金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ロボットは東電の過密な工程表を助けうるか?

2011年04月19日 | ニュース

17日日曜日に東電が発表した原発安定化の工程表によると、6~9ヶ月をメドに、原子炉を100度未満の安定した状態「冷温停止」させることが骨子だが、専門家からはスケジュール感に疑問がでている。

ニューヨーク・タイムズはRadiation poses barrier to repair work at plant「放射能が修復作業の障害」という記事でこの問題を指摘している。

17日日曜日放射能が高くて、人が近づけない二つの原子炉に米国製のロボット2台が入り、放射能濃度を測定した。使われたロボットはパックボットPackBotというiRobot社のロボット。iRobot社はルンバRoombaという日本でも有名なお掃除ロボットを作っている会社だ。パックボットは重さ27.2kg(60ポンド)で、鉄製の腕とトラックターのような無限軌道を持っている。

タイムズによると、そのパックボットが検知したところでは、1号炉の放射線量は1時間辺り49ミリシーベルトで3号炉の放射線量は57ミリシーベルトだった。日本では作業員の年間被曝許容量は250ミリシーベルト(原発事故後引き上げられた)なので、数時間の作業で年間許容量に到達してしまう。原子力安全・保安院の西山審議官は「この放射能のレベルで、6ヶ月~9ヶ月の間で冷温停止に持ち込むには東電はクリエイティブである必要があるだろう」と述べている。つまり今までにないやり方が取られない限り、このスケジュールは難しいということだ。

原子力安全委員会の班目委員長は、昨日記者に「2号炉内の放射能で汚染された水の存在が特に難問だ」と述べる。圧力制御室(格納容器の一部)が破損している2号炉については、破損部分を密封する必要があるからだ。タイムズは班目委員長の「きついスケジュールが安全性の無視につながらないことを確認しなければならない」という言葉を紹介している。

約半月前に米国から到着したパックボットは、約15kgの重さのものを持ち上げることができる。ロボットを使って放射能で汚染した物質の取り除きが進むと東電が立てた計画を遂行できるかもしれない。

しかし私は直感的に東電の工程表は少しタイトではないか?と判断している。それは「政府に言われて作った」という背景からだ。政府は避難関係者から「何時になったら帰ることができるのかスケジュールを示せ」と迫られ、東電に工程表を作らせたのだ。だからボトムアップ的でない。専門家や優れたマスコミはその危うさを嗅ぎ取っているようだ。

ともあれパックボットやT-Hawksのようなラジコン飛行機の力などを総動員して、前例のないオペレーションを展開する必要に迫られている。

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雪崩事故のニュース、結構不正確ですね

2011年04月19日 | ニュース

先週の日曜日(17日)「谷川岳頂上付近で雪崩発生。4名の登山者が重軽傷」というニュースがあった。このニュースを私に教えてくれたのは、GWに一緒に谷川岳に登る予定をしているS君だった。

早速インターネットで正確な情報を得ようとマスコミ各紙を検索したが、雪崩の場所について正しく伝えているメディアは少なかった。例えば「谷川岳頂上付近の標高1,400m地点」などという記述がある。谷川岳の標高は1,963mなので、これではどこなのか分からない。

その中で正しい(と思われる)情報を発信していたのは「スポニチ」と「NHK」だ。この二つは雪崩発生の場所を谷川連峰の北側の「コマノカミノ頭(1,464m)の頂上付近」と特定している。

コマノカミノ頭という名前は、山好きの僕でも今まで知らなかったから、一般の人はまず知らないだろう。「上越のマッターホルン」と呼ばれる大源太山に近い山だから、谷川連峰と呼ぶべきかどうか疑問(谷川岳から10km程離れている)だが、一般受けするように「谷川岳で雪崩」という記事になったのだろう。ただしこのような「誤った情報」は混乱を招く可能性がありそうだ(例えば谷川岳に登っている人の家族に不要な心配を与えるなど)。

