PewResearchを読んでいたら、米国の電子図書館に関する調査がでていた。それによると16歳以上の電子書籍を読む人の12%が昨年図書館から電子書籍を借りた経験がある。
米国で電子図書館が始まったのはWikipediaによると1998年のことだ。そして2010年には公的図書館の66%が電子書籍の貸出を行なっているという。米国には約9千の公的図書館があるから、ざっと見積もって6千位の図書館が電子書籍の貸出を行なっている計算だ。
日本で電子書籍の貸出を行なっている図書館の数を調べてみたら、たったの12である(電子書籍図書館推進協議会HPによるhttp://www.bmehw.org/elpc/activity.html)
試しに図書館で電子書籍を借りてみたいと思っても、電子書籍の貸出を行なっている図書館のある行政区に在住または通勤していないとだめなので、無理である(東京の場合は、千代田WEB図書館のみhttps://weblibrary-chiyoda.com/)
もっとも図書館の電子書籍の貸出が進んでいる米国だが、まだ6割以上の人がそのサービスを知らない。Pewの調査によると、62%の人は地域の図書館が電子書籍貸出サービスを行なっているかどうか知らなかった。22%の人は地域の図書館が貸出サービスを行なっていることを知っており、14%の人は自分の地域の図書館は電子書籍の貸出サービスを行なっていないことを知っていた。
電子書籍の普及は図書館が購入する本を決める方法を変えてきた。現在アメリカの大学図書館などで広がっている方法がPDA(Patron Driven Acqusitions)と呼ばれる利用者主導型購入方式だ。これは図書目録カードをオンラインで掲示しておき(この電子的目録をOPAC=Online Public Access Catalogと呼ぶ)、一定数のアクセスが合った場合に自動的に購入する仕組みだ。
IT技術の進展は、公共サービスの利用方法を民主的でユーザドリブンなものにする一例だ。
余談だがPDAのPはPatronのPだ。パトロンは有力な後援者という意味で使われることが多いが、レストラン等の常連客もパトロンと呼ぶ。図書館の利用者もパトロンと呼ばれるが、それは常連だからパトロンと呼ぶのか、図書館の起源がおそらくパトロンが本や建物を寄贈し、そそて利用したことによるのかは知らない。暇な時に調べてみたいものである。
パソコンやタブレットなど電子デバイスの普及は進んでいる日本だが、コンテンツを活用するという点では非常に遅れていると感じたトピックだった。