金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ブラジルと中国、ドルを切れるか?

2009年05月19日 | 金融

18日付のファイナンシャルタイムズは「ブラジルと中国の間で、両国間の貿易決済に米ドルの替わりにレアルと人民元を使うための準備が始まってる」と報じてた。

今週北京を訪れているブラジルのルラ大統領と中国の胡錦濤主席は先月のロンドン・サミットでドルの替わりにレアルと人民元を使うというアイディアについて討議を行った。ブラジルの中央銀行はまだこの話は初期の段階であることを強調している。また同行によるとこれは貿易以外の決済にも使われる通貨スワップではなく、あくまで中国製品を買うブラジルがレアルで、ブラジル製品を買う中国が人民元で支払うという貿易のみに関するものだ。

中国人民銀行の周小川総裁は少し前に国際通貨としての米ドルをSDRに代替することを提案していた。この提案に対してエコノミスト達はSDRプランは現時点では実現性がないと主張していたが、中国とその貿易相手国の二国間決済についてはより実現性があると見ている。

人民元が国際貿易の決済通貨として受け入れられたり、アジア地域におけるリザーブ通貨としての地位を高めることは中国の世界における影響力を強めるだろう。

このことをどう評価するべきか?なのだが、私は遅かれ早かれ中国の経済力が米国に接近し拮抗するので、人民元が国際決済通貨として地位を高めることは当然のことだと思っている。問題はそれにより影響力を強める中国が「人権」だとか「自治」ということについて欧米並みの先進性にいつ到達できるか(あるいは到達できないか)という問題である。「人権」を軽視する大国の影響力が高まることは隣国として神経質にならざるを得ない問題である。

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大手邦銀、投資銀行業務を伸ばせるか?

2009年05月18日 | 金融

週末のファイナンシャル・タイムズは銀行協会会長である三菱UFJ銀行の永易(ながやす)克典頭取のインタービュー記事を載せていた。ポイントは次のとおりだ。

  • ユニバーサル・バンキング・モデルが批判されているにもかかわらず、日本の最大手銀行は国際的に競争力のあるユニバーサル・バンクを目指して再出発する。
  • 世界の金融市場で重要な役割を担うには、高いレベルのユニバーサル・バンキング機能が必要である。商業銀行と投資銀行双方のオペレーションを持っていないと、ビッグ・ディールで競合することはできない。

永易頭取は又三菱UFJフィナンシャルグループは、モルガン・スタンレーに20%以上の出資を行っているが、更に海外の金融機関との提携や投資に熱心だろうと述べた。何故なら日本の銀行は先進的な金融技術面で極めて弱くまた顧客ベースも弱いので、海外金融機関との提携が必要と考えているからだ。

また永易頭取は90年代と2000年代の銀行危機をベースに、景気回復に重要な3つのステップがあると述べた。それは「厳密な不良資産の査定」「優良資産と不良資産の分別」「優良資産を持つグッドバンクにおける資本再構築」だ。彼は不良資産の価格決定が困難なので、金融危機を短期に解決することは困難だという見解を示した。

ところでこのインタービューの内容は三菱UFJを初め大手行の役職員の方も見られているだろうが、日本の銀行が先進的な金融部門で顧客ベースが弱いということには納得できても、金融技術面で極めて弱いから外資との提携が不可避という発言には抵抗を覚えるのではないか?と私は感じている。

恐らく日本の金融技術が抱える問題は、その他の技術全般と同じく、互換性やスケールメリットの欠如などという点にあると私は考えている。このことは戦前の日本軍が部分的には優秀な武器を作りながらも、消耗品や部品の互換性(例えば弾丸や小銃のねじなど)を欠いたため、実戦では性能を発揮できなかったこととある共通点を持っていると私は感じている。これは個々人やセクションの技術の問題というよりは、会社としてあるいは業界としての経営戦略の問題であろう。もしその戦略に革新がないと提携も外資への投資も期待した成果を生むことはないだろう。

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なすの花が咲く

2009年05月18日 | 男の料理

ゴールデン・ウイークに植えたナスの花が咲いた。

Nasu

ついでにいうと苗3本を幅60cmのプランターに植えていたが、日曜大工の店の人が少しきついというので1本を丸いプランターに移した。

これから支柱を作ったり、わき芽を摘んだりする必要がある。私が参考にしているのはタキイ種苗のHP。http://www.takii.co.jp/tsk/y_garden/spring/nasu/index.html ご参考までに。

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三週続けて百名山

2009年05月17日 | 

今月は三週連続で「日本百名山」に登った。「百名山」を意識した訳ではないが、自分でも珍しい記録である。第一週は飯豊山、これは大学山岳部の後輩と登ったハードな山。続いて秩父の両神山、これはソコソコの山。そしえ今週の大菩薩嶺、、これはこの三山のなかでは易しい山だ。