ネットで調べてみるとコマノカミノ頭は、藪の多い鋭鋒で登山時期は積雪期のみということだ(夏は道がない)。非常に玄人好みの山なのだ。

山の話はこれ位にして、このニュースはマスコミのあり方について幾つか示唆を与えてくれた。第一にマスコミは正確性よりも一般大衆の分かり易さ・受けの良さを狙う傾向があるということだ。第二に必ずしも発行部数の多い全国紙が正しい報道をしていることはないということだ。第三に正しい(と思われる)情報を得るには、少なくとも複数のニュース源を当ることだ(本当は警察・消防等プライマリーな情報源に当るのが良いが、一々そこまでするのは大変)。第四に読み手が、記事の信憑性を判断できる知識を持っていないと、正しい情報を選び出すことができないということだ。

福島原発などでもこのように「一般受けを狙った不正確ないしは誤った情報」が、大手マスコミから流されている可能性はあるのだろう。ただし原発問題について知見が乏しい私には、雪崩のニュースのように正しいニュースを切り出す自信はない。困ったことだが。

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成都でも住宅は年収の25倍、これは異常ですね

2011年04月18日 | 社会・経済

中国のインフレに歯止めがかからない。金曜日の政府発表によると、3月の消費者物価指数は過去3年で一番高い5.4%の上昇だった。ニューヨークタイムズのInflation in China poses big threat to global tradeという記事によると、「上海中心部の平均的なアパート(日本のマンション)の価格は50万ドルを超え、成都のよな二番手クラスの都市でも典型的な住宅価格は住民の年収の25倍を超える」ということだ。

上海市民の年収は、上海市(人力資源和社会保障局)によると42,789元、1ドル6.53元で換算すると6,552ドルだから、上海中心部のマンションの価格は年収の76倍になるという計算だ。

東京に置き換えて考えると、東京の平均世帯年収は約8百万円だから、上海中心部のマンションはその76倍の6億円ということになる。また成都のケースを年収倍率で東京に引きなおすと、平均的な住宅価格は2億円ということになるから、異常な世界だ。

先進国の新築住宅価格と年収の関係について調べてみると、大体住宅価格は年収の4倍から6倍である(住宅経済データ集より孫引き)。例えば米国の場合、平均年収は6.1万ドルで住宅価格は24.8万ドルで年収倍率は4倍だ。また日本(全国・戸建)の場合は年収は717万円で、住宅価格は3,551万円、年収倍率は4.95倍だ。

CNNが無料で提供してる「住宅ローン借入可能額計算表(勝手な訳)」http://cgi.money.cnn.com/tools/houseafford/houseafford.html

の積極モデル(住宅ローン返済額の年収に占める割合を33%とする)で、年収1,000万円相当の人が頭金なしで借入可能額を計算すると、年収の4.6倍の4,600万円強となる。

つまり余程の賃金上昇でもない限り、年収の25倍を超えるような住宅は一般的に購入できるものではない。

無論中国政府もそのことは十分理解していて、不動産価格の抑制と向こう数年間にわたり、安い住宅を提供するために数千億円相当の支出を行なうことを約束している。

だがアナリスト達は中国の経済成長は、インフレを助長する不動産開発と政府の道路、鉄道などのインフラ投資と連携していると指摘する。2011年第1四半期の固定資産投資は前年同期に較べて25%増加、不動産投資は実に37%増加している。

一般の中国人が住宅を入手できるようになるためには、不動産価格が下落するか、賃金が上昇する(あるいはその両方がおきるか)ことが必要だ。住宅価格の急激な下落、つまりバブルの崩壊は、不良債権の激増を招くし、賃金の上昇は更なるインフレ圧力を生み出す。タイムズはクレディスイス香港のエコノミストTao氏の「中国は新しい時代に入りつつある。過去10年間インフレ率は1.8%程度だったが、次の10年のインフレ率は5%近いだろう」という言葉を紹介している。

5%のインフレ率が中国の経済と社会にどのような影響を持つか?また日欧米など世界の経済にどのような影響を持つか?これは目を離せない問題である。

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GW後の京都旅行、取れました。震災の影響で旅行減か?

