株主総会の季節になった。今年の株主総会の特徴は高いリターンを求める株主提案が増えていることだ。
CNBCにShareholder activism catches fire in Japanというタイトルの記事があった。
Catch fireは「火を吹く」であり、「株主アクティビズムが日本で火を吹く」という意味だ。本文にShareholder activism is catching on in Japan.ともあった。Catch onは「流行する」という意味だが、catch fireとほぼ同じ意味で使われている。
記事によると、IRジャパンは「今月の株主総会でより高いリターンを求める株主提案が14件行われるだろう」と述べている。その内の5つはロンドンのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドが行う予定だ。チルドレンズは昨年日本たばこ産業の株主総会で、配当を120円にする株主提案(会社側の提案は68円)を行ったが否決された。ただしその後日本たばこは増配に動いている。日本たばこ側は株主提案との関係を否定しているが。
長い間、欧米に較べて日本の株主は「もの言わぬ株主」として有名だったが、これは変わりつつある。今年2月に金融庁は「責任ある機関投資家の諸原則」(日本版スチュアードシップ・コード)を発表した。これは投資と対話を通じて企業の持続的発展を求めるものだ。
金融庁は6月初旬に「諸原則」の受け入れを発表した127の機関投資家の名前を公表している。また日本最大の機関投資家であるGPIFが4月にシアトルの「友好的アクティビスト」ファンドのタイヨー・パシフィックを運用マネージャーのリストに加えたこともアクティビズムには追い風だ。
過去5年間の日本株(TOPIX500)の平均ROEは8%弱で18%強の米国(S&P500)に較べるといかにも低い。
GPIF等日本の機関投資家がどれだけものを言うかに今後の日本株のリターンとアベノミクス第三の矢の成否がかかっている。