金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国のハードランディング論、活発化

2011年10月20日 | 社会・経済

中国経済の経済成長が減速する中、中国経済がハードランディングするかどうか専門家の見方が割れている。

今日(20日)の日経ネット版(ただし無料)を見ると~1週間ほど前のForbesの引用だが~、香港の投資顧問会社の運用責任者のコン・リー博士の「中国のハードランディング論に根拠はない」という説を紹介していた。

一方FTは今週月曜日にヘルシンキのセミナーで悲観論で有名なルービニ教授が「中国のソフトランディングはmission impossible(極めて困難な仕事)だ」と述べたことと、同じ日にヘッジファンド・マネージャーのジム・チノス氏がニューヨークで「ハードランディングは既に始まっている」と述べたことを紹介している。

中国弱気論者で知られるチノス氏が昨年「中国の不動産バブルはドバイの1千倍」「中国経済は地獄へのトレッドミル」と述べた時、大部分の世界の投資家は「スタンドプレーだ」と否定した。

だがここ数ヶ月中国に対する投資家の見方は極めて弱気になっている。香港では中国株のショートポジション比率は過去2年半で最高レベルまで積み上がった。

中国に対する見方は極端から極端に振れる。経済統計は必ずしも当てにならないし、中国という巨大な国のどこに焦点をあてるかでもセンチメントは変わってくる。私見だけれども「中国に対する好き嫌いの度合い」も中国経済に対する見方に影響を与えているだろう。

FTによると中国を拠点として日々の動きを追っている評判の良いエコノミスト達の見方は短期的な見通しについてはむしろ楽観的だ。彼等の多くは中国は金融緩和と投資に焦点をあてた小規模の景気刺激策でもう一度景気を浮揚させることができると考えている。

だが短期楽観の彼等も長期的見通しとなると、高度成長と低インフレの時代は終わりつつあるとし、先行きの不透明感は高いと判断している。

ルービニ教授は「過剰投資は常にハードランディングを招く。中国のハードランディングは恐らく2013年から2014年に起きるだろう。来年の(共産党大会における)指導層の交替を前にして、政府は8%を超える成長率を保つため可能なことはなんでもするだろう」と述べていた。

私にはハードランディング論の方が根拠があると思えるのだが如何なものでしょうか?

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「偉かった」人は山に登るべし

2011年10月19日 | うんちく・小ネタ

このところ某ロータリークラブのトレッキング同好会のオジサン達と山に行くことが多い。この前の三連休は常念岳から上高地、今週末はお休み(僕は高妻山へ行く予定)だが、来週は秩父の「関八州見晴台」に行く予定だ。

オジサン達は山が好きだ。オジサン達の山は僕の指向する山登りとは少しずれているのだけれど「偉かった人は山に登るべし」と僕の信念?に沿ってお付き合いしている次第だ。

無論「偉かった」というのは揶揄である。今(正確にいうと20年位前までか?)の日本では「人間的な偉大さ」と「実社会における成功」をごちゃ混ぜにして「偉い」といっているが、恐らもう少し人生観が成熟したく英米ではそのような言い方はしないだろう。

人間的に偉大な人についてはHe is great.というが、実社会で組織に上に立った人についてはgreatとは言わないだろう。恐らくHe was successful in business.とかHe had been promoted highly.などというのではないか?

小難しいことを言ったが、一緒に山を歩いている人が人間的に偉いかどうかを論じるのがこの文章の目的ではない。言いたいことは多少なりとも社会的に成功したと思う人は第一線を引いた後は「山に(でも)登るべし」ということである。

山に登る(別に山でなくて他のアウトドアスポーツでも良いのだが)のは幾つかの効用がある。

第一に会社や組織への拘泥がなくなる。第一線を退いてからも、会社や組織のことに口出しするのは老害以外のなにものでもない。

第二に家でゴロゴロばかりしていると奥さんに迷惑がかかる。

第三に山に登ると「何でも自分でしなければならない」ということが分かる。立派な装備や豊かな食糧を買い揃えても、それを担ぐ体力がないと重荷になるだけだ。「自分のことを自分でする」という当たり前のことを修行の根本に置いたのが禅宗の教えだ。道元禅師は「修証一如」とおっしゃった。「修」とは修行のことで「証」とは悟りである。「修証一如」とは修行の結果悟りが生まれるのではなく、修行そのものが悟りだということだ。

