先週(11月12日)のエコノミスト誌は鳩山政権をボコボコに叩いていた。記事の内容よりもまずイラストが凄い。髪はグシャグシャ、おでこに絆創膏を張り、パンチを食らって片目を真っ赤に腫らした鳩山首相がデタラメな楽団の指揮をしているという漫画。記事のタイトルはOut of tune「調子外れ」ということだ。
記事は鳩山首相は自分の仕事を「調和」~首相の好きな言葉だが~を完成するための指揮者に例えているが、今のところ結果は不協和音に終わっていると書き出す。
米国の大統領については就任後100日間は「ハネムーン期間」として批判を差し控える傾向があるようだが、日本の首相は就任後2ヶ月程で集中砲火を浴びている。
エコノミスト誌も他のマスコミ同様最も目立つ問題は「普天間基地問題」だという。昨日(11月13日)のオバマ・鳩山会談後の共同記者会見を見たところ、両首脳の合意はなかったものの、鳩山首相は早期解決を約束していたので、少し前までの彼の主張(時間をかけて解決する)を撤回したと言えるだろう。
(これはエコノミスト誌の意見ではなく私の意見だが)鳩山首相の一つの問題は、早い段階で自分の意見を述べ過ぎることだ。中国の諺に「綸言汗の如し」という言葉がある。綸言すなわち天子の言葉はかいた汗のように取り消すことはできないという意味。それだけ天子は慎重な発言をしなければならない。首相もまた然りだろう。鳩山首相は軽過ぎる。
エコノミスト誌は閣僚間の不協和音を指摘してるが、その原因の一部は参院で多数を確保するため、社民党と国民新党を閣僚に入れていることだと指摘する(一般に言われていることだが)。
エコノミスト誌は亀井氏を「反資本主義の一匹狼」と呼び、彼は「もう一つ別の政府を率いている」ようだと批判している。「もし鳩山が俺を首にできるならやってみろ。できるわけがない」という亀井氏の言葉が世界で最も格調の高い雑誌にそのまま紹介されていた。
心ある世界の読者はこれを読んで「日本の政界というのはゴロツキの集まりか?」と思うのではないかと私は懸念する。そこには知性のかけらもない・・・・
エコノミスト誌は鳩山政権の財政規律の欠如に懸念を示し、最後にHe needs to remenber, amid cacophony, that some of the best conductoirs are despots.「彼(鳩山)は不協和音の最中で最良の指揮者の中のあるものは専制君主であることを思い出す必要がある」と結んでいる。
普天間基地を中心とする外交問題、亀井金融相のモラトリアム暴言、バラマキ予算による財政の一層の悪化懸念、パフォーマンスに過ぎないという批判を浴びる予算の仕分け作業・・・・
司令塔不在のまま「鳩山丸」は嵐の海に漂い始めたのではないか・・・という懸念をエコノミスト誌~すなわち欧米の知性~は示し始めていることを我々は認識してものごとを考える必要があるだろう。