昨日(10月6日)消費者庁はマイナンバー詐欺で関東在住の70代女性が現金数百万円をだまし取られたと発表した。
発表によると、公的な相談窓口を名乗る者から女性にニセのマイナンバーを告げる電話があり、その後、別の男性から「公的機関に寄付をしたいのでマイナンバーを貸して欲しい」という電話があり、女性はマイナンバーを教えた。翌日、寄付を受けた機関機関を名乗る者から「マイナンバーを教えたことは犯罪に当たる。記録を改ざんするから」と金銭を要求され郵送と手渡しで現金を渡したというものだった。
私はマイナンバー制度実施により個人情報が漏えいするリスクよりも、マインアンバー詐欺で金銭をだまし取られるリスクの方が大きいと思っていたし、そのことはシニア層向けの講習会でも強調している。
「心配は情報漏れより尿の漏れ」という川柳がある。女性参加者も多かったので最近実施した講習会では話をしなかったが、マイナンバー漏えいのリスクは、尾籠な話ながら尿の漏れより低い程度の話なのだ。
一般の多くの人は恐らく法律でいうところの「個人情報」と「プライバシー情報」を明確に分けて考えていないだろうが、個人情報というのはいわば封書の表書きである。個人情報にマイナンバーがついたものを「特定個人情報」と法律上呼ぶがそれとても実は封書の表書きに12桁の数字が並んだものに過ぎない。
本当に表にでると好ましくないのは封筒の表書きではなく、封書の中身である。封書の中身には個人の資産状況や健康状態が書かれている。場合によっては尿漏れの話が書かれているかもしれない。そんな情報は他人に見られたくないのは当然だ。
法とシステムは表書きが分っても封書の中身は分らないように相当な工夫をしている。
マイナンバーが他人に知られても平気だ、ということについて内閣府特命補佐官の福田峰之さんは週間エコノミスト(9月15日号)で「(個人)番号はただの「名前」。私が「福田峰之」と知られて、まずいことは何もないということと同じだ。私は自分のマイナンバーが入ったTシャツを作ろうと思っている」と述べている。
福田さんの手元にもまだマイナンバーは届いていないと思う。だからまだマイナンバー入りのTシャツは作っていないだろう。あるいは勇み足をとがめられておふざけは止めているかもしれないが。
福田さんの話は個人番号の安全性を訴えるために誇張として割り引く必要はあるが、ある意味ではマイナンバーの本質を突いている。マイナンバーが他人に分ったところで、プライバシー情報が直ちに覗かれる訳ではないのだ。とはいえマイナンバーは不用意に公開するものではないと思うが。
マイナンバーは書留で住民票に記載されている住所に送られてくる。市区町村の人がご丁寧に電話で教えてくれることは絶対にない。またマイナンバーを取り扱う人が他人のマイナンバーを漏えいした場合には罰則があるが、個人がマイナンバーを他人に告げたからといって罰則がある訳ではない。
「マイナンバー 詐欺師にとっては良いナンバー」
詐欺師はあの手この手で個人を脅かしてお金を取ろうとしている。気をつけたいし気を付けて欲しいと思う。
詐欺師に狙われるような人は私のこのブログを読むことはないだろうが、色々な機会を通じて、マイナンバー詐欺防止を訴えたいと切に思う。