金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本株が下がり続ける理由

2008年01月17日 | 株式

日本株が下がり続けている。今日は少し値を戻したが疑心暗鬼で見ている。私は下がり相場の中でちょっと株価がもどる様子をfalse dawn偽りの夜明けと勝手に呼んでいる。識者と言われる人の中にはPER(株価収益率)から見て、もっと日本株が買われても良いという人がいるが、私は投資家の物差しであるPERの相場が変わったのではないか?と考えている。

「株価収益率=株価/一株当たり利益」だから、株価=一株当たり利益×株価収益率である。また株価収益率の逆数が「益利回り」だから「株価=一株当たり利益/益利回り」①とも表現できる。

ところで株価とは何か?ということを別の観点から見ると「株価の総額(時価総額)は、その企業の将来の利益の現在価値」と表現することができる。

つまり「時価総額=1年先の予想利益/(1+期待利回り)+2年先の予想利益/(1+期待利回り)^2+・・・・・+n年先の予想利益/(1+期待利回り)^nである。

企業利益がある予定成長率で伸びるとすると、上記の式は時価総額=1年後の予想利益/(期待利回り-予定成長率)②と表現することができる。

 ①と②の式を並べると「株価=一株当たり利益/益利回り=一株当たり利益/(期待利回り-予定成長率)」となる。

つまり株価が上がるということは「企業利益が上昇するか」「期待利回りが低下するか」「予定成長率が上昇するか」ということが必要で、株価が下がるとはその反対のことが起きることだ。予定成長率については日本の潜在的成長率は2%位はあるというのが政府の公式見解のようだが、私は株式投資家は本能的にあるいは生活実感的に2%の成長は無理じゃないか?と見ていると考えている。

高い成長が見込めないのなら、もっと配当利回りを期待したいということになり、株価は中々上昇しないのである。

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健康はお金で買えるのか?

2008年01月15日 | 健康・病気

今年国内外で大きな話題になるのは健康問題、特にメタボリック症候群と医療費問題だろう。メタボリック症候群については日本で今年の四月から「特定健康診査・特定保健指導」が始まるからだ。特定健康診査のスタート点は腹囲(男性85cm、女性90cm)とBMIだ。BMIとはBody Mass Indexことで、「体重(kg表示)÷身長(m表示)の自乗」で計算される。私の場合身長1.7m、体重69kgなので
69÷(1.7×1.7)=23.87である。BMI25以上は肥満とみなされるのでかろうじて踏みとどまっているというところだ。BMIが低すぎるのもやせ過ぎでいけない。一般にはBMIが18.524.9を正常範囲といっている。
医療保険問題が大きな話題になるのは米国だ。貧困層に対して税金でどこまで医療費を負担するか?という問題は大統領選挙の一つの争点になるはずだ。
「メタボ問題」と「医療費問題」は密接な関係がある。例えば日本で特定健康診査が持ち出されたのは、このままでいくと56兆円に膨れ上がる医療費を48兆円に抑えるには「メタボ対策」が必要ということで、厚生労働省が音頭をとったものだ。

ところで最近のエコノミスト誌の記事で「先進国は75歳以下の防止可能な死亡をどれ位下げているか?」というものがあった。(研究を行っているのはロンドン衛生・熱帯医療大学)
その研究によると1997年から2003年の間にオーストリアがトップで25%減少させている。二位はほぼ同率でアイルランド、
三位ノルウェー、四位英国続き日本は19ケ国中下から4番目で13%。米国はダントツに低くて4%でビリだ。

「防止可能な死」として研究は「バクテリアによる感染」「治療可能なガン」「糖尿病」「手術による合併症」を挙げている。男性の5分の1、女性の3分の1が「予防可能な死因」により死亡している。
余談になるが「防止可能」という言葉をエコノミスト誌は様々な単語で表現している。Preventableavoidableamenableという具合
に。(同意語を多様するのが、良い文章だという英語の慣習は外国人には手間がかかるものだ。)

一人当たりの医療費を一番多く使っているアメリカなのに防止可能な死亡を減らす点でもっとも成績が悪いというのはどういうことだろうか?エコノミスト誌はこの点について結論を出していないが私は論理的および現実的に幾つかの可能性があると思う。97年当時の死亡率がこの記事からは分からなかった。論理的にいうともし既に死亡率が相当低ければ改善の余地があまりないことになる。恐らく日本の改善率が低いのは既に相当「防止可能な死」は防止しているということかもしれない。

しかし米国の場合の最大の問題は4千万人に及ぶ無保険者の問題が大きいだろう。つまり金持ちは医療費をジャンジャン使っているが低所得者層は医療保険に入っていないので「治療可能なガン」のような病気でも死んでしまうということなのだ・・・と私は理解している。

医療費の各国比較は極めて難しい問題で「沢山医療費を使っているから健康で長寿だ」と断言はできない。例えばアメリカの医療費の中には高額が歯科医療(例えば歯列矯正)や近眼の手術なども含まれているのではないだろうか?もしそうだとすると「生活の質を高めるための医療費」と「死に至る病を避ける医療費」を同列に比較して良いか?という問題がでるだろう。
とはいうもののガンやメタボリック症候群を避ける生活を送るにはある程度お金が必要なことも確かだろう。

