金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

燃料・原料高で格差が広がる

2008年02月03日 | 社会・経済

12月のデータによると日本の賃金は過去3年半の中で一番早いペースで下落した。中小・中堅企業がオイル・原料高を吸収できず冬の賞与を減らしたことによる。冬の賞与は3.6%下落している。

日本は賃金上昇を伴わない経済回復を6年間行ってきたが、今後世界的な景気低迷が起きると「輸出頼り」の日本経済の片肺飛行は一層傷つきやすくなるだろうとエコノミスト達は警告を発する。

FTによると日銀の早川名古屋支店長は「(名古屋圏では)トヨタの成功で景気のミニ・ブームをもたらしているが中小企業は一般的には賃金を上げることができない。原料高を消費者に転嫁できないので、特に過去半年間利益率は著しく低下している」と言っている。

グローバル化の結果、大企業の株主には外国勢が増えている。これは株主の高配当要求につながり、従業員の賃料引き上げが犠牲になっているという構図だ。

労働需給も緩んできた。私の会社では昨年秋中途採用を再開した。再開してしばらくは良い応募者がほとんどいなかったが、12月に入ると急に応募者が増えて生きた。これは転職者が冬の賞与を貰ってから辞めるという季節要因もあるが、ノンバンクの破綻やリストラが活発化したことが大きいだろう。実際数ヶ月前は求職者100に対して仕事が106あるという状態だったが、12月には98に下がっている。

私はオイル・原料高は日本を悪いサイクルに押しやると見ている。企業特に中小・中堅企業あるいは競争の激しい食品業界などは原料高を消費者に転嫁できない。何故なら一般消費者は賃金が上がっていないので、財布を紐を緩めないからだ。大手スーパーはプライベートブランドで価格競争力を維持しようとするから、食品業界は本当に大変だろう。そこで企業はマージンの低下を人件費の削減でカバーしようとする。するとまた購買力が低下するという悪循環が続く可能性が高い。

原料高の悪影響は特に中小・中堅企業に強く出るので、ますます所得格差が拡大する可能性がある。この問題の簡単な解決策はないが、一つは円高政策を取る(少なくとも円安政策を取らない)ことである。円高は日本経済を牽引する国際優良企業には痛手だが、輸入物価の上昇を食い止めることができるので、一般消費者にはプラスの策である。

しかし景気が悪化すると益々日本への投資魅力が減少するので、遠からず円安時代に戻りそうである。難しい時代になってきた。

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イカ燻で至福のディナー

2008年02月03日 | 男の料理

土曜日(2月2日)は天気が良いという予報なので、イカの燻製を作ることにした。燻製でもイカの燻製位になると当日思い付いて出来るものではない。前の日からの仕込みが必要になる。ワイフに新宿の伊勢丹までヤリイカを買いに行ってもらう。料理は総て同じだが、素材が第一である。イカは身が厚くしかも刺身で食べられる新鮮なものが良い。ワイフは「300円とか500円と値札が付けてあるのでそれ程高くないと思ったら、あれはイカ一杯の値段ではなく100グラムの値段だったのね」という。イカ2杯で1,800円、高いが手製の燻製にこだわるならこれ位良い材料を選ばなければならない。スーパーで売られている袋詰めのイカの燻製~これはイカを木酸液に漬けた大量生産品~などとは全く違った自家製の燻製を作るにはそれなりの材料を仕込む必要がある。

イカのワタを取り皮をむいた後はソミュール液(水1カップ半、酒半カップ、塩50g、砂糖20g。粒胡椒一匙、ローリェ1枚)に一晩(15時間)漬ける。というと金曜日の晩私がやったように聞こえるかもしれないが、私は麻雀をしていたのでワイフにお願いした次第。このソミュール液のレシピは「はじめての燻製作り」(地球丸)に書いてあるとおりなのだが、出来上がりの燻製は少し塩味が強かった。塩の量か漬け込む時間を減らす方が良さそうだ。

さて土曜日に朝、流水で1時間程塩抜きをしてから3分間蒸し器でイカを蒸す。それから直射日光を避け、風通しの良いところで1時間程乾燥させる。

Ika

写真でお分かりのとおり堂々としたヤリイカである。次にイカ全体にオリーブオイルを塗ってからスモーカーに入れる。オリーブオイルを塗るのはパサつき防止である。スモークに使うチップはナラかヒッコリーが良い。スモーカーの温度を40-50度に保って30分スモークしたら出来上がりだ。

スモークが出来たのは昼ごはん時だが、ここで食べてはいけない。できたてのスモークは煙の匂いがやや強いので2,3時間台所において匂いを飛ばした方が良い。

従ってスモークは夕食に回して午後はジムに出かけて、ランニングを取り入れたエアロビクスで汗をかいた。エアロビクスがランニングや自転車漕ぎより良いところは下半身だけでなく上半身を思いっきり使うところだ。特に腕を上に伸ばし、肩甲骨を寄せながら引き下げる運動は肩凝りに良い。

さて汗をかいた後は美味いものと美味い酒でディナーだ。料理はイカの燻製・卵の燻製(作り方は簡単)と牡蠣フライ、サラダだ。ワインは毎月友人の酒店からお任せで送って貰っている白ワインを開ける。アルザスの白ワインで銘柄は「ポール・ジャングランジュ」Paul Ginglingerでブドウの品種はゲビュルツトラミネールGewurztraminer、ドイツ語でスパイスの意味だ。飲むと果物のライチの香りがする。アルザスはフランス・ドイツの国境地帯なのでアルザスのワインはドイツワインに近い。

Wine

ボトルも細身だ。このワインがイカの燻製に良く合った。身の厚いヤリイカの燻製は口の中でじわーとスモークの香りを広げる。スモークとライチの香り。この香りを好むかどうかは人によりけりだが、一度試すに値するワインだった。

もっともイカの悲しいといころは上等なものでも食事の主役を張れないところだ。主役は牡蠣に譲って、渋い脇役にまわるところが、イカの燻製の良いところでもあった。

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