金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「せんたく」まで日本株投資は待ちますか?

2008年02月25日 | 政治

年初から大きく売り込まれていた日本株の相場に漸く底値感が出てきた感じがする。震源地の米国でサブプライムローン問題やモノライン問題の解決に向けて微かながら曙光が見えてきたからだ。

ではこれから日本株の反転にbet(賭け)するかというと余りそのような気持ちが起きてこない。むしろ私は毎月続けて来た「さわかみ投信」(日本株アクティブファンド)の自動積立(購入)を暫く見送ろうか?と考えている。積立の中止ぐらい黙ってやれば良いようなものだが以前私のブログを見て「さわかみ投信を始めました」という人がいたので、一言お断りする次第だ。なお欧米株のインデックス投信であるバンガードの方は毎月投資を続けようと考えている。どうも株式相場が反転する時は欧米の方が先鞭を切りそうだからだ。

まだ崩壊した米国の住宅ローンと住宅市場にしっかりした出口が見えてはいないが、微かながら曙光は見える。米国のサブプライム問題を日本のバブル崩壊と比較する議論があるが、私には類似点よりも相違点の方が沢山見える。最大の相違点は「問題顕在化後の損失の認識」と「問題解決の努力」である。
日本の場合はバブル崩壊後政府が損失の表面化を恐れたため対応が後手後手に回った。一方米国では金融機関が評価損の償却を進めていると見受けられる。現在金融機関側から行われている政策提言も市場価値をベースにして住宅ローンの含み損を銀行が実現することを前提にしているので、政府・民間の歩み寄りは可能だと私は判断している。

日本はバブル崩壊の15年後の2005年になって金融危機が去り、デフレ圧力が緩和されるようになったが、米国に端を発する今回の景気後退サイクルの中で、日本の構造的な弱点が再び表に出てくる可能性が高い。米国および世界の景気が良い時は輸出が牽引して日本経済の弱点は水面下に隠れていたが、景気が減速してくると日本の生産性の低さや内需の弱さが問題になってくる。例えば日本の新規投資に対するリターンは米国の半分だ。

エコノミスト誌など有力な海外メディアは、小泉政権下で進められた構造改革は福田政権になってすっかり逆方向に向いていると見ている。これが真実であるかどうかは別として我々個人投資家の観点から見ると「海外メディアや海外投資家が日本は改革路線から脱線しつつある」という認識を持っているということは極めて重要だ。何故なら株式投資とは投資家の成長可能性に対する人気投票の側面があり、その国の成長性に魅力がないと投資のモメンタムが起こらないから株価の大きな上昇がないからである。日本株に海外投資家が本格的に戻ってくるには、経済改革への強いコミットメントが必要だろう。

ついでながらエコノミスト誌は「日本国憲法は衆院と参院で与野党のねじれ現象が起きることを想定していなかったので、参院に衆院に匹敵する力を与えている」と暗に憲法の欠点を指摘している。しかしエコノミスト誌がより問題にしているのは与野党内部に保守層、改革支持層を抱える現在の政党の状況だ。与党が絶対多数を確保していた時代は過ぎたが、交替して政権を担い得る野党が育っていない。
各党の保守的勢力は、経済改革を進めるのではなく、支持層獲得のため補助金をばら撒くという昔のスタイルに戻りつつある。

その中でエコノミスト誌は「せんたく」の誕生に希望の曙光を見出している。「せんたく」とは北川正恭前三重県知事を代表発起人にする「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」のことで33日に正式発足が予定されている超党派議員連合だ。

せんたくというと坂本竜馬が姉にあてた手紙の中の「日本を今一度せんたくいたし申し候」という言葉を思い出す。

「せんたく」という議員連合にどれ位期待して良いのかどうか不明だが、少なくとも彼等の政策提言を聞く位の時間は十分ある。 そこで日本が改革に向かうと確信が持てたなら、それから日本株投資を考えても遅いということは全くないだろう。

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