金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「人民元問題、平静を保つべし」とエコノミスト誌主張

2010年03月16日 | 国際・政治

昨日(3月15日)のFTによると、米国で130名の国会議員がガイトナー財務長官とゲイリー・ロック商務長官に「来月の為替政策報告書で中国を外為操作国に指定するべし」という文書を送った。「これはかって見たこともないほどの国会議員の超党派的意気込みだ」とある議員は述べている。

この米国議会の意気込みに冷やし玉を入れているのが、エコノミスト誌のYuan to stay coolという論説だ。エコノミスト誌は「元高を促進するため、米国の政治家ができる最良のことは、冷静さを保つことだ」と主張する。

主旨は次のとおりだ。

  • 人民元のドル・ペグを速やかに終わらせることは、中国とともに全世界にとって経済的に意味がある。より強くてフレキシブルな通貨により中国はインフレと資産バブルをコントロールすることがより容易になるだろう。元高は中国の消費者の購買力を高め、内需を拡大し産業界の過大投資を抑制するだろう。その結果中国経済は輸出依存から内需依存へバランスを修正することになるだろう。
  • だがこれは中国にとってもそれ以外の国にとっても特効薬ではない。中国のリバランスには、強い通貨とともに税制から企業統治に至るまでの大きな構造変革が必要だ。強い元はたちどころに米国に数百万人の職を復活させるものではないだろう。米国は中国から輸入しているものをもはや国内生産はしていないので、元高は最初は消費者に対する税金のように作用するだろう。

エコノミスト誌は「9.7%という高い失業率が続く中で、中間選挙を迎える米国ではチャイナ・バッシングの声が起きている」と指摘する。しかし議会の動きはプラスの効果は生まないだろうと予想し、「米国は二国間でゴタゴタを起こすより、G20で他の大国にも中国に人民元高を要求するように同調を求めることがより良い結果を生むだろう」と結論つけている。

選挙が近づくと、選挙民に受けの良いアピールを行うことはどの民主主義国家も同じこと。ついこの前までは、大恐慌の崖っぷちにいたので、中国に景気回復の先導者になってもらうことを期待してチャイナ・バッシング論は影を潜めていた。しかし米国の景気回復が鮮明になるにつれ、バッシング論が再び勢いを盛り返してきた。

うがった見方をすると、それだけ経済の先行きにユトリが出てきたということだろうか?

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コートを脱ぐ日

2010年03月16日 | うんちく・小ネタ

冬が近づくとコートを着て、春になるとコートを脱ぐ。毎年毎年この繰り返しだが、意外に何時からコートを脱いだのか?は記憶していない。

今年は昨日(3月15日)からコートを脱いだ。15日というのは月の真ん中なので覚えやすいだろう。来年の今頃覚えているかどうか記憶力テストのようなものだ。

ところで春は突然やってくる。先週まで寒い日が続いたが、今日から朝の暖房も切っている。もっとも今書斎でパソコンに向かっているが少しひんやりとしている。

山口瞳氏の「男性自身」の中に「いっぺんに春」というエッセーがある。その中で山口さんは「そうして、しかし、春は、突然に、一度に押しよせるようにやってくるのである」

残念ながら昨日も今日も曇りで押しよせるほどの春の実感は乏しい。しかしコートを脱ぎ、暖房を切るともう春である。週半ばには日差しが戻り、春は一度に押しよせるだろう。

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「消費税増税・法人税減税」を応援しよう。条件付だが。

2010年03月15日 | 政治

今日(3月15日)の日経新聞朝刊に「国税、消費頼み鮮明」という記事が出ていた。景気低迷で法人税の税収が激減し、間接税への依存率が48%まで高まっているという内容だ。記事は「おぼろげながら、今後の税制見直しで『消費税増税と法人税減税』をパッケージにするシナリオが浮かび上がりつつある。」と述べ、「ただ、日本では『企業には減税、個人には増税』とのイメージに結びつけられがちで、『政治的には受けが悪い』とする声がなお根強い」と結んでいる。

だが今こそ有識者や政治家がポピュリズムを排除して、「法人税の減税と消費税の増税」の必要性を真剣に主張する時期だと私は考えている。鳩山首相は参院予算委員会で法人税の引き下げに意欲を示したと聞く。私は民主党政権を支持するものではないが、この発言については大いに評価したい(願わくばコロコロ発言を変えないで欲しい)。

