金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

山坂の降り方~山と人生において(2)

2014年06月02日 | うんちく・小ネタ

もう少し「山坂の降り方」について、山登りと人生のアナロジーを考えてみよう。

3.山も人生も高く登れば降るのが大変

高い山に登れば登るほど降りに要する時間が増え降りるのが大変になるのは自明のこと。同じことが100%人生についていえるかどうかは分らないが、かなりの確率で組織の階段を上登り過ぎた人はソフトランディングが難しくなると私は思う。

昔私が務めていた会社に人事部長・人事担当役員として剛腕を振るったKさんという人がいた。会社が厳しい時代だったから、人事担当のKさんはリストラを推進した。立場上やむをえないことだったのだろうと私は思っているがリストラされた本人たちの恨みはKさんに向いていた。だから退職したあとも「絶対にKさんと顔を合わせたくない。OB会のゴルフにも来ないでほしい」などという人がいるという話を聞いたことがある。これはやや極端な例かもしれないが、組織の壁を登る中では競争相手を蹴落とす、あるいはそこまでいかなくても会社関係を行事を最優先し、家族や社外の友人との付き合いが疎遠になるということは広く観察されるだろう。

しかし人生の下り坂に入ってくると家族や社外の友人との付き合いやネットワークが重要になってくる。中途半端な過去の肩書は時に重荷にさえなる場合がある。

だからといって私は組織の山坂を登るのは無意味だというつもりはない。人は持って生まれた力量(virtue)を最大に活かすべく努力するべきなのだ。問題はvirtue以上の地位や権力をアコギなことをして手に入れることだ。そんなことをすると下り坂において足腰を痛める手痛い代償を払うことになる。

4.下り坂は長い方が楽だ

山には複数の登山道があることが多い。昔から参詣登山が行われて山では岩の多い険しい坂道を男坂と呼び、緩い歩きやすい道を女坂と呼ぶことが多い。緩い道を取っても険しい道を取っても降る標高差は一緒。しかし傾斜が違う。

このことを人生の坂道の降り方に当てはめると、傾斜の緩い長い坂を下る方が足腰への負担が少ないソフトな歩き方ができるということになる。具体的にいうと少し早めに坂道を下り始めるということになるのだろう。ゆとりを持って早めに下り始めることで見えてくるものもありそうだ。

コメント
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