ニューヨーク・タイムズを眺めていたらドイツの実験的な環境重視地区ヴォーバンVaubanの記事が出ていた。ヴォーバンはフランスとスイスの国境に近いフライブルク郊外の高級住宅地で5,500人が住む。2006年に完成したこの街では道路での駐車や自宅の車庫は禁止されている。車を持つことは認められているが、車を持つには開発地区の縁に4万ドルを払って家とともに駐車スペースを買う必要がある。
話は飛ぶが私は何時かの段階でもっともっと環境保全を実行し、このブログサイトでも環境保全を訴えたいと考えている。しかし今のところ時々マイカーで排気ガスを撒き散らしながら、山に分け入り美しい自然を楽しんでいるという自己矛盾を抱え解決策を見出していない。やっていることといえば極力自動車の利用を控え、公共の乗り物や自転車を使うことにしているが、人様に自慢できるレベルの話ではない。ただ「エコに関心あり」ということでちょっとヴォーバンの話を紹介する厚かましさをご寛容頂きたい。なおヴォーバンについてインターネットで調べると、ヴォーバン・クラブのサイトがあったのでご参考までに。http://www.club-vauban.net/vauban.html
さてニューヨーク・タイムズの記事のポイントを紹介すると、ヴォーバンの家族の70%は自動車を持っておらず、57%の人は車を売り払ってここに移住してきた。車はシカゴから上海にいたる中流階級が住む郊外地区のかなめだ。そして専門家によると車は地球温暖化ガスを削減する上で大きな障害となっている。乗用車は欧州で温室ガスの12%の原因であり、車が集中しているアメリカの幾つかの地域では50%の原因となっている。
米国では環境保護庁が「自動車削減コミュニティ」の推進を行い、議員達も慎重ながら活動を始めている。多くの専門家は今年立法化される新しい連邦交通法で郊外を結ぶ公共交通機関がより大きな役割を担うと予想している。
記事はこの他英国の例なども紹介しているが、話を日本に戻してみよう。連休前から日本では乗用車の土日・祝祭日の高速道路料金を千円に引き下げ、景気活性化を図っている。私もゴールデンウイークに一度利用したので、偉そうに悪口をいうのは多少気が引けるが「地球環境保全の観点」からは世界の動きに逆行する愚策ではないか?と感じている。ゴールデンウイークにJRの利用が減り、乗用車の利用が増えるというのは環境によろしくない。
車といえば今日の日経新聞朝刊に今年度と来年度の自動車7社の業績予想が出ていた。ホンダとスズキ以外は赤字見込みという厳しい状況だ。景気悪化と資産バブル崩壊による買い控えが最大の原因だが、ヴォーバンのような動きも自動車メーカーとしては視野に入れねばなるまい。