つまり真面目に山を登るということは禅の一形態であると僕は思っている(禅宗の偉い坊さんには叱られるかもしれないが)

いずれにせよ「偉かった」時は雑事を秘書や部下が片付けてくれた。だがある意味ではそれは自分をspoilしていたのだ。山はそれを見直す良い機会だ。

第四に「健康やreputation上悪いことをする機会を減らす」ということだ。健康に悪いというと例えば過度の飲酒。山に登った後もかなり酒を飲むので、オジサン達の山登りが本当に健康に良いかどうかは疑問が残るが、山に登らずに酒だけ飲んでいるよりはましだろう。

最後は「運が良ければ神様に出会うことができるかもしれない」ということだ。昨今山登りをする人が増えたので、夏の一般道では神様に出会うことはまずなくなった。だが運が良ければ早朝や嵐の後の太陽の光の中に神様を拝むことができるかもしれない。その時天地は何と偉大で美しく、自分は何と小さいかを感じることができるなら人生の至福というべきだろう。

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オリンパス、お家騒動の緊張高まる

2011年10月18日 | ニュース

先週金曜日4月に任命したばかりのウッドフォード社長を突然解任したオリンパスの株価下落が止まらない。金曜日から3日連続で株価は下落、下落幅は1,065円になった。オリンパスの発行済み株式は271百万株だかこの3日で2,889億円相当の時価が消えたことになる。

幸いなことにオリンパスの株式は持っていないが、私はデジタル一眼レフが発売された当時から同社の一眼レフの愛好者だけに会社の行く末は気になるところだ。もっとも最近は重たいE-30は使わず、もっぱらソニーのミラーレスNEX-5を山では愛用しているが。

余談はさておき、ウッドフォード社長の解任劇については同社長がWSJに語ったところでは、解任前の水曜日に同社長が社長・CEOの立場から、菊川会長に対して「ガバナンスに関する重要な懸念」から辞任を求め、金曜日に会談を申し入れていたところ、金曜日に開かれた臨時取締役会で発言を許されることもなく、他の取締役全員の決議で社長を解任された。

ウッドフォード社長と菊川会長等との対立は、FTによると7月に始まっていた。ウッドフォード社長はオリンパスが過去に行なった買収~特に08年に英国の医療機器メーカー・ジャイラスを買収した時に、買収総額22億ドルの3分の1に近い6.9億ドルを仲介業者に払ったことに大きな疑問を感じ、菊川会長に問いただしたが、埒が明かないので、プライスウオーターハウスを雇い独自で調査を行った。

WSJによるとプライスウオーターハウスの30ページに及ぶ調査レポートは先週完成した。レポートでは「(ディールに関して)オリンパスが不正な処理をしたと結論付けることはできないが、この段階でその可能性を否定することのできない」と述べ、「潜在的に犯罪となる不正会計や取締役の義務違反が幾つかある」と指摘している。

ウッドフォード社長はFTに「私は英国の『重大不正監視局』SFO:Serious Fraud Officeに行き、総ての往復書簡やプライスウオーターハウスのレポートを提出した」の述べている。

一方オリンパス側はウッドフォード社長が社長解任後機密情報を外部に公開したことに対して法的処置をとるかもしれないと投資家ミーティングで告げた。

またオリンパスの森副社長は「ジャイラスに支払われた報酬は、ウッドフォード前社長がいう687百万ドルではなく、その半分以下だ」と主張している。

ウッドフォード前社長はお家騒動に対する今後の当局の査察を望むところだと述べている。

☆   ☆   ☆

以上が現時点で信頼できるマスコミ筋のニュースだ。気になることが幾つかある。第一に森副社長が言うようにジャイラスに支払われた報酬がウッドフォード前社長が言う数字の半分以下としてもなお15%以上と極めて高い。プライスウォーターハウスのレポートは通常の報酬はディールの1%程度と述べている。オリンパスは何故そのような高い報酬を支払ったか株主に対して説明する義務があるのではないだろうか?

