が人を噛んでもニュースにはならないが人が犬を噛んだらニュースになる」という諺がある。人が犬を噛むということは異常だからニュースになるのだ。しかし犬が人を噛み殺したら、ニュースになるだろう。それは異常なことだからだ。

単なる夫婦喧嘩では新聞記事にはならない。しかし夫婦喧嘩の結果殺人事件にまで発展すると記事になる。もっとも理由は何であれ殺人事件は記事になる。それは異常なことだからだ。

【有名人・著名人の出来事】

一般人の夫婦喧嘩や離婚の話はそれだけでは記事にならない。しかし話が有名人・著名人になると記事になる。相続争いも然りだ。これは一般人の中に有名人・著名人に対する潜在的な「やっかみ」があり、有名人・著名人が不幸な目に遭ったニュースを見ることで溜飲を下げるからである。

【悪者がはっきりしている話】

加害者・被害者がはっきりしている話は、話題に取り上げやすい。特に国や大企業等が加害者=悪者になっている(と思われる)場合は話題に取り上げやすい。良く言えば読者の正義感を鼓舞するといえるし、下世話にいうと、読者の溜飲を下げる効果があるからだ。

【シロクロがはっきりして、誰でもそれなりの意見が言える話】

複雑な経済問題や制度問題には、シロクロがはっきりしないものが多い。また何かを述べようと思うと、かなり勉強しないと意見を述べることができない案件もある。しかしこのような話題は長続きする記事にはならない。読者が飽きてしまうからだ。

以上のような切り口から見ると「相続が記事になり難い」ことが一層良く分るはずだ。

相続争いは増加しているが、殺人事件にまで発展するケースはあまり聞かない。つまり異常性が乏しい。

相続争いは、世間一般の争い事同様、必ずしも「悪者」がはっきりしていると言えない場合が多い。むしろ双方に相応の言い分がある場合が多いと考えてよいだろう。

相続争いで是非を判断するには、判例等に関するそれなりの知識が必要だ。だから誰でもが思いつきで意見を述べる訳にはいかない。

ということで「相続争い」は記事になり難いのだが、「相続税」問題は時々記事になったり、スポンサー付の特集が組まれることが多い。これは「相続税」問題が、スポンサーである銀行・証券・生命保険会社・不動産会社等にとってビジネスチャンスの切り口になるからだ。

相続により1年間に動く財産額は50兆円程度と推測される。仮に1件の相続財産を5千万円として、年間百万人の人が死亡する(実際はもう少し多い)とすれば、50兆円になるからこれは現実的な数字だ。50兆円という市場は巨大だから、金融機関は争ってセミナーを行い、囲い込みを図る。

そこで対象となるのは富裕層だ。手間暇を考えると一件あたりの相続財産が大きい顧客を囲い込む方が良いに決まっている。そして囲い込んだ顧客には、相続税対策や遺言書などによる相続争い回避策が伝授されるという仕組みだ。

だから「相続争いは富裕層よりもそれ以下の層で起こりやすい」という見方もある程度説得力がある。

ところで、公平な見方をすれば、「相続争い」は社会的にみて、どれほど重要な問題なのだろうか?

相続争いによる調停件数は年間約1万5千件だ。

これに較べて年間の自殺者の数は低下傾向にあるとはいえ、年間3万人弱。世界的にみて日本は自殺率の高い国だ。

警察が受理する年間の行方不明者数は8万人を超える。

人の命に関わるクリティカルな問題に較べると、滅多に命まで取られることはない相続争い問題は「記事になり難い」のかもしれないと思う。

では多くのマスコミが自殺や行方不明者の問題をどれ程真剣に取り上げているか?というとこれまた問題かもしれない。

もし自殺や行方不明が「日常的な出来事」とになり、ニュース性を失ったとすれば、それは中々恐ろしい問題だと思うのだが・・・

 

 

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犬山でサルを撮る

2015年09月06日 | ライフプランニングファイル

一昨日(9月4日)犬山のモンキーセンターに出かけた。11月に一般社団法人 日本相続学会の研究大会を同センターで実施するのでその下見である。既に研究大会の実行部隊である名古屋支部が下見・打ち合わせを行っているので、若干物見遊山的な面はあるのだが(笑)。

モンキーセンターには、名鉄犬山駅からバスに乗り、モンキーパークで下車する。進行方向に向かって左側が「モンキーパーク」で右側が目指す「モンキーセンター」だ。モンキーパークにはプール等の遊園施設があり、夏も盛況だが、お猿さんしかいない「モンキーセンター」の夏は閑散期です、とセンター管理者はいう。

なお犬山駅からはタクシーでもワンメーターの距離だ。

センター内は研究教育室長の高野室長(理学博士)に案内して貰った。

「モンキーセンターは初めてですか?」と高野氏。「初めてだ、と思います。近くの明治村には2度ほど来たことはあるのですが。」と答える。「犬山城には来られたことがありますか?」と高野氏。「一度あります」と私。

