最近のFTを見ていると少し明るい話と暗い話が交錯する。まあ、少し前までは暗い話のオンパレードだったので、景気の底に近づきつつある兆しなのだろうが。朝FTを見た時はECBのトリシェ総裁が世界経済の下降局面はボトム・アウトしたのではないか?という合図を送ったという記事が一番に出ていたが、午後見ると「中国の4月の輸出が急減した」という記事が一番新しく出ていた。本文をちらっと見ると「中国の6ヶ月連続の輸出減少は最近数週間ボトムアウトした兆しを見せていた世界経済について最悪の事態はまだ終わっていないという懸念を高める」という解説があった。
4月の中国の輸出は前年比22.6%減少して919億ドル。これは3月の輸出が前年比17.1%下落したのに比べてかなり大きい。3月の数字を見てアナリストや政策当局は中国の輸出商品に対する先進国の需要が回復してきた兆候と判断したが、4月の数字は逆行を示すものだ。
だがポジティブなニュースもあった。中国政府は今日、ここ4ヶ月間の都市部における固定資本投資は予想より伸びが高く、前年比30.5%だったと発表している。また中国都市部の不動産価格は前年比1.1%下落しているが前月比較では4月の不動産価格は0.4%上昇(3月は0.2%上昇)した。
悪いニュースと少し明るいニュースが交錯する状況を見ていると、地図に現れない程の起伏が連続する山を縦走する苦労を思い出す。山での登りは一般につらいものだが、登り一辺倒ならいずれ頂上に着くという思いでがんばりが効く。しかし少し登ってはまた下るというアップダウンが続く(しかも未踏の地でゴールが分からないとすれば)と、これははるかに負担感は大きい。
まさに今の世界経済は地図のない夜の山を登りか降りかはっきりしない中、アップダウンを繰り返している状態だ。