金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

内定者への講話を考えています(1)~仕事ができるとはどういうことか?

2015年10月16日 | ライフプランニングファイル

来月私が顧問を務めている会社で内定者セミナーで「30分ほど話をして欲しい」という依頼を受けました。

人前で話をすることは苦手ではありませんし、相手は嫌でも話を聞いてくれる人達ですから二つ返事で引き受けました。

しかしその後、落ち着いて考えてみるとここしばらく若い人向けに話をしたことがないことに気がつき、何の話をしようか?とあれこれ考え始めています。最近私が話をするのは主に士業の方や金融機関で個人営業を行っている方向けのセミナーの場であったり、シニア層の方向けにライフプランニングノートを作成する話です。また自分が書いた本も「会社におけるリーダーシップとは何か?」(「人生という山坂の登り方降り方」)ということに関するものが多く、これから仕事を始める人にはまだ縁遠い話だ、と思われます。

またその会社は都市設計などを請け負うコンサルタント会社なので新入社員の方は理科系が多いのです。自分の子どもよりはるかに若い理科系の人達にどのような話をすれば役に立つのだろうか?と考え始めると中々チャレンジングなことだと気がつきました。

短い時間にテンコ盛り「の話をしても印象が薄くて何も残らないでしょう。恐らくこのような場合は「テーマを絞り込んで色々な角度から掘り下げる」方が良いと思いました。

まだ時間があるものですから、幾つかのテーマについてラフなストーリーをまとめてみて、しばらく寝かせた上で一番その場の雰囲気に合うものを選択する、ということでまず幾つかのテーマを選んでみました。

その第一は「仕事ができるとはどういうことか?」です。第二は「会社と社会で通用する基本行動特性とは何か?」にしようと考えています。そして三番目は「レジリエンス(逆境力)をつける」です。

さて第一の「仕事ができるとはどういうことか?」についてです。

まず私が会社に入った40年位前と較べると「仕事能力を測定する物差し」は相当変わりました。そしてこれから10年20年間に「仕事能力を測定する物差し」はまた大きく変わるでしょう。

過去40年位の間に「仕事能力の物差し」を大きく変えた要因は、「IT技術の進化」「モノつくり・サービス・金融などの国際化」「企業合併・再編などによる雇用の流動化」「家族観の変化」などです。今後の10年20年はこれらの流れが更に強まるとともに、人工知能を活用したビッグデータの利用等が加速し、かなりの仕事がなくなるあるいは大幅に削減される可能性があります。

最近新聞を賑わしているものに自動車の自動運転化があります。安倍首相は東京オリンピックまでに自動運転車を実走行させると言っています。私は完全に自動運転の車が走るのは2030年頃ではないか?と予想していますが、2020年頃に「高速道路内は自動運転する車が走りはじめる」可能性はあると考えています。

 今日(10月19日)の日経新聞朝刊の第1面は「銀行・保険が牽引して大卒内定者が5年連続で増えた」という記事です。来年4月の採用者数トップはみずほで三井住友銀行が2位、三菱東京UFJが4位、日本生命6位と上位には大手金融機関の名前が並んでいます。

オックスフォード大学のある論文は「あと10~20年でなくなる職業と残る仕事」というリストを提示しています。

それによると「なくなる職業」の第1位はテレマーケッターです。そして第5位には保険業者、10位に銀行の新規口座口座開設担当者、14位に保険金請求・保険契約代行者、15位に証券会社の一般事務員、20位に銀行の窓口係りに入っています。

大手銀行や保険会社の新入社員の多くが窓口業務や一般事務に従事するとは思いませんが、逆に多くの人が国際業務や高度な資産運用業務に従事するとも思えません。金融機関の業務に従事する相当数の人の仕事が人工知能により失われる可能性があると考えておいてよいのではないでしょうか?

一方「残る職業」のトップはレクリエーション療養士。2位が整備・設置・修理の第一線監督者、3位が危機管理責任者、10位に消防・防災の第一線監督者、12位に宿泊施設の支配人が続いています。

残る職業のキーワードは「療養士・ソーシャルワーカー・カウンセラーなど高い対人能力を求められる仕事」と「危機管理等滅多に起きないことに対する対応能力を必要とする仕事」です。

日常的に繰り返される業務をルーティン業務とすれば、滅多に起きないことはプロジェクト業務と呼ぶことができるでしょう。

ルーティン業務は早晩人工知能に置き換わります。置き換わる時間軸は業務によって異なると思いますが。

一方前例のない仕事は大量のデータを分析して、仕事をコンピュータ化することは不向きです。そこに人間の知恵や直観力が活かされると思います。

10年20年経っても、通用する「仕事力」の源泉は私は他者理解力などのヒューマンスキルと前例のないことにチャレンジし、ソリューションを見いだすチャレンジ精神や直観力にあると思っています。そしてそれらの力を着けることが社会人として「勉強する」ということなのだと私は考えています。