5月17日(日曜日)総勢10名の某銀行の会長をリーダーとする某ロータリークラブの連中は午前9時35分過ぎ、大菩薩山塊の麓「福ちゃん荘」を出発(そこまではタクシーで行った)、唐松尾根を雷岩に向かう。私は春夏秋冬大菩薩を歩いているこの山塊が好きだ。好きな理由の一つは明るさだろう。峠から雷岩に続く稜線からは天気が良いと富士山が良く見える。しかし今日はあいにくの雨模様だ。何回も大菩薩に来ているが、今日のように天気が悪いことはなかった。何故かというと一人で大菩薩を登る場合、天気が悪いと中止していたのだろう。

雷岩到着は10時40分頃。眺望のない頂上(大菩薩嶺)は割愛して大菩薩峠に向かうことにする。写真は雷岩の少し東側の岩場だ。

Kaminariiwa

風が強く仲間の皆さん、バランスキープに苦労している。

Kiri

峠に向かう道から霧の中に浮かぶ枯木が見える。11時30分頃峠到着。山小屋で一服して全員で「うどん」を頂く。一杯650円也。冷えた体にはおいしい。

12時過ぎに出発して「福ちゃん荘」を目指す。ここからは緊急用自動車も通う緩い道だ。鳥の鳴き声や植生の変化を楽しみながらゆっくり降る。途中鹿が大きな木の幹を削った跡に出会った。

Shika

更に降ると可憐な白い花をつけた潅木に出会った。帰宅後図鑑で調べると「オオカメノキ」の花の様だった(間違っている場合はご指導ください)。

Ookamenoki

午後0時45分、予定通りタクシーで福ちゃん荘を出発して、日帰り温泉「大菩薩の湯」に向かう。温泉までは約30分。温泉は「源泉かけ流し」ではないがヌメリのある良い湯だった。温泉の後は蕎麦屋「七福」に行き馬刺しなどで生酒や甲州ワインを頂く。1時間半程の間に馬刺しの他コシアブラのてんぷらなどでワインや日本酒を存分に楽しんだ。

「七福」については馬刺し・コシアブラはOK、しかし最後に食べた蕎麦は「こしが乏しく今一」だったと感想を申し上げよう。かようにして某ロータリークラブのメンバー(私はメンバーではないが)による「初めての本格的登山」である大菩薩嶺登山は悪天候の中で無事終了した。

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不況が鍛える日本の会社

2009年05月15日 | 社会・経済

14日付のエコノミスト誌に「不況下の勝ち組である日本の会社」を紹介していた。紹介されている会社自体は、ユニクロ(ファーストリティリング)、無印良品(良品計画)、東洋水産、ニトリなど日本のマスコミでも取り上げられているもので、目新しい話はない。

面白いと思ったのは、エコノミスト誌が紹介していた早稲田の川本裕子教授の「日本より競争の激しい市場では好況であれ不況であれ、革新を行う傾向がある。しかし日本では景気の下降局面で往々にして企業や消費者は新しいことを試みる」という分析だ。

エコノミスト誌は「80年代にユニクロがスタートした時、日本の衣料品店には極めて高価なものか安くて極めて品質の悪いものしかなくその中間がなかった。その中でユニクロは二つの改革を行った。Tシャツ、ジーンズ、セーターなどベーシックでユニセックスな衣料品への集中と中国での生産だと述べる。一般的に中国製=安物というイメージがあるので日本の消費者は中国製品を敬遠する傾向があったが、この既成概念に挑戦したということだ。

エコノミスト誌は「ユニクロの柳井社長の会社を世界一の衣料品小売業にするという野望は不条理なものではない。フォーブスは彼を日本一の富豪にあげた」と結んでいる。

ユニクロ、無印良品、ニトリなどに共通することは「ベーシックでシンプルだが質の高い商品を安い価格で提供する」ということだ。彼らは恐らくそれまでの日本人の一般的な消費神話~高額ブランド志向、日本製志向など~を変えたのだろう。今回の不況が終わっても日本人の所得が大きく伸びることはないと考えると(その理由は日本の周りには中国やインドのような膨大な労働力を抱えた大国があり、そこから安価な労働力が持続的に流入するということ)、彼らのコンセプトはかなり長いトレンドを形成するだろう。

私はブログや雑誌でしばしば「オーバースペックの終焉」ということを書いているが、衣料品や基本家具におけるベーシック・低価格商品への回帰は、家電・車などにも及ぶと思っている。

では総ての分野で低価格商品への回帰が進むのだろうか?これについて私は金銭的に余裕のある人は参加型の趣味の分野~たとえば高級自転車~で、もっとお金を使うのではないかという仮説を持っている。人は単に「高いものを所有する」満足から、それを使い自分を高めることに満足を見出す時代に向かっているのではないだろうか?

もしこの仮説が正しいとすれば、景気が回復した時にはそのようなハイエンド市場にも活路はあると考えているがどういうものだろうか?

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