スウェーデン出身の公衆衛生学者ハンス・ロスリング氏の「ファクトフルネス」を英語(キンドル版)で読み始めている。「ファクトフルネス」をアマゾンで探している時、英語版が日本語版の半額(9百円程度)で購入できることを知った。英語版を少し試し読みしたところ分かり易い英語なので英語で読むことにした。
「ファクトフルネス」で、著者は事実に基づいて世界を判断しようと主張する。
最初に著者は13の質問を読者に投げかけ~そして多くの読者は誤った答を出す~読者がある種の先入観に基づいて誤った答を出していることを指摘する。
例えば「世界中で病気に対するワクチン接種を受けている一歳児の割合はA.20% B.50%. C.80%のいずれか?」という問題。
私はB.50%と答えたが間違いで正解はC.80%だった。ロスリング氏によるとこの問題の日本人の正解率は6%。一番正解者が多かったスウェーデンでも正解率は21%に過ぎなかった。三択問題だからまぐれでも33%の正解率になるが、他の問題でも正解率は33%以下のものが多い。
その理由についてロスリング氏は「多くの人は世界を先進国・発展途上国という二極化で見ていて発展途上国は貧しく衛生環境も悪いという先入観で判断していることによる」と指摘している。
そしてなぜそのようなことが起きるかというと人間の脳には「危機を回避するために深く考えずに迅速に結論を出す機能が備わっている」と説明する。
以下は私の解釈だが、脳は深く考えると疲れるので、一般的にパターン化された判断を選好する。森を見て木を見ない判断の方が楽で速いからだ。
逆にいうと「ファクトフルネス」とは先入観~ある意味では古い時代の事実~でモノゴトを判断しないで、現在の事実に基づいてモノゴトを判断しなさいという提言である。
これは釈迦が悟りに至る手法~八正道~の中で説いた「正見」と軌を一にしている。我々が悟りに至ることができない原因の一つは色々な偏見という色眼鏡を通じてモノゴトを見ていることにあるのだろう。
まだこの本の15%程度を読んだところなので、感想を述べるには至らないが、読み続ける価値があることは間違いない。