昨日久しぶりに昔勤めていた銀行の国際部の連中と酒を飲んだ。この連中はよく喋る。よく喋って楽しいお酒だったが、家に帰ると午前様、さすがに疲れた。私の経験では国際業務に携わっている人はよく喋る人が多い。ビジネスの相手方のアメリカ人がよく喋るからお喋りになったのだろうか?それとも話好きだから国際業務を選んだのだろうか?そこのところはよく分からない。
さてお喋り好きのアメリカ人だが、時として「口は災い」を招く。1週間ほど前ゴールドマンザックスのブランクフェインCEOは英国のサンデータイムズ紙のインタビューで「我々は神の仕事をしている」と話をしたが、言葉尻をとらえられ、相当な批判を浴びた。
昨日同CEOはニューヨークのカンファレンスで「チープ・クレジット・ブームに参加して、金融危機前のバブルに油を注いだことを後悔している」「我々は明らかに間違ったことに参加したので、後悔する理由がある」「我々は過ちをわびる」と述べた。
その数時間後ゴールドマンは「1万のスモールビジネスを援助するため、向こう5年間で5億ドルの投資を行う」と発表した。この投資プログラムは、ゴールドマンの大株主である著名な投資家ウオーレン・バフェット氏を共同会長とする審査委員会で監督される。バフェット氏は「このプログラムは最近のゴールドマンに対する批判に対応したものではない」と述べている。またゴールドマンはスモールビジネス援助プログラムは1年前から計画されてきたものだと述べている。
ところで5億ドル、今の為替レートで450億円は中々大きい金額に見えるがゴールドマンにとってはどうだろうか?
トレーディングで巨額の利益を上げた同社の今年の人件費は218億ドルに達すると推定されるので、5億ドルは人件費の2.3%に過ぎない。ほんの少し幹部のボーナスを抑えると簡単に捻出できる金額である。
また第3四半期にゴールドマンはトレーディングで1億ドル以上稼いだ日が36日あるとFTは紹介している。つまり年間の拠出額1億ドルは相場の良い日の一日の稼ぎなのだ。
皮肉はこの程度にして、巨額の利益を上げている投資銀行が、スモールビジネスを支援するため教育プログラムや融資プログラムに資金を提供することは良いことだ。支援を受けるスモールビジネスにもプラスだし、ゴールドマンの評判にとってもプラスになる。
日本の大手銀行の大手銀行の中にも、ゴールドマンの真似をすると亀井圧力をかわせると考えているところがあるかもしれない。