金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

当面の株価変動では「資産効果」に影響はない?

2018年02月08日 | 投資

昨日の米国株式市場も振幅の大きな相場だったが、それなりに落ち着きは取り戻しつつあるようだ。WSJの記事も足元の相場の話よりは、少しのんびり?した話が目に付いた。

その一つが「株価の変動は消費者にどのような意味を持つのか?」という記事。

記事はまず「資産効果」の限界消費性向の具体的数値に言及する。資産効果とは株式などの資産価格の上昇(下落)が個人消費を増加(減少)させる効果を指す。

資産効果は広く認められているが、実際100ドルの資産増加があった時、消費がどれ位増えるかという金額の話になると、かなり意見が分かれている。ムーディーズのアナリストは4.5ドルといい、WSJの調査では12ドルと述べている。

日銀は2016年4月の展望レポートで「先行研究によると100円の資産価値の増減に対して個人消費は2~4円変動する」と述べているから、ムーディーズの意見に近い。

ムーディーズは、米国の家計資産(住宅と株式)はリーマンショック後20兆ドル増え、資産効果により消費支出が9千億ドル増えたと推計している。仮に資産効果がなかったとすると経済成長率は0.5%低下していたことになる。

しかし具体的に資産価格の変化がどのように家計支出に影響を与えるか?ということになると話は少々複雑である。

所得上位10%の層の株式保有額の中央値は36.3万ドルで20年前の20万ドル(インフレ調整後)から8割以上増えている。この層がもっとも株価変動の影響を受けそうだが、この層は株価が変動してもそれを吸収する余力があるので急に支出を抑えたり、逆に支出を急に増やすことはないという。

所得中位20%の層になると、平均株式保有額は1.5万ドルなので、資産効果の家計に及ぼす影響は小さい。またこの層の48%の家計は株式を保有していないから資産効果の影響は受けない。

この記事を読む限り、多少株価のブレ幅が大きくなっても、すぐに個人消費に大きな影響がでることはなさそうだ。

記事では言及されれいないが、ひょっとすると米国の資産効果は株価よりも住宅価格の方が大きいのではないか?と考えたりする。

何故なら個人による株式投資が盛んだといわれている米国でも株式を保有している人の割合は限られているのに対し、住宅を保有している人ははるかに多いからだ。住宅価格の限界消費性向などという研究があれば読んでみたいと思う。

 

 

 

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米国株、反発。まだ方向感は分からないが・・

2018年02月07日 | 投資

月曜日(2月5日)に史上最大の下落を経験した米国株は昨日(2月6日)最終的に大きく上昇した。

ダウは567ポイント、2.3%上昇した。だが昨日の取引は日中に1,200ポイント近い値幅の中で29回も上下したというから、投資家・投機家の思惑が交差するせわしない相場だったようだ。

WSJはこれまで買い場のなかった株価急落を絶好の買いのチャンスとして個人投資家がオーダーを出したなどというエピソードを報じている。だがまだ相場は下落すると思い、買い控えている人もいるだろうから、底入れしたと判断するのは早過ぎるだろう。

ところでWSJは「米株急落の背景に低ボラティリティに賭けた取引があった」という見方を示していた。株価の変動幅が下がると先物市場のボラティリティ価格は低下する。将来価格が下がると予想する投機家は、今売って安くなった時に買い戻して利益を上げようとする。

株価ボラティリティについては更に低下することを期待する投機家が売り建てていたが、先週後半から株価が急落する中でボラティリティが急上昇し、損失拡大を恐れた投機家が争ってボラティリティの買いに走ったため、相場の振幅を拡大した可能性があるというのがWSJの解釈だった。

野村証券は一昨日ボラティリティと逆連動する上場投資証券を早期償還すると発表している。この商品は株価変動幅が大きくなり、ボラティリティ価格が上昇すると価格が下落する。価格が大幅下落した場合、早期償還することがあるという規定に基づき、早期償還が決められた訳だが、償還額は前日の時価総額の僅か4%にとどまるらしい。

