公式情報ではないが、CNBCは事情通からの情報として「アマゾンが貸付プログラムでバンクオブアメリカ・メリルリンチと提携した」と報じていた。
ネット販売最大手のアマゾンが提供する貸付プログラムというのは、出品者に対する在庫金融で貸付金額は1千ドル~75万ドル。広く宣伝しているプログラムではなく、アマゾンから勧誘を受けた業者だけが受けることができる与信プログラムである。
アマゾンの年次報告書によると、昨年末の残高は692百万ドル(約740億円)。アマゾンの商い高から見ると小さい金額である。
また融資残の伸びもこのところ鈍化しているようだ。
貸付金利は年6%~14%のレンジで、銀行借り入れが困難なスタートアップ企業には助けになるかもしれないが、企業が少し大きくなって銀行から有利な条件で融資を受けることができるようになると使いたくない高金利だといえる。
またアマゾン側も融資で利息収入を伸ばすことよりも、出品者のアマゾンでの売り上げ増を応援することでコミッションを伸ばすことに関心があると言われている。
そんな訳でこの情報だけでは、何か大きなビジネスが起きると判断するのは早計かもしれない。
しかしもう少し時間軸を長く取って考えると「アマゾン銀行」というのは成長性の高い銀行モデルの一分野であるとも思われる。
何故ならアマゾンは自社のプラットフォームに出品する業者の「売上データ」と「入金フロー」を完全に押さえているからだ。
アマゾン銀行は「クラウド型」銀行と呼ばれる銀行の未来像の一つで、この分野は伝統的な銀行よりデータと商流を押えているネット企業が強いと言われている。
今後アマゾン・バンカメの提携がどのような形で具体化していくのかという点は金融業の将来像を考える上で興味深い。