 

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自分を強くする山登りとは・・・

2015年10月15日 | 

登山愛好家が長生きするかどうかは分りません。あまり危険でなくかつあまりハードない登山が健康促進にプラスであることは間違いないと思いますが、多くの登山愛好家は酒好きでよくお酒を飲みますので、登山愛好家が山登りをしない人より長生きするかどうかは分りません。

しかし「目標を持った山登りを続けると自立した人生を送る上でプラスになる」と私は確信しています。残念ながらそれを裏付ける統計的なデータは持っていないのですが。

自立とは「自分でモノゴトを判断し、自分の面倒は自分で見ること」とここでは定義して置きましょう。自立するには自律が必要です。自律とは「自らを律する」ことで、私は「明確な目標を設定する」ことと「その目標を達成するために自分を鍛える」という二つの要素で構成されていると思います。

登山にはこの二つの要素があります。もちろん「目標」は年齢とともに変わります。若い時はどこそこの岩壁を攀じ登るとかヒマラヤのどこそこのピークに登るといった高い目標を掲げていた人も年とともにその目標を下げざるを得ません。

齋藤隆さんは「孤独のチカラ」という本の中で次のように書いています。

「年齢によって人生と夢との折り合いのつけ方は変えた方がいい。それがうまくできないと、自分はだめな人間、夢を実現し切れなかった人間として、結局いつまでも自己否定をしてしまう。挫折しかけた場合には、夢の方をちょっとずらしていくなど、大人の工夫が大事になる」

この「夢をずらす」というのは良い言葉と思います。だがずらすためには元の夢を高くしておく必要があると思います。またその夢を実現する力を付けておく必要があります。

山登りについていうと、若い時からやるのであれば、できるだけ困難に挑戦しておくことは大事だと思います。そしてある高みに到達しておけば、夢をスキッド(横滑り)させる余地が大きいと思います。

最近では中高年になってから山登りを始める人も増えてきました。中高年になって厳しい岩登りなどを始めることは余りお薦めできませんが、「新しいことに挑戦する」気持ちは持ち続けたいと思っています。私は近々ボルダリングを始めようと考えています。岩登りは若い時にやっていたのですが、当時はボルダリングという考え方がありませんでした。果たしてどれ位できるか分りませんが、挑戦してみたいと思っています。

楽しい山登りを続けるためには、基礎体力や筋力の維持も大きな課題ですから、時々ジムでトレーニングを行っています。

安全な登山を行うには情報収集力も大事ですし、雪山登山などではGPSなど昔無かった便利な道具を使うことも必要です。そのためには最小限のIT力も必要になります。

また仲間と楽しい山登りを続けるには「情報発信力」や「他者を理解する力」も必要になります。

自分を強くする山登りとはこれらのことをうまく統合する山登りだ、と私は考えています。

そのスタート点になるのは、やはり少し高めの目標設定でしょう。登山の目標設定には「百名山を登る」といった数値的な目標設定もあると思いますが、私はどちらかというと質的な目標設定を好みます。

夏に小屋泊まりで登った山を今度は季節を変えてテント泊でゆっくり登ってみる、などというのも質的な目標設定だと思います。

危なくない範囲でバリエーションルートを登るというのも目標設定です。そのような山登りを続けることができると良いな、考えています。

 

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世界経済の大気入れ替わりの時期

2015年10月15日 | 投資

このところ東京では秋晴れの爽やかな日が続いている。

大気が入れ替わり秋が来たことを実感する。

大気が入れ替わるといえば、投資の世界でも大きな大気の入れ替わりが起きているようだ。こちらの大気の入れ替わりは、夏ごろから顕著になってきた中国など発展途上国の景気減速だ。

WSJにRich Nations lose emerging-markets motorという記事が出ていた。日米欧の富裕国が新興国という経済成長のモーターを失うという意味だ。

オックスフォード エコノミクスによると、中国は世界の貿易の1割を占め、世界経済の成長に15%貢献してきた。ブラジル・インド・ロシアの貿易量は合計で世界の15%を占め、成長率には23%貢献してきたという。

新興国の経済成長の原動力は先進国の中央銀行の超緩和政策により、安い資金が大量に流入したことだ。

だがその流れに大きな変化が起きている。国際金融協会IIFは、過去30年の中で今年は初めて新興国から流出する資金が流入する資金を上回ると予想している。

米国経済の景気回復と雇用改善が持続すると早晩米連銀が政策金利を引き上げるとの予想から、高いリターンを求める資金が新興国から米国に回帰しているのだ。

新興国の経済規模が拡大するとともに先進国経済の繋がりが強くなったことで、新興国の経済成長鈍化は先進国にも大きな影響を及ぼす。

HSBCのエコノミストは中国のGDP成長率が2013年の7.7%から今年は7%に減速し、それは日本の成長率を0.4%減少させると予測している。

IMFは先週新興国の成長鈍化で世界経済全体の成長率は1997-98年のアジア経済危機以降で最も低くなるという見通しを発表した。

世界経済の大気の入れ替わりの中で頼りになるのは、大きな国内市場を持つ米国だが、昨日ウオールマートが発表した利益予想は投資家の予想を下回るもので、株価は10%近く下落した。ウオールマートが利益予想を下げた理由は従業員給与の上昇とeコマースへの投資負担が拡大することだった。

