1月17日(木)から20日(日)まで4日間飛騨高山スキー場にスキー合宿に行っていた。その間テレビは一回も観ず新聞もロビーでちらっと見た程度。大鵬の死亡、アルジェリアの人質問題もタイトルを見た程度だ。まるで仙人の生活だった。
このスキー合宿は岐阜県スキー連盟が主催する「生涯スポーツスキー指導者講習会」というもので何十回と続いているそうだが、私は山仲間の女性スキーヤーに誘われて今回が初参加となった。合宿というと大袈裟に聞こえるかもしれないが、宿泊場所の「国立乗鞍青少年交流の家」には各地の中高生やボランティア団体がスキー研修や野外活動で来ていて、一緒に食事をし、時には一緒に風呂に入るのでまさに「合宿」だった。起床は6時半。7時に全宿泊者が体育館に集合し、国旗と所旗を掲揚し君が代を歌う。そしてラジオ体操。その後部屋や廊下の掃除。そして朝ごはん。9時過ぎから午前午後約2時間づつのスキーレッスン。夕食後のレクチュアとスケジュールは一杯だった。夕食時は未成年者も一緒なので当然アルコールは禁止だ。部屋(宿泊場所)飲みも厳禁。お酒が飲めるのは大体午後7時か8時過ぎで10時まで。消灯は10時半という規則正しい生活だった。
ちなみに団体生活が苦にならないという人はこの青少年交流の家を利用するのは安くスキーをする手の一つだ。ホームページによると一泊三食の宿泊料金は3千円弱。空いていれば個人での利用も可能だ。http://norikura.niye.go.jp/norikura/riyo/riyo_g3.html
スキー研修は生涯楽に滑ることができるスキー技術を習得しよう、というもので技術的には「内足主導」のスキーを習得することが課題だった。スキーの回転については長年外足つまり回転外側の足に乗って回ることを勉強してきたが、カービングスキーの登場によって内足つまり回転の前半(フォールラインを超える前)に谷側の足に荷重するすることで回転するという技術だ。
内足主導のスキーについては一昨年ガーラ湯沢でレッスンを受けたことがあったが、その時は谷足のエッジの切り替え技術程度に理解してしまったため、私のスキーにはスキー板の意図的な操作があると今回の研修で指摘された。
しかし長年培ってきたことを2,3日で変えるのは大変なことだ。正直なところこの合宿では内足主導のスキー感覚が少し分かった、より正確にいうと分かった気がするところがあったというところだろう。
この内足主導のスキーは、確かに足への負担が少なく、4日間滑ってもまったく筋肉に痛みはない。私たちのレッスン班の指導員は奥田さんという80歳の方だった。また約10名の班員の中で私は下から2番めに若かった。つまり大部分の人は65歳以上(つまり高齢者)の方だった。これは研修参加者約150名についても似たような傾向で平均年齢は65歳以上だったろう。
この研修に複数回参加した人も多く内足主導のスキーを習得している人も多かった。
ヘルメットにゴーグル、洒落たウエアに身を固めたおじいさん、おばあさんスキーヤーが最新のスキー技術で疾走するのがこの生涯スポーツスキー指導講習会だった。まさに暴走老人いや失礼、スキー野郎中高年の道場である。
私のように山とスキーに二股をかけている人間にとってスキーの一つの魅力は技術的な研鑽を積む余地が大きい、ということだろう。山にも技術的な研鑽を積む余地はあるが、多くの場合命の危険が伴う。従って山の世界はむしろ水平的に(地理的に)新しい世界(たとえば海外のトレッキングなど)に向かうことになる、と私は考えている。
Schi Heil!