7月の終わりに尾瀬沼の玄関口の大清水から北岐沢を登って鬼怒沼湿原を回って奥鬼怒温泉に下った。沢登りではGPS(etrex 20j)の利点と限界について感じることがあったので、報告したい。
GPSの利点は遡行開始前に登る予定のルートをパソコン上の地図(カシミール)に描き、GPSにアップロードしておくと、「コンパス」機能等で進むべき方向を示してくれるので、道に間違う危険性を少なくすることができることにある。
沢の上流に進むと沢が枝分かれして、登りたい沢を見失う可能性がある。
今回は地図右の小松湿原を目指して、最後は点々のルートを登るべくGPSにデータをアップしておいた。結果的には点々ルートは水が少なくなった沢の中に倒木が見えたので歩きやすい赤線のルートを通って稜線にでた。
沢のツメでできるだけ藪漕ぎが少なく、稜線への最短ルートを見つけるときなど、GPSは威力を発揮した。
一方今回GPSの限界を感じたのは、「大滝」の登攀ルートが正しくプロットされなかったことである。
大滝の水際の直登は不可能で少し戻って左岸(右側)の急な斜面を登る(黒線のルート)。
ところがGPSのトレース(赤線)は滝に真っ直ぐ進み、左側を直登したようになっている。
どうしてこの部分で実際に登ったルートとGPSのトレースがずれてしまうのだろうか?
可能性としては次のことが考えられる。「地形図(国土地理院)の沢と滝の位置が正しく記載されていない」「地形図の沢と滝の位置は正しいが、切り立った地形でGPSの現在地把握機能が上手く作用しなかった」
私はGPSの専門家ではないので、どちらの原因で実際とは違うトレースがプロットされたのかはわからない。ただし谷底のように電波状況が悪いところでは、GPSの現在地が多少ずれることがあることは注意しておくべきだろう。丁寧な遡行図を作るためにはGPS頼りだけではだめで、小まめに記録を取る必要があるようだ。