企業が活力と国際的な競争力を回復し、ある程度の経済成長をもたらさない限り、今日の日本が抱える深刻な需要不足や若年層の雇用不足問題は解決しないのである。

ただし法人税の減税については条件がある。それは企業に労働者への配分を高める政策と新規採用に関する制度的な見直しを求める政策を同時に実施することだと私は考えている。

労働者への配分を高める方法は具体的にいうと「同一労働同一賃金」の考え方を徹底することである。価値観や人口構成の変化により、人々の働き方や雇用契約は多様化する。

日本の終身雇用制は労働力不足の時代に、熟練労働者を企業が囲い込む手段として発達したものだ。また金融等サービス業でも「辞令一本でどこにでも転勤させることができる総合職」を確保しておく手段であった。この場合企業は総合職に現在のパフォーマンスを超える給料を払っている場合がある。この超過分=プレミアムは一種のオプション料だ。従業員は「会社の辞令でどこにでも転勤する」というオプションを会社に売り、プレミアムを受け取っていたのだ。

だが時代は変わっている。人材の流動化を促進するとともに、多様な労働力を活用する方法を生み出さないといけない。そのキーワードは「同一労働同一賃金」だ。また「残業代」の割増率を欧州並みに引き上げることも必要だ。割増率を高めると「高い残業代を払うよりは人を雇おう」と企業は考えるようになる。

新卒問題についていうと、制度的に「総ての新卒採用者は一定期間仮採用である」という仕組みを作ることだ。こうすると企業は採用についてもっと弾力的に対応できるのではないだろうか?また新卒者は志望外の分野の企業にでも「とりあえず」就職することができるだろう。

私は新卒者にとって「実務教育」を受けることが大事だと考えている。実務教育を受けることなく、2,3年も経つと就職の機会は極端に少なくなるようだ。

このようなパッケージを作り、企業の活力を高めながら、雇用を増やす政策が必要だろうと私は考えている。

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スキー百名山考察

2010年03月14日 | 

この記事は極めてマニヤックである。つまり山スキー愛好家のみを対象としている。従って山スキーに興味のない人はパスして下さい。

週末に日帰りで深田久弥の日本百名山の一つ安達太良山にスキー登山に出かけたことから、百名山の内どの山が日帰りスキー登山が可能か考えてみた。

まずはこの前登った安達太良山、朝6時過ぎに西東京市の自宅を出て夕方6時頃には帰宅できるので日帰りスキー登山の対象として第一級だ。

谷川岳も良い。こちらも数年前のゴールデンウイークに朝東京を出てゴンドラを利用して登頂後、熊穴沢を滑った。その日の午後、越後の巻機(まきはた)山の麓に回ったので日帰りはしていないが、正味4時間程で登山と滑降ができるので十分日帰りができる。ただし厳冬期や雪崩の多い時期の熊穴沢は要警戒だ。

四阿(あずまや)山には早朝にマイカーで東京を出て「あずまや高原ホテル」の前に車を止めてスキーで山頂を往復した。翌日隣の根子岳に登るためホテルに泊まったが、午後の早い時間に下山したので日帰り登山は可能。ただし乗り合いバスの便は悪いので公共交通機関による日帰りスキー登山は難しいだろう。

至仏山もゴールデンウイークには日帰りツアーが可能だ。私はマイカーで戸倉に入りそこからシャトルバスで鳩待峠に入り、そこから至仏山に登り尾瀬沼の山ノ鼻まで滑降してそこで泊まり、翌日再び至仏山を登り、ワル沢を滑降して鳩待峠に戻ったことがある。楽しい一泊二日のスキーツアーだったが、日帰りスキー登山も可能である。

上州の武尊山もスキー場(オグナほだか)のリフトの終点から1時間で前武尊に登ることができ、そこから荒砥(あらすみ)沢を滑ることができる。ただし前武尊からの滑降を持って武尊山からの山スキーというには抵抗がある。

以上はこれまで経験したところの話だが、未経験のところでは「グランデコから西吾妻山」が日帰りツアーの対象になりそうだ。吾妻連峰については高校生の修学旅行でバスに乗り、火口の目立つ吾妻小富士を見た記憶があるが登山をした記憶はない。深田久弥は日本百名山の吾妻山の冒頭で「吾妻山と呼んでもこれほど茫漠としてつかみどころのない山もあるまい」と述べている。要は代表的なピークがなくどんぐりの背比べのような山が並んでいる訳だ。だが一応最高峰は西吾妻山である。手元の資料を見るとグランデコのゲレンデのトップから西大巓を経て西吾妻山頂上経由でグランデコに戻るコースが6時間だ。