オリンパス側の適切な反論はなく、数字を見る限りウッドフォード前社長の指摘にはかなり理があるように思えるのだが・・・・

次に菊川会長はオリンパスのセールスマンから15年かけて、欧州のトップに登ったウッドフォード氏を社長に任命するという「英断」を見せたが、任命時に彼がこのような内部告発を行なう可能性を考えなかったのだろうか?オリンパスはそれ程人材が枯渇していたのだろうか?

ここまでお家騒動が大きくなると日本の当局も動かざるを得ないだろう。

それにしてもデジタル一眼レフでは、すっかり影が薄くなってしまったオリンパス。ミラーレス一眼で先行したものの、こちらもニコンの進出で苦しくなってきそうだ。

お家騒動に疲弊して、カメラの開発競争でますます立ち遅れるのではないか・・・と長年のオリンパスファンとしてしては寂しい思いである。

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投資家に逃げ場なし

2011年10月18日 | 金融

昨日(17日)ドイツのショイブレ財務相は「23日に開催される欧州連合首脳会議で抜本的な解決策は見いだされない」という見解を発表し、市場に冷や水を浴びせた。これを受けてダウは2.13%下落、18日午前中の日経平均も140円ほど下落している。欧州債務危機不安が再び市場を支配した。恐怖指数とも呼ばれるVIX指数は18.2%から33.4%にジャンプ。一日の拡大幅としては8月以降最大となった。

欧州の債務危機対応に一喜一憂する市場だが、基本的には資産運用環境は極めて悪い。先週末にエコノミスト誌はNowhere to hideなどの記事で投資環境の悪さを改めて強調していた。

実際ほとんどの資産クラスは危難に満ちている。原文はfraught with danger。私はdangerを「危難」としたが、dangerには「危険」という訳もある。ただし金融用語で「危険」というとriskを想起するので「危難」とした。Riskというのは「予想したシナリオから外れる度合い」を指し、プラス・マイナス両面があるが、dangerはマイナス面だけだと私は判断している。

話がわき道にそれたが、株式は21世紀に入って10年の間に2回ベアマーケット入りをし、なお先進国のリセッションに怯えている。国債利回りはこれ以上低下の余地もない程低いレベルに下がり、コモディティは中国など発展途上国の成長減速に怯え、不動産は欧米の住宅バブル崩壊をこなしきれていない。

国債についていうとエコノミスト誌は英国国債の例をとり、現在の2.5%という利回り水準は1946年と同じレベルで、その時長期国債を買った人はその後28年間に実質価値ベースで国債価値の4分の3を失った(インフレと金利上昇が進行した)と述べる。また金については前回のピークは1980年だったが、その後20年間で価値は3分の2下落した。

株式については自明のことだが、重要なことはスタート時の配当利回りと配当の成長率だ。米国株を例に取ると配当利回りは1%で、配当の成長率については1.4%合わせて3.5%程度ではないか?という実証的研究をエコノミスト誌は紹介していた。

本格的に投資に関心のある方にはエコノミスト誌など専門誌を読んで頂くとして、より一般的な読者に自戒をこめて私が申し上げたいことは次の点である。

・世界経済が減速モードに入った状況下では、従来より資産運用利回りのターゲットをかなり下げるべきである。運用利回りのベースとなる主要国の長期金利が史上最低レベルまで低下している以上期待利回りを下げざるを得ない。僅かな利回りを求めてriskを追求するとそれはriskではなく、dangerの領域に入っていることもある。

・「先のことは読めない」と思うこと。過去に予想が当ったのはたまたまラッキーだったと考えるべきだ。

・この時期「資産運用に関する話」は眉に唾して聞くべきだ。証券会社・銀行など資産運用会社は商売のため、預かり資産を獲得使用としているに過ぎない。

コメント (2)
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柿色付く

2011年10月17日 | まち歩き

10月17日朝、通勤途上近くの生産緑地の柿が色付いていた。昨日は30度近くまで気温が上昇し結構暑かったが、季節は確実に移っている。今週末行く予定の戸隠では紅葉100%とか。

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