賃金の上昇は短期的には企業収益を圧迫するが、長期的には購買力の上昇を通じて経済成長を下支えするが、投資家としてはそんな悠長なことは言ってられないというところだろう。

恐らくこの世界経済の気圧配置は2,3年は続く可能性が高いと私は考えている。

 

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日経新聞執筆者・河原田司法書士のお話を聞いてみませんか?

2015年10月14日 | 相続

日経新聞をお読みの方であれば、大阪の司法書士・河原田慶太さんがお書きになった相続関係の記事を見られたことがあると思います。最近では「マイナンバー制度が拡大し、預金口座とマイナンバーの紐づけが進むと税務署が相続財産を各段に把握しやすくなる。また相続人も被相続人の預金を簡単に把握できるようになり、故人の資産調査を取り巻く環境は激変するだろう。環境の変化は新しい相続争いにつながるかもしれない」という記事がありました。

その川原田さんが一般社団法人 日本相続学会が11月12日-13日に愛知県犬山市モンキーセンターで開催する研究大会で事例発表を行われます。

テーマは「公正証書遺言と特定贈与」「遺言書作成のアドバイザリーと執行者の立場の利益相反性」などです。

相続問題にたずさわるプロフェッショナルの方にも関心の高いテーマだと思います。

まだ若干参加枠が空いていますので、ご希望の方はこちらからお申込みください。

また今月からスタートするマイナンバー制度と相続のお話については、学会では来年1月28日に特定個人情報保護委員会の事務局に勤務されている鈴木涼介税理士から講演をして頂く予定を立てています。

マイナンバーが新しい相続トラブルを生むかどうかは現段階では分らない、と私は思っています。現段階では相続人が故人のマイナンバーを使って金融資産を調べることは無理(3年後に証券会社口座がマイナンバーに紐づけされても)だと私は判断しています。

しかし課税当局の資産把握能力が飛躍的に高まることは間違いないでしょう。それに合わせて相続財産を残す立場の人も資産の一元的管理(たとえばアカウントアグリゲーション)を進める必要があると思います。

マイナンバー制度は個人資産のシステム的な一元管理を日本でも推し進める一つのきっかけになるのではないか?と私は考えています。

 

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越後の民宿・雲天を推奨します

2015年10月13日 | 旅行記

10月の3連休に連泊した越後の清水の民宿・雲天を推奨したいと思います。

越後湯沢に近い清水街道の終点・清水集落の入り口にある民宿・雲天は登山愛好家にはなじみの深い宿です。

宣伝すると更に多くのお客さんが来て私の予約が取りにくくなる懸念はあるのですが、この連休2日にわたってお世話になったので宿のために紹介しておきたいと思います。

建物は一世紀前の庄屋さんの家を25年前に移築したもので立派の一言に尽きます。

玄関に近いところには大きな炉端があり、ご主人が夕食に鮎を炭火で1時間かけて焼いています。炉端に座っていると時間がゆっくり流れます。

夕食は山菜・キノコ・地物の野菜と鮎です。これが地酒に合ってお酒が進みました。

二泊目に「地物ならイノシシ鍋でもないの?」とご主人に聞いたところ、雪が深くてイノシシはこの地では暮らせないということでした。一見愛想のないご主人ですが、本当はとても親切なお方です。車で入山しない単独・少数の登山者を登山口まで送ってくれるなどサービス満点です。

普通朝発つ時に宿代を払うのですが(山小屋では到着時支払が普通)、ここではお帰りの時に払ってくださいと言われました。何故なら登山者の人が無事に下山したかどうか確かめるためです、とおかみさんは言いました。

世知辛い世の中心配になる位、気持ちの良い方が経営されている宿です。

清水は名峰・巻機山の麓の集落ですから巻機山登山の方が多く泊まります。でも常連の方は近郷の八海山登山の折りにもここに泊まられる方も多いとか。

また厳冬期の巻機山は登山に適さない時期ですが、この宿を愛する人はスキーツアーの宿泊場所としても利用されるようです。

私は登山をされない方が泊まれられても、落ち着いた一夜を過ごすことができる良い宿だと思いました。

ここで提供されるお酒は八海山を始め地酒です。これが美味しい。南越後を旅するなら立ち寄ってみたい宿だと思います。

ということで目一杯宣伝しましたが、このブログを見てお客様が増えるて私の予約が難しくなると大変だ(そんなことはないか?)と多少危惧しています。

 

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