このことは瞬時にして価値が大きく損なわれるデリバティブ商品の恐ろしさを改めて教えてくれる。

一方儲けは大きくないが、現物株の投資を続けている投資家にとって今回の相場はそれほど慌てる必要はないと私は考えている。

それは先週来の株価急落が早過ぎた相場上昇の反動であり、世界経済や米国のファンダメンタルは底堅いからだ。

そのシナリオを信じるならタイミングを見て、インデックス投資であれば米国株に投資するのが本筋だ。なぜなら米国株式相場を見て振幅を繰り返す(時には増幅して)日本株というのはある意味で米国株の派生商品(デリバティブ)とみなすことができるからだ。

もし個別銘柄を物色するなら世界的な競争力を持った企業を買ってみたいと私は考えている。株価の一時的な下落がそのチャンスを提供してくれるならそれは歓迎するべきことなのである。

 

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「40歳を過ぎても『会社で必要とされる人』読まないけれどギョとする題の本

2018年02月06日 | うんちく・小ネタ

時々日経新聞から書籍の案内メールがくる。あまり読むことはないが、今日のメールに「40歳を過ぎても『会社で必要とされる人』でいるための学ぶ技術」(日経BP社)という本のタイトルを見てギョとした。

私にとって40歳などはるか昔の話だし、今更会社で必要とされる必要もないから絶対に読むことのない本だが、タイトルにはギョとする。

我々が現役で働いていた頃「55歳過ぎたら使えない」といった漠然とした感覚はあったが、使えなくなる年齢が15歳も低くなっていることに驚いた。

「55歳過ぎたら使えない」と書いたがそれは個人の能力や体力からくる話ではなかった。それは昔55歳位になり管理職になると下から上がってくる申請を決裁するだけの人が多かったからである。

40歳位の人は働き盛りで、手も口も動かす人が多いはずだ。決してハンコを押しているだけの人ではないはずだ。ではなぜ必要とされなくなるリスクがあるのだろうか?

あまり深く考えだすと私にとって読む必然性のない本を読むことになってしまうので、深く考えることは止めるが、要は人工知能の進化など大きなパラダイムシフトが起こっていて、それを押さえておかないと「会社で必要とされなくなる」危険性があるということなのだろうと直観している。

「65歳を過ぎても社会で必要とされる人」というタイトルの本ならすぐ買ったのだが・・・・

 

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e-tax申告を修正する

2018年02月06日 | デジタル・インターネット

確定申告の時期である。紙ベースの申告書の受付は2月16日から3月15日の間(還付申告はその前でも可能)だが、e-Tax(電子申告)は1月15日から受け付けている。

2月16日以降になると電話窓口(相談することがある場合)が混むので私は2月初旬には電子申告を行うことにしている。

今年も今日電子申告を行った。ところが最初に送った電子申告にはワイフの年金受取額に間違いがあったことを送った後で気が付いた。

誤っていても配偶者控除額に影響はなくつまり税額に変わりがないのだが、万一後で誤りを指摘されるのも面倒なので、修正することにした。

修正方法は簡単で再度e-Tax申請データを開き、修正する箇所に正当金額を入れて作成完了ボタンを押して作業を終了し、再度送信するだけである。

なお念のため所轄税務署に電話をし「後から送った分が正当です」と伝えた。税務署の担当者は「ご丁寧にありがとうございます」と返事をしてくれたが、特に連絡をしなくても後から送られた申告書を修正済ということで扱うそうである。

このことは後でインターネットを調べると国税庁HPにちゃんと書いてあった。

 忙しい中国税庁の方にはお手間をかけてしまった。でもホームページに申告データの訂正方法が書かれているということは、誤って申請する人が多いということではないか?と妙に安心した次第。

電子申告自体は源泉徴収票や医療費領収書のデータを入力していくだけの作業で面倒ではあるが難しいものではない。

しかし面倒なことは結構面倒だ。

聞くところでは、個人番号が普及している北欧諸国では、個人番号を利用して課税当局が各個人の「確定申告書」を作成し電子的に配信してくれるらしい。

納税者はこの確定申告書に修正箇所がなければそのままOKを押す。また修正箇所がある場合は修正の上返送する。これを記入済申告制度というそうだ。

便利な制度である。マイナンバーを普及させるつもりなら頑張ってそこまでやって欲しいものである。医療費の紐