金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

相続学会研究大会を日本モンキーセンターで開く意味は?

2015年08月11日 | 相続

今年の一般社団法人 日本相続学会の研究大会(第3回目)は11月12日(木)-13日(金)に、愛知県犬山市の日本モンキーセンターで開催します。

ところで「なぜ相続学会をモンキーセンターで開催するの?」と疑問に思われる方がいると思います。

その理由の一つは「昨年の研究大会からの流れ」です。昨年の研究大会では霊長類研究者の第一人者・松沢哲郎京都大学霊長類研究所教授(日本モンキーセンター所長)から「人間とはなにか」ということについて貴重な講演を頂きました。その流れで今年はモンキーセンターをお借りしてさらに「相続の原点を追究する」ことにしました。

ここまでは学会の「研究大会開催要項」に書いてある公式見解です。

以下は私の個人的な見解ですが、モンキーセンターと相続問題をつなぐキーワードはエンリッチメントだ、と私は考えています。

エンリッチメント正確にいうと環境エンリッチメントEnvironmental Enrichmentとは「飼育動物の異常行動を減らし、動物の福祉と健康を改善するために飼育環境を改善する工夫」を指します。

最近NHKのBSプレミアムでチューリッヒの動物園を取り上げている番組を観ました。この動物園はエンリッチメントに力を入れています。その成果はオランウータンなど絶滅危惧種で繁殖が増えているという形で実り始めています。飼育環境が改善し、動物たちが健全に暮らし始めると繁殖活動が活発になってくるのですね。

ではチューリッヒ動物園はどのような工夫をしているのでしょうか?

私が一番感心したのは「動物が簡単にエサを食べることができないようにする」という工夫でした。オランウータンに与えるエサは細長い隔壁のついたケースに入れて与えられます。隔壁には穴が開いていて、オランウータンはケースの上のスリットから木の枝を指し込み少しづつエサを出口に運ばないとエサを食べることができません。でもオランウータンは喜んでその作業をしているように見えます。飼育係の人の話では「動物を退屈させることが一番いけない」ということでした。

エンリッチメントという言葉は人間については、ジョブ・エンリッチメントという言葉で使われます。これは従業員に与えられた仕事をさせるのではなく、自らアイディアを実務に反映させるプロセスを取り入れることで、従業員のモチベーションを高め、会社の業績を良くしていくという考え方です。

これを相続争い問題に繋げてみましょう。ある種の相続争いは、極論すると私は「ひまを持て余した人間によって引き起こされる」という仮説を立てています。もう少し丁寧に説明すると「相続争いに時間と神経を使うより、他にお金儲けの手段や人生を楽しむ術(すべ)を知っている人は、相続争いを程々に切り上げて、有効に自分の資源を使う」という仮説です。

飼育動物の場合、飼育環境が悪いと異常行動を取ることが多い、といいます。仮に「相続争い」を一種の異常行動だとすれば、相続争いの背景には、本人が意識していない精神的な環境の悪さがあるのではないか?と私は考えています。

大人になった人間は誰かに飼育されるものではありませんから、自らを育てていく必要があります。しかし自らを育てる努力が不足していると健全な生き方ができず、相続争いを引き起こす可能性があるのでしょう。

自らを育てる生き方とは、少し不自由をするということです。自分に高い目標を課すなどの方法で負荷を高める生き方ということです。その不自由さにチャレンジし、何かを得た時人は一回り大きくなれるのでしょう。このような自分自身の知的能力や精神面を高めるプロセスをセルフ・エンリッチメントと呼ぶことがあります。セルフ・エンリッチメントができた人は相続争いを起こさない、ということが実証できれば、私の仮説は定説に昇格するのですが・・・・(笑)

日本モンキーセンターの公開カレンダーを見るとエンリッチメント体験(ゴリラ)などというスケジュールが出ていました。来月下見に行く時、同センターのエンリッチメントの方針や具体策を聞いてみたいと思っています。

そして自分の仮説が正しいかどうか再考してみたいと考えています。

 

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相続学会が9月に名古屋でオープンセミナー開催

2015年08月11日 | 相続

一般社団法人 日本相続学会が9月4日(金曜日)名古屋駅前の「ウインクあいち」でオープンセミナーを開催します。

第一部は「都市農地と生産緑地の相続コンサルティング」です。

これは3大都市圏における農地(宅地化農地と生産緑地)の中の「生産緑地」について、区画整理を通じて、土地力を高め、相続対策を考えようというものです。講師は都市計画等を手掛ける株式会社オオバの岡田 寛之さんです。

第二部は「新聞記者から見た相続問題」です。

こちらは中日新聞社の編集員・白井 泰彦さんのお話です。

第一部の話が農家の方や農家にコンサルされる方をターゲットにした専門的な話であるのに較べ、第二部のお話はより一般的なお話だと思います。

新聞等を見るとこの時期「相続」に関する記事が増えています。お盆の帰省で親子が顔を合わせる機会が増えるので、相続について一緒に考えるいい機会だからです。

賃金が伸び悩む一方、長寿化する現在の日本では、個人の資産形成に占める遺産の重みはますます大きくなっています。

「もらえるものは貰っておきたい」「法定相続分は遺産を確保しないと損だ」と考える人が増え、相続ならぬ「争族」が増える傾向にあります。

子や孫のためを思って残す財産がもとになって、争いが起きるのは悲しいことです。

相続争いを防ぐ原点は、財産を残す方が、相続に関する正しい知識と情報を手に入れ、正しい対策を考えることです。

今回のセミナーがそのステップボードになればいいな、と考えています。

 

 

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連銀中道派が9月利上げを支持

2015年08月11日 | ライフプランニングファイル

昨日(8月10日)アトランタのプレスクラブで会見したアトランタ地区連銀連銀総裁ロックハート氏は「米国の経済状態は大部分正常に戻っており、連銀が金利引上げを決定する時期は近い」「自分は9月の政策決定会合で金利引上げを支持したいと考えている。ただしその後の金利引上げは緩やかなものだろう」と述べた。

ロックハート氏は金利政策については、中道派と考えられていただけに彼の9月利上げ支持のインパクトは大きいと思われる。

現在10名のFOMCの投票メンバーの内、9月金利引上げを支持しているのはロックハート・アトランタ地区連銀総裁を含む4名。一方9月の金利引上げに反対を表明しているのはシカゴ地区連銀のエバンズ総裁だけとなった。

今後余程海外から悪材料がこない限り、9月の金利引上げの道筋はついたということなのだろう、と私は思う。

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