朝8時15分に郡山を出るシャトルバスに乗るとグランデコに10時に到着する。午後4時半に出るシャトルバスに乗ると郡山に6時15分に着く。計算上は日帰り可能コースだがノリシロが少なすぎるかもしれない。

それにしても東京から日帰り可能な百名山スキー登山コースは意外に多いことを改めて認識した。蔵王なども研究の余地があるところだ。日本は山という資源に恵まれていると改めて感じた次第である。

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安達太良山、雨中スキー登山行

2010年03月14日 | 

今年の2,3月の週末は天気の悪い日が多かった。山スキーに行こう、行こうと思いながらタイミングが合わなかった。3月13日(土曜日)日本海側は雪ながら太平洋側は曇時々晴という予報なので、前から考えていた安達太良山(1,699m)に日帰りで出かけることにした。

智恵子抄で有名な安達太良山というと東京から遠い気がするが、東北新幹線を利用すると簡単に日帰りすることができる。冬に日帰りスキー登山ができる百名山をあげるとするとまず入れて良い山だ。ただしアプローチのバス便は余り良くない。私は郡山駅を9時に出発する福島交通の「あだたら高原スキー場行き」のシャトルバス(運賃600円)を利用した。これが一番良いだろう。ただし要予約である。

バスは岳温泉を経由して約1時間であだたら高原スキー場に着く。岳温泉に入った頃から運転士さんがワイパーを回し始めた。「安達太良山の上に毎日出ている青い空が智恵子のほんとうの空」のはずだが、安達太良山は重い雲の中だ。携帯電話で雨雲情報を見ると雨雲は見えないが、山は雨なのである。10時スキー場到着。「山の上は雪だろう」と期待を抱いて、ゴンドラに乗る(900円)。ゴンドラは一気に1400m地点に運んでくれた。10時25分ゴアテックスの雨具上下に身を固めて、シール登山を開始。雨粒が雨具を叩く。気温が高く中々雪にならない。時々下山してくる登山者や山スキーヤーに出会う。

1500m地点まで登るとかなり雪混じりになってきた。しかし風が強い上ガスが出て視界が悪い。このルートは3,40m毎に赤旗の目印があるが、時々目を凝らさないと見えない時がある位だ。

頂上に近づくと強風で雪が飛び、ゴツゴツした岩が出てくる。11時40分頂上まで200m程残すがここを今回の到達点とする。

Adatara

当初の計画では安達太良山登頂後、勢至平を回って塩沢温泉へ滑り込む予定だったが、視界が悪く初めてのコースでは迷う可能性があるので、往路を滑って降る。シールをはずして滑り出すと早い。ただし最初を赤旗を慎重に追いかけて丁寧に滑った。一部平坦地がありやや面白みにかけるコースだが、危険なところはないので山スキーの初心者にも向いているコースだ。

ゴンドラの上の駅からはスキー場を降る。アンドロメダという最大斜度33度の中上級コースを大きなパラレルターンで降りる。天気が悪いのでスキーヤーもボーダーもほとんど滑っていなかった。12時30分ゲレンデ入り口到着。「風が強いのでゴンドラの運行は一時中止します」というアナウンスが流れていた。

Huuu

子供等は背を丸めて風を避けていた。下の写真は今回使ったフリーベンチャーという短い山スキーだ。フカフカの新雪では長いスキーの方が良いがこの程度の雪ならこちらが取り回しが良い。電車やバスの乗り降りにも便利だ。

今回の登山路はほぼ夏道どおりだった。赤がゴンドラより上、青はゲレンデ内滑走ルートだ。

Ski_2

Myski

岳温泉までいく乗り合いバスの出発時間は午後1時半なので、富士急高原ホテルで温泉に入って体を温めた。問題は岳温泉からJRまでのバス。2時40分に郡山行のシャトルバスがあることが分かったので、バス停近くの食堂でビールを飲んだ後、辺りを散策した。

岳温泉は寂れている。

Dakeonnsen

寂れた温泉にはトイカメラ(オリンパスのアートフィルターを使った)の写真が合う。

廃屋にギャラリーの札が下がっていた。

Haioku

 

犬も倦怠している。

Wanko

不完全燃焼の安達太良山スキー登山はこうして終わった。新幹線に乗って一杯飲んでいるともう大宮である。この近さが岳温泉を寂れさせたのだろうか?安達太良山は東京から近い山だ。近くて手頃なのだけれど、やはり東北の山だけあって天気が悪いと中々手強い顔を見せる・・・・と思いながら私は人で溢れる大宮駅から池袋に向かった。

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