2011年04月18日 | うんちく・小ネタ

5月の7日(土曜日)-8日(日曜日)で、久しぶりに京都の実家に帰ることにし、昨日JR東日本で往復新幹線+ホテルのツアーパックを申し込んだところ簡単に予約できた。5月2日や6日を休むと今年は大型連休になるのだが、東日本大震災の影響で旅行者が減っていると見えて、人気の京都もホテルは空いているようだ。

因みにJR東日本のHPで5月3日など連休前半の列車・ホテルの空き具合を見てもまだかなり余裕がありそうだ。往復新幹線と一流ホテルの宿泊をパックにしたこのプラン。観光シーズンの端境期は、往復新幹線代程度まで料金が下がり「どこでホテル代が出るのかしら?」と疑問を感じることがあるのだが、さすがにGW前半は高く、4万円程度はしている。

7-8日のパックはもう少し安かったがそれでも3.5万円程度。書入れ時なのに旅行者の足は鈍くて、旅行会社の人も価格設定に頭を悩ませているのかもしれない。

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羽村取水堰を回って90kmサイクリング

2011年04月16日 | サイクリング

4月16日土曜日、昨日までの天気予報は良い方にハズレて晴。風邪気味のワイフは仕事に出かけるが、私はサイクリングに出かけることにした。この時期は暑からず寒からず絶好のサイクリング日和。自宅を出発したのは午前8時50分。先週台北では余り自転車を走らせることが出来なかったので、今日は少し遠出を試みた。行き先は多摩川自転車道の上流の起点・羽村取水堰だ。

自宅から青梅街道を走り、40分程で昭和記念公園の北側に到着。ここから昭島方面に走り、奥多摩街道を経て「くじら運動公園」を通って多摩川サイクリングロードに入った。桜が咲き誇るサイクリングロードを走り10時に羽村取水堰に到着。自宅からの走行距離は27kmだ。

Hamura1

この取水堰は江戸時代は四代将軍家綱の時、玉川兄弟がここから江戸市民の飲み水のため生活用水路を開いたその取り込み口だ。

取水堰には現在の上水道の取水経路が示されている。貯水池付近はサイクリングの目的地になっているので周辺を走ることは多いが改めて水の流れを見ると多摩地区はフラットなんだなぁと思う。

Suigen

都心や自宅の付近では散り始めた桜だが、多摩川上流では今が満開だった。

写真は羽村取水堰から4,5km下った多摩中央公園の枝垂れ桜。今日のサイクリングで出会った桜の中で一番だった。

Tamachuuoukouen

そこから更に4,5km下流に向かい拝島橋の手前にくると、満開の桜並木が多摩川の左岸に広がっている。

Akisima

多摩川サイクリングロードを走って感じることは、上流と下流では桜の状態が違うということだ。この付近は満開からやや散り気味だが、もっと下流にいくと花は終わっている。

天気は良いが向かい風が強い。太平洋側の高気圧から日本海側の低気圧に向かって風が吹いているのだろう。今日は特段目標を定めていないが、90km程走ることを目的にして、多摩川サイクリングロードを更に下流に向かって走ってみた。

川幅が広くなる調布を過ぎると、サイクリングロードは未舗装の土手道に変わったりしてややこしくなってきた。二子玉川の手前で左折して、砧浄水場の西を走り東名自動車道を左手に見て、野川サイクリングロードに入った。

今日はここを折り返し地点として自宅に戻ることにした。途中喜多見大橋の手前のコンビニで冷やし中華を買い、近くの次大夫堀公園でぼそぼそと食べた。自宅に戻ったのは午後2時。休み休みのサイクリングだけれど、90kmのサイクリングだった。多摩川サイクリングロードは調布より北は舗装されていて走り易い(立川で一部川を離れて民家の間を走るところがあるが)。一度河口まで走りたいが、下部の未舗装道路部分をどう走るからはこれからの研究課題だ。

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