金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

風の日は確定申告でも・・

2008年02月24日 | 株式

昨日(2月23日)、今日(24日)と春一番の強風が吹き荒れて大変だ。強風は近所の小学校の校庭の砂や畑の土を巻き上げ、茶褐色の砂煙が吹き荒れていた。早い午後スポーツジムに出かけたが、強風のためか入場者はいつもの週末よりはるかに少ない。ジムからの帰り道は西向きになり、強風の中を顔をそむけながら自転車を漕いだ。こちらの方が下手なトレーニングより、余程運動になる位だ。

昨年は株式取引で少し損を出したので「源泉税の還付を請求しようか?」「金額が小さいからやめようか?」と迷っていたが、こう風がきつくては出かけるのも大変なので、確定申告書作りを行う。

国税電子申告システム(e-Tax)という便利そうなものもできたが、ICカードリーダライタを買う必要があるなど手間である。毎年確定申告をする訳ではないので、物好きの私もまだ手を出さないでいる。大体このところの確定申告は「多額の医療費を払った」(今年はないが)「株取引で損をした」など余り良くない話に絡むものが多い。株や投資信託の売買を一つの証券会社で特定口座を使って行っている場合は、取引損益はその口座で通算され完結するが、複数の証券会社を使っている場合は確定申告を行わないと還付を受けられない。

とにかく今年は国税庁のホームページhttp://www.nta.go.jp/webtaxtv/にアクセスして、ネットベースで計算を進めることにした。手元に用意しておくものは、証券会社から1月中旬頃送られてくる「特定口座年間取引報告書」と「給与所得の源泉徴収表」だ。

上記国税庁のHPから進んで「分離課税の申告書」(申告書Bと申告書第三表)とたどりつき、そこからは対話形式に従って入力していくと還付金まで計算してくれる。後は住所や還付金受取口座を入力して印刷するだけだ。

ずいぶん便利になったなぁ、と思った。(1,2年前にホームページで申告書を作成した時は印字がずれたりして苦労した。)

ところで損を出して株を売るには「資金繰りに充当する」か「持っていたら更に値下がりする(と思う)」ことが大きな理由だろう。また含み損を出して、これから上昇しそうな別の株を買うということもある。確定申告書が余りに簡単にできたので、損を出した時の背景などを思い返していた。来年は株式売買損の申告はしたくないものだが、この相場付きではそうもいかないかもしれない。

さまざまなこと思い出せる税還付 北の旅人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国住宅ローン問題の重さ

2008年02月24日 | 国際・政治

ニューヨークタイムズ(NT)の記事に一枚のグラフが付いていた。そのグラフは住宅ローン残高が住宅の価値を超えている人(以下ネガティブ・エクイティ)の割合を示すものだ。現在全米で約10%の人がネガティブ・エクイティの状態だが、このままの状態が続くと1年後には15%を越える。住宅価格の下落は地域によりばらつきがある。今ネガティブ・エクイティの状態が一番大きいのは中部地帯で約18%程度だが、グラフは今後西部で住宅価格が下落することを示唆していて、来年の夏には25%を越える見込みだ。

自宅の価格が住宅ローン残高を下回ると自宅を売却しても、住宅ローンを返済することができなくなる。このような状態はバブル崩壊後の日本では沢山発生しただろうし、今でもマンションを購入した後値崩れしてネガティブ・エクイティになることは良くあることだ。では何故米国でネガティブ・エクイティが(日本より)大きな問題になるかというと、雇用制度と貯蓄姿勢の違いからくるものだろう。

米国では高い給料を求めて、転居を伴う転職を行うことはそれ程珍しいことではない。不況になると企業は比較的簡単に解雇を行い、勤務員達は成長分野を求めて時には自宅を売却して遠い都市へ移動していく。これが米国のダイナミックな産業構造の変化を支えていた。ところがネガティブ・エクイティの状態で、解雇されても自宅を売却してローンを返済することができないので、人々は同じ町で次の職場を見つけざるを得なくなる。同程度の賃金を貰える仕事があれば良いが、さもないと今より低い賃金で働くことになり、住宅ローンの返済に行き詰まることが多い。

米国では不動産の担保余力(エクイティ)を使って第二抵当順位の不動産ローン(ホームエクイティ・ローン)を利用する人が多い。もしエクイティの価値がある、つまり不動産の値上がりが続いている状況であれば、解雇等により一時的に収入が減っても、ホームエクイティ・ローンを借りて凌ぐことができる。このため米国では働いている間は自宅の買替、ローンの借換でより大きな自宅を求める傾向が強かった。しかし一旦住宅価格が下落するとこれは逆回転し、人々を大変苦しめることになる。

このような状況に対して、今のところ政府は税金を投入して住宅ローン債務者やバブルに踊ってローンを貸した金融機関を救済する考え方をしめしていない。しかし民間側からは色々な提案がなされている。たとえば住宅金融大手のカントリーワイド社を買収中のバンク・オブ・アメリカは、返済遅延に陥っている住宅ローンを大幅に額面割する価格で新しく作る政府機関が購入するのはどうか?という提案を行っている(購入資金は連邦政府が保証する固定低金利の債券等で調達する)。

米国が住宅不況から抜け出すには、上記のような大胆な政策(バンク・オブ・アメリカ案など)を取る必要があるが、短期間に政府・与野党の合意に至るかどうか気になるところだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする