17日日曜日に東電が発表した原発安定化の工程表によると、6~9ヶ月をメドに、原子炉を100度未満の安定した状態「冷温停止」させることが骨子だが、専門家からはスケジュール感に疑問がでている。
ニューヨーク・タイムズはRadiation poses barrier to repair work at plant「放射能が修復作業の障害」という記事でこの問題を指摘している。
17日日曜日放射能が高くて、人が近づけない二つの原子炉に米国製のロボット2台が入り、放射能濃度を測定した。使われたロボットはパックボットPackBotというiRobot社のロボット。iRobot社はルンバRoombaという日本でも有名なお掃除ロボットを作っている会社だ。パックボットは重さ27.2kg(60ポンド)で、鉄製の腕とトラックターのような無限軌道を持っている。
タイムズによると、そのパックボットが検知したところでは、1号炉の放射線量は1時間辺り49ミリシーベルトで3号炉の放射線量は57ミリシーベルトだった。日本では作業員の年間被曝許容量は250ミリシーベルト(原発事故後引き上げられた)なので、数時間の作業で年間許容量に到達してしまう。原子力安全・保安院の西山審議官は「この放射能のレベルで、6ヶ月~9ヶ月の間で冷温停止に持ち込むには東電はクリエイティブである必要があるだろう」と述べている。つまり今までにないやり方が取られない限り、このスケジュールは難しいということだ。
原子力安全委員会の班目委員長は、昨日記者に「2号炉内の放射能で汚染された水の存在が特に難問だ」と述べる。圧力制御室(格納容器の一部)が破損している2号炉については、破損部分を密封する必要があるからだ。タイムズは班目委員長の「きついスケジュールが安全性の無視につながらないことを確認しなければならない」という言葉を紹介している。
約半月前に米国から到着したパックボットは、約15kgの重さのものを持ち上げることができる。ロボットを使って放射能で汚染した物質の取り除きが進むと東電が立てた計画を遂行できるかもしれない。
しかし私は直感的に東電の工程表は少しタイトではないか?と判断している。それは「政府に言われて作った」という背景からだ。政府は避難関係者から「何時になったら帰ることができるのかスケジュールを示せ」と迫られ、東電に工程表を作らせたのだ。だからボトムアップ的でない。専門家や優れたマスコミはその危うさを嗅ぎ取っているようだ。
ともあれパックボットやT-Hawksのようなラジコン飛行機の力などを総動員して、前例のないオペレーションを展開する必要に迫られている。