ブログを書かない日があると友人から「昨日は書いてないね」と言われることがある。飲み会が続くと中々毎日エントリーすることが難しいが、定期的に見てくれている人のためにできるだけ毎日書こうと思っていますのでよろしく。
さて今日の東京株式市場は日本のGDP成長率が市場予想を上回る伸びだったことなどプラス材料が重なり500円以上値を上げた。しかしこれをもって相場は底入れしたかどうかは分からない。相場の方向を決める米国の景気についても、米国の企業経営者や専門家の間で強気・弱気に意見が割れているからだ。
強気論は「サブプライムは金融の話で、実体経済は強い」というものだが、私は「住宅価格の下落は米国の消費者に大きな影響を与えているので、実体経済の足を引っ張る可能性が高い」と弱気論だ。
米国の大統領選挙とリセッションが重なることは歴史的には稀なことである。1932年m1960年、1980年はこの例外的な年でいずれも現職大統領か大統領が属する政党の候補者が選挙で負けている。当然ブッシュ大統領はこのことを知っているので、リセッションに陥らないように景気対策を打ってくるから景気後退は避けうるかもしれない。ただ私が米国のマスコミを見ている限りリセッションは不可避という論調が多いことは確かだ。
例えば最近のニューヨークタイムズ(NT)は、「住宅ローン危機はサブプライムローンを越えて広がっている」と報じていた。記事によると延滞率は住宅ローンのみならず、自動車ローン、クレジットカードの支払にまで拡大している。
例えば格付機関のフィッチによると、カード会社は貸倒償却を1年前の4.3%から5.4%に引き上げている。
総ての住宅担保ローンの遅延・抵当権実行比率は7.3%とモーゲージバンカー協会が1979年に調査を開始して以来の高い比率になっている。サブプライムローンでは、一定期間経過後の適用金利の上昇による支払額の増加が大きな問題になっているが、プライムローンでも アジャスタブル・レート・モーゲージを借りている人にはこれから負担が増える。アジャスタブル・レート・モーゲージというのは、毎月最低限度の支払をしておけば、未払いの金利と元本は支払を後回しにすることができるというものだ。しかし何時までも繰り延べることができるわけではない。例えばローン契約で借入総額が当初借入額の115%に達すると、割増弁済を開始しなければならないというような仕組みになっている。
このようなアジャスタブル・レート・モーゲージを借りた人も住宅価格が上昇すれば、借り替えようと考えていたので、住宅価格の下落は米国の一般消費者に大きな負担になるはずだ。住宅価格下落の影響を強く受けない層は約3割の住宅ローンを完済している層である。
この層は一般的に富裕層で、消費への貢献度合いが高い。また私の推定だが、比較的高年齢層が多いだろう。この富裕層が米国の消費のバッファーになると見るか、住宅ローンを抱える層が今後住宅価格の下落に苦しみ、米国景気に暗い影を投げるかということは見極めが難しいところだ。しかし今回の住宅価格の下落はサブプライムローンしか借りれない層だけの問題ではなく、その上のクラスつまり中間層にまで広がる問題だという認識が米国で広がりつつあることは確かなようだ。
大統領選挙についていうとこの中間層がサブプライム問題に対する対策をどう考えるかが大統領選挙に大きな影響を与える。今後景気低迷が続くと低所得者層向けにセーフティネットを拡大する政策が脚光を浴びてくる。これは民主党が得意とするところだ。しかしセーフティネットの拡大は増税という形で中間層の負担を増す。中間層がこれを受け入れるかどうかは大きな問題だろう。
以上のようなことから、米国の経済が通常ベースに戻るのに時間がかかると私は考えており、株式相場はまだまだフラフラすると見ている。