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米国で非婚女性の出生率久しぶりに低下

2014年08月15日 | 社会・経済

ピューリサーチ・センターは、全米保健医療統計センターの調査によると、久しぶりに非婚女性の出生率が低下したと報じていた。非婚女性の出生率は2008年には、出産可能年齢の非婚女性1,000人に52人の割合に達した出生率は2013年には45人に低下した。

これは法律婚・事実婚を合わせた総ての出生率のトレンドに沿うもので、リセッションの影響によるものと考えられる。ただし全体の出生率は既に底打ちしているので、多くの専門家は非婚女性の出生率も回復するだろうと見ている。

ところでピューリサーチ・センターのレポートが、着目しているのは、非婚出生率の国際比較とその趨勢だ。

レポートによると、生まれてくる赤ちゃんの内、婚外子の割合が高いのはアイスランド67%、フランス56%、スウェーデン54%、英国48%などだ。米国の婚外子の割合はもう少し低く41%だった。

EU諸国平均の婚外子割合は39%だが、総じて北欧諸国の婚外子の割合が高く、ギリシア8%やキプロス19%など南欧諸国の婚外子の割合は低い。EU加盟を希望しているトルコの婚外子の割合は3%である。

ピューリサーチ・センターは日本の婚外子の出生総数に占める割合については言及していないが、少し古い2003年のデータによると1.9%だからトルコ以下程度だろうと思われる。

米国のトレンドを見ると、1960年には約5%だった婚外子の割合は、1970年には11%に上昇し、1990年には28%、2008年には41%に上昇している。

婚外子の比率が増えるに伴い、米国では婚外子を容認する人が増えている。ギャラップの今年の調査によると、成人の58%が婚外子は道徳的に受け入れられると述べている(2002年の調査では受け入れられるという人は半分以下だった)。なおピューリサーチ・センターの2011年の調査では64%の人が「婚外子が増えることは悪い方への変化」だと考え、29%は変わりなし、4%の人は「良い方への変化」だと考えていた。

この調査では「なぜ法律婚より事実婚を選択するのか」という原因については述べられていなかった。たとえばフランスで事実婚が法律婚より多い理由は、一度法律婚をすると離婚が極めて難しいということがあげられる。

日本については平成17年度の国民生活白書が事実婚を選択する理由として次のようなものを上げていた。

「夫婦別姓を通すため」「戸籍制度に反対」「夫は仕事・妻は家事という性別役割分担から解放されやすい」「相手の非婚の生き方を尊重」(男性が回答割合大)

日本では事実婚の場合は生活費は男女半々で負担するという回答の比率が一番高いから、女性のキャリアアップに伴って事実婚が多少は増える可能性はあるかもしれないと私は感じている。しかしもし「夫婦別姓を通すため」に事実婚が選択されるとすれば、選択的夫婦別姓制度の導入で対応するべきではないか?という気もするのだが。

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