金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

インフレ時代の到来をライフプランで乗り越える

2022年06月25日 | ライフプランニングファイル
 最近発表された日本のインフレ率は2%で、生活実感に近い生鮮食料品を含む総合物価指数でも2.5%です。これはアメリカの8%台に較べるとかなり低い数字です。また政府や日銀は長年デフレを脱却してインフレ率2%を目指すことを標ぼうしてきたのですから、本来は慌てることはないはずです。しかし今月行われる参院選挙では、物価上昇問題は大きな論点でしょう。
 なぜ今日本でインフレが大きな問題になっているのか?
 それは政府も家計も企業もみな心の中では「インフレなんて簡単にはこない」と高を括りインフレ対策をとってこなかったからです。
 個人の金融資産を考えると長いデフレ時代に慣れて現金と預金が一番安全という習慣がこびりついているのです。しかしインフレ時代はゼロ金利の預金に寝かせておくだけで資産の実質価値は目減りしていきます。
 デフレの時代に多くの人は「お金の時間価値」というものを考えない悪弊に落ち込んでしまいました。悪弊というのは長い人類の歴史の中でゼロ金利などというのは極めて例外的な現象だからです。
 例えば少し前に「老後資金に2千万円必要」ということが話題になりました。でもこれはインフレ率ゼロで単純計算した話です。
 2千万円の根拠は確か「平均的な家計では国の年金だけでは毎月5万円の赤字になる。その赤字が死ぬまで続くと単純計算すると2千万円になる」といったような話でした。しかし仮に2%のインフレがずっと続くとすると赤字の累積額は2,305万円になります。また仮に3%のインフレが続くと赤字の累積額は2,753万円になります。
 仮に退職時に無事に2千万円のお金を銀行口座に入れておくことができても、インフレが持続する場合は数百万円の資金不足が生じることになります。
 また国の年金がマクロスライド制によりインフレ時に物価上昇に追随して上昇しないことも問題です。その分赤字が膨らむ計算ですからインフレになるともっと資金不足が生じることになるでしょうね。
 どうすれば個人でインフレ対策を取ることができるか?ということは大きな課題です。しかしインフレ対策だけがシニアライフの課題ではありません。むしろインフレは、長い人生を生きていく上での色々な問題の一つに過ぎないでしょう。だからインフレ問題はライフプラン上の一つの問題として可視化しながら考えていくことが重要だと思います。
 ご関心のある方は「マインドマップとエクセルでライフプランノートを作る」(Kindle本 Unlimited会員の方は無料で読むことができます)を覗いてみてください。
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消費者景況感指数悪化の中で株価続伸。死んだ猫の飛び跳ねか?

2022年06月25日 | 投資
 昨日(6月24日)の米国株は「弱い経済統計」を好感して続伸した。ダウは823ポイント、2.7%上昇。3市場とも3週間連続の株価下落に一旦歯止めをかけることができた。先週年初の高値から20%以上下落して弱気相場入りしたS&P500は今週6.4%上昇した。
 昨日株価が上昇した一番の要因はミシガン大学消費者景況感指数が50と1952年に調査が始まって以来最低の数値を記録した。
 ミシガン大学の調査によると、79%の消費者はビジネス環境の見通しについて悲観的な見方を示した。これは2009年以降最高の悲観度合いだ。また47%の人はインフレは生活水準を侵食すると非難した。
 景況感の悪化は本来は株価のマイナス材料だが、株価が上昇した理由は、景気の悪化はインフレを抑制し、インフレの鎮静が明確になれば、連銀が引締めから緩和に転換するだろうという投資家の思惑を招いたからだ。実際ミシガン大学の調査によると向こう5年から10年のインフレ予想は3.3%から3.1%に低下している。WSJは金利デリバティブ市場ではトレーダーは連銀は来年後半までに金利引き下げを行う可能性があると考えていると述べている。

だが今週の相場反発をもって、株価が底を打ったと判断するのは早計だ。
これはアメリカの相場の格言Dead cat bounce「死んだ猫でも高いところから落とせば跳ねる」と考えておいた方が無難だろう。
ところで自分のgrowth portfolioを見るとドル高円安効果もあり、6月単月ではかなりプラスになりそうだ。含み益が減少する中でモノを考えると誤る可能性が多いが、少し余裕が戻ってきたところでもう少し株をキャッシュに替えて、もう一段の下げに対応しようか?などと選択肢が広がってきたことは確かだ。
このチャンスは大事にしたいと思う。
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