高野さんは「モンキーセンターはこのあたりで犬山城についで古い施設です。明治村は50年ですが、モンキーセンターは60歳になります」という。

さてモンキーセンターではまずリスザルを見学。

 

動物写真は眼に焦点が合うことがポイントなのだが、リスザルの眼をとらえることは難しい。

次にワオキツネザル。

こちらもソッポを向いている。

良い写真を撮るには、こちらも地面に這いつくばる必要があるのだろうが、高野さんの前でいきなり寝っ転がる訳にも行かないので、今回は良い写真を撮ることは断念した。

次にゴリラやチンパンジーのいるエリアへ移動。ゴリラは檻の中なので気に行った写真は撮れず。

チンパンジーはちょっとお疲れの様子。

高野さんによると、しかし、チンパンジーは獰猛で野生のチンパンジーはゴリラよりも危険ということだ。

「ゴリラなら投げ飛ばされる位ですみますが、チンパンジーには噛み殺される危険があります」

「噛み殺すといえば、最近日本猿が雷鳥のヒナを食べるというニュースがでていましね。サルは肉食もするのですか?」

「一部のサルは肉食もしますが、肉食の割合は少ないですね。一番肉を食べるサルはホモ・サピエンスです」と高野さん。

高野さんによると、ワオキツネザルなど一部のサルの体脂肪率は数パーセントと低く、水に浮かないそうだ。だから泳ぐことができない。ワオキツネザルの生息地域は水堀で囲まれていて柵はなかった。柵がなくてもワオキツネザルは逃げることができないのだ。

サルは進化とともに、好戦的になり、ホモ・サピエンスでその頂点に達したのかもしれない、などと考えながら、モンキーセンターを後にした。

 

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財務省(相)の常識は世間の非常識~消費税の還付提案

2015年09月06日 | ニュース

今日(9月6日)の読売新聞トップは、麻生財務相が「軽減税率は面倒くさい」と与党合意に反する意見を述べたことだ。

麻生氏の意見は財務相の原案を支持するもので、財務相案は「食料品を含め一律消費税を10%に引き上げ、後から食品について2%相当分を還付する」というものだ。

正確な還付を行うためには、最低2つの仕組みが必要だ。

まず消費者が今年10月から実施される個人番号をカード化した「マイナンバーカード」(来年1月から申請者に交付される予定)を用意しておく必要がある。「マイナンバーカード」の申請・取得は任意とされているが、食品購入に関する消費税軽減が還付型になるとすると、事実上「マイナンバーカード」の取得・携帯は必須となるだろう。

財務省は「マイナンバーカード」の取得率100%を目指して、還付型提案を行ったのだろうが、「マイナンバーカード」については現段階で幾つか問題があることを考えねばならない。

まず今年10月段階で、個人番号が全国民に正しく通知されるかどうかという問題だ。個人番号は「住民票に記載された住所」に簡易書留で郵送されるが、幾つかの理由で住民票に記載された住所に住んでいない人がいる、という事実がある。ドメスティック・バイオレンスからの逃避などがその理由に挙げられる。まず個人番号の通知率がどれ位になるか?ということは重要なポイントだ。

次に個人番号が通知されたとしても、「マイナンバーカード」を申請・取得する人がどれ位いるか?という点について現時点では不明ということだ。「マイナンバーカード」は便利な仕組みだが、セキュリティに関する懸念から当初は取得を躊躇する人もいると考えらえる。

次に小売業者に関していうと、「マイナンバーカード」リーダーをそろえる必要があり、そのリーダーをマイナンバーとその番号で購入された食品・金額を紐付けされたデータを国税局に転送するネットワーク(当然現在はないが)に接続するがある。

これは中小の小売店には大きな負担となることは間違いない。

ところで最近は高齢者でも、食品・日用品を運搬負担の軽減からインターネットで注文する人が増えているが、仮に消費税軽減が還付型になるとすれば、インターネットで購入する場合の「マイナンバー」確認はどうなるのだろうか?

仮にその都度ICカードリーダーを使った認証が必要だということになると、インターネット利用は不便だ、と敬遠される可能性がある。

一方一度マイナンバー確認を行けば、その都度確認は不要という仕組みになると、インターネット利用は便利だ、ということになり、消費者行動に変化がおきるかもしれない。

また食品をインターネットで販売する側にも、厳密なマイナンバー管理が求められるので、その負担も大きいはずだ。

以上のようなことをざっと相続するだけでも、「マイナンバー利用による消費税の還付」が「軽減税率の導入」より面倒くさくないとは

考えられるない。

食品の軽減税率は欧米諸国がほぼどこでも導入している制度である。器用な日本人が導入できない訳がない。

「軽減税率はめんどうくさい」という言葉は詭弁以外のなにものでなく、その背景には別の意図がある、と言わざるを得ない。

それが「そもそも軽減税率に反対」なのか「マイナンバーカードの普及促進」なのかあるいは別の何かなのかはちょっと見えないが。今のところ。

 

 

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