日本の企業統治(コーポレートガバナンス)が、欧米諸国より低いと聞いても大部分の人は「ふーん」と聞き流すだろうが、中国より企業統治に関する外部評価が低いと聞くとショックを受ける人も多いのではないだろうか?
M&A絡みの不透明で巨額の報酬支払が問題になっているオリンパスについてエコノミスト誌はこれが日本の企業統治の問題の一例だという記事を書いているが、その中で引用していたのが、GMI(Governance Metolrics International)の国別記号統治の採点だ。
それによると日本の企業統治の評点は38ケ国中33位で、中国やロシアより低い。GMIのホームページhttp://www.gmiratings.com/Images/GMI_Country_Rankings_as_of_10_27_2010.pdf
を見ると日本より低い国はインドネシア、メキシコ、チリだけだ。GMIの評点が一番高いのは英国で、カナダ、アイルランド、米国と続く。アジアで一番評点が高いのはシンガポールでインドがこれにつぐ。概ね北欧や旧大英帝国領の国の評点が高いといえる。
企業統治には各国で色々な慣習、制度、法令があるが、「株主の利益を守り、総ての株主を平等に取り扱う」ことや「株主以外の利益関係者(債権者・商取引相手・顧客・従業員)に対して義務を守る」ことを目的として「経営陣のコントロール」と「情報開示と高い透明性」を手段とすることが骨子だろう(非常に大雑把だが)。
GMIの企業統治評価を絶対的なものだとは思わないが、海外の機関投資家が参考にしていることは確かで、日本株の一つのマイナス要因となっている。
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どうして日本企業の企業統治が進まないか?ということについては、言い古されていることだろうが、私も「日本の生え抜き役員は役員ではなく、従業員の一ステージである」であるケースが多いからだと考えている。
つまり役員になったからといって、実力者である社長や会長にchallengeすることは簡単ではない。事柄にもよるが首を覚悟するか良くても出世コースから脱線することを覚悟する必要がある。
このような構造が「取締役の事なかれ主義」を生み、大王製紙の元会長宛巨額融資問題やオリンパスの首を傾げたくなるようなM&Aにつながっていく。
もし「取締役やCEOの転職市場」が発達しているとchallengeする役員も出るだろうがそのような市場は望むべくもない。とすれば別の方法で企業統治を強化しなければならないのだが・・・・。しかし日本の大手マスコミは水に落ちた犬を叩くのは得意だが、広告スポンサーには遠慮がちだし、会計法人も当てにならない場合も多い。
一体誰に期待すれば良いのだろうか?
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ところでオリンパスのM&Aに話を戻すと、エコノミスト誌にある読者のコメントが出ていた。それによると同社がジャイラスを買収した時のオリンパス側のファイナンシャルアドヴァイザーはPerella Weinbergで、ジャイラス側のアドヴァイザーはベア・スターンズとモルガン・スタンレーで、焦点のAXESじゃないという。じゃ巨額の報酬を貰ったAXESとその子会社は何をしたんだ?ということになる。コメントはどうしてジャーナリストはこれらの先に事実を確認しないんだ?というもっともな疑問を投げかけていた。