過去3年の高値を更新した米国株式市場だが、株式を保有する人は低下を続けているという調査結果がギャラップから出ていた。
調査によると、今年の4月に株式(個別株、株式投信、401kプランや個人退職勘定で保有する株)を保有する個人の比率は54%で、1999年の調査開始以来最低となった。
株を保有する人の割合は、金融危機が始まる前の2007年に始まっている。07年の株式を保有する人の割合は65%で、08年62%、09年57%・・・と低下を続けている。
年収で見ると上位層(年収7.5万ドル以上)は87%が株を所有し、学歴で見ると大学院卒の83%、大学卒の73%が株を保有している。支持政党別では、民主党・独立系支持者は半分が株を保有するが、共和党支持者では64%が株を保有する。
一方価格下落が続いているが、長期投資の対象として一番高い支持を受けているのが、不動産で33%のアメリカ人は不動産が一番だと考えている。2番目は株式と貯蓄でともに24%。一番支持者が少ないのは債券で12%だ。
ギャラップは金融危機やそれによる損失あるいは政府の金融機関救済、証券会社のスキャンダルなどの影響で多くのアメリカ人は株式離れをおこし、相場が回復してきても大部分のアメリカ人にはその理由が分からないから、尻込みしているのだと分析している。
一方不動産については株式と同様厳しい損失を出し、明確な回復の兆しは見えないものの、多くのアメリカ人は長期的には最良の投資だと考えている。その理由は価格が大幅に下落しているので、長期保有すれば相対的に魅力的だと思われることと、株式や証券会社より理解し易いということではないだろうかというのがギャラップの分析だ。
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金融機関がフィナンシャルプランナーなどが、個人に資産運用を勧める場合「米国では株式を保有する個人が多い・・・」などという場合があるが、今起きていることはむしろ個人の株離れという現象だということは頭に入れておいて良いだろう。
個人という長期安定的な投資家が投資意欲を減退させていることは、ボラティリティの上昇要因になるだろう。
なおギャラップの分析には出ていなかったが、退職者の増加で株式保有者が減っているということもあるだろう。