世界ガン研究基金が発表しているガン予防法はメタボリック予防法と極めて類似している。それを見ると「少し太っている方がガンになりにくい」などというのは俗説という気がする。
まず同基金は「BMIを21-23に保て」という。今の私はこの基準から見ると少し太りすぎ。身長1.7mの人は体重を60.69kgから66.47kg
する必要がある。つまり私は後2,3kg減量が必要。次に「一日最低でも30分以上活発に歩きなさい」という。これはOK。次に「赤身の肉は週300g以下に抑え、ベーコン、ハムなど食肉加工品は食べない」「食塩は一日5g以下」「炭水化物の摂取を減らす」「お酒は日に2杯まで」「100g中の125kcal以上のカロリーを持つ高カロリー食品は避ける」と続く。

脂っこいジャンクフードを食べているとたちまちアウトだし、私のように酒好きも困ってしまう。美味いものを食べなくて何の長生きか?という気がしないでもない。

ところでガンの予防とメタボ予防策が共通することについて根拠が明確になっている訳ではないが、次のようなことが推測されている。メタボリックとは新陳代謝のこと。メタボリック症候群では脂肪と糖分の代謝異常が起きる。ガンは細胞の突然変異による異常増殖だが、この異常増殖と代謝異常に何らかの関係がありそうだという話だ。

話が長くなったが「防止可能な死因」による死亡を減らすには、社会全体で健康・予防医療に対する投資が必要だ。また個人レベルでも質の高い食事を取り、ストレスを管理して、持続的に運動を行うにはある程度安定した経済基盤が必要ということになる。

良い食材で適量の食事を取って満足するには、食事や酒以上に大きな楽しみを持つということであり、健康とは結局ライフスタイルの問題になるのだろう。もっとも健康を保つには一般的には特別お金持ちである必要はない。野菜や魚を中心としてカロリーを抑えた食事を丁寧に食べ、車の利用を控えてよく歩くということでかなりガン基金のガイドラインに近づく。

とはいうものの今の医療技術の進化は著しく、痛んだ組織を再生する再生医療などが実用化してくるとお金持ちが特別な医療サービスを受けより長寿になる時代がくる可能性がある。健康はお金で買えるという側面があることは事実なのだ。

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冬の桜と蝋梅

2008年01月14日 | まち歩き

今日(1月14日)蝋梅を見に神代植物園に出かけた。出かける前にグーグルで「蝋梅 神代植物園」と検索すると、昨年私がエントリーしたブログが真っ先に出てきたので驚いた。昨年は1月13日に行っている。まるで年中行事だ。昨年のブログには暖かい日と書いてあったが、今日は寒く人出も少なかった。

Roubai3

スイセンはまだほとんど咲いていないが、2つ3つ花が開いているものがあった。

Suisen_2

二、三本僅かに花を付けている桜の木があった。「冬桜」という名札が付いている。冬の桜とはどことなく詩情のある名前だ。

Sakura

この時期の神代植物園に余り花は咲いていない。しかし木の芽を見ると木々が春に備えて着々と準備をしていることが分かる。写真はハクモクレンの芽。冬に咲く花も好きだが、寒い中春を思いながら準備を進める木々の芽も私は好きだ。

Mokuren

植物園の入り口で牡丹の展示会をやっていた。余りに鮮やかな色は鉛色の冬空にはそぐわないが、撮ってみた。曇天ではあるが、ホワイトバランスを「晴天」に修正して撮った写真が花の赤をより良く再現していたようだ。

Botan1

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白内障治療から見る先端医療技術

2008年01月13日 | うんちく・小ネタ

最近読んだエコノミスト誌の中に白内障治療技術がどんどん進化しているという話があった。今のところ私や私の家族の中に白内障の懸念があると言われたものはいないので、この病気に知見はない。しかし医療先端技術の進化を見る上で面白い記事なのでポイントを紹介した上でコメントを加えたい。

エコノミスト誌によるとニューヨーク州ローチェスター市に本拠を置くBaush & Lomb社はStellarisという白内障治療器具を開発した。現在の白内障cataractの治療は白濁した水晶体の核を超音波で乳化させ吸引除去し、折りたたんだ人工レンズを挿入するというもので日帰り手術も頻繁に行われている。エコノミスト誌によると切開する幅は2mm以下(日本のホームページを見ると5mm程度というものが多かった)ということだ。Stellarisという装置は上記の吸引除去とレンズの挿入を一緒に行う装置だ。

エコノミスト誌は更に次のステップとして「焦点調節型の人工レンズ」の普及が課題だと述べている。人間の眼と同じように焦点距離を変えることが出来る人工レンズを眼科医、そしてレンズメーカーも欲しいと思っている。既に数少ないが市場にもこのタイプの人工レンズは出ているとエコノミスト誌は言っている。例えばカリフォルニアの階差hEyeonics of Aloso ViejoのCrystalensなどだ。そしてその次に明るさに対応する人工レンズの出現が望まれるという。

ところで白内障は文明国では比較的簡単に治すことができる病気だが、低開発国では失明の最大の原因だ。医療サービスの格差が人生のクオリティに差を与えている大きな例だ。白内障の治療技術が進展し、サービスを提供できる医療機関の差が拡大してくると文明国の中でにも受けた医療サービスの違いで患者に大きな生活の質の差が出る可能性があると思った次第である。

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酒は大変

2008年01月12日 | うんちく・小ネタ

先週酔っ払って帰宅し、ワイフに暴言をはいたらしくすっかり怒らせてしまった。「はいたらしく」というのは覚えていないということで始末に悪い。年とともに酒に弱くなってきたような気がするので注意が必要だ。

「人の世にたのしみ多し 然れども酒なしにして なにのたのしみ」(若山牧水)

そのとおりである。しかし酒が取り返しの着かない事故を招いたり人間関係を傷つけたりすることも事実。

今日お茶の時間に合わせてケーキを買って帰った。

「かみさんに ケーキ一つで詫びを入れ」(北の旅人)

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