中国製殺虫剤入り餃子問題について日本のマスコミがややエキセントリックな取り上げ方をしていることに私は少々苦々しい思いで見ていた。マスコミというものは断片的事実を、センセーショナルに取り上げ読者にこびるようなものであってはならないはずだ。
あたかも中国の食材が総て危険だといわんばかりの表現は一流のメディアが行うことではない。日本の食糧自給率は4割(カロリーベース)で、あとは輸入に頼っている。その内約17%は中国からの輸入だ。輸入量の多さを考えると殺虫剤の一件をもって中国食材が総て危険だというようなイメージを読者に与えるようなことは避けるべきだろう。
殺虫剤が混入された原因については日中の警察当局が原因解明中だが、私は誰かが故意に殺虫剤を混入した可能性が高いと感じている。
もしそうだとすると、餃子の製造・出荷工程が相当きっちりしたものであっても、悪意を持つ犯罪者であれば毒物を混入することは可能なはずだ。それをもって中国の食品業界はレベルが低いと決め付けることは危険だろう。
むしろ今回のことで目がつくのは、中国政府の迅速な対応である。中国が迅速で極めて日本に協力的な態度を取っている背景には北京オリンピックと日中関係の改善意欲がある。中国政府が北京オリンピックを前にして国際的にイメージを悪化させたくないと思っていることはたやすく理解できる。
日中関係の改善については、東シナ海の海底油田問題で中国が大きな譲歩を示してきていることからも中国の意欲が見て取れる。
東シナ海の海底油田問題とは日本と中国の排他的経済水域に関する意見の相違から、中国が海底油田に対する権益を主張していたことによる。しかし最近のFTは中国は歩み寄りを見せ、海底油田開発に関する協定書が4月に予定されている温家宝首相の来日に合わせて調印される可能性が高いと報じている。
中国が歩み寄りを見せた背景はうがった見方をすると、東シナ海の海底油田の石油埋蔵量はそれ程多くなく、経済的にうまみの少ないプロジェクトだという判断があるかもしれない。だが素直に中国が小泉首相時代に冷え切った日中関係を改善しようとする日本政府の姿勢に歩調を合わせてきたと判断するべきだろう。
日本が中国と関係を改善することは、短期的長期的に経済メリットが大きい。短期的には公害防止、環境保護、省エネルギー等日本が得意する分野で中国に輸出を伸ばすことができる。長期的にはアジアにユーロのような単一通貨圏を作るということだ。
余談になるが、先ほど引用したFTの記事の中に餃子が英語のdamplingと合わせてgyozaとして載っていた。
ギョーザという発音は中国山東省の方言らしく、中国ではJiaojiというそうだ。また日本の餃子の特徴は、ニンニクを 沢山使っていることと、薄い皮をかりっと焼くところにある。中国の餃子と日本の餃子では同じく餃子といってもかなり違う。餃子は中国、日本、韓国それぞれの国で特徴を出しながら 広く食べられている食品だ。餃子を縁に日中の信頼関係を改善したいものである。
日本のマスコミはいい加減にポピュリズムな報道から卒業してもう少し目線を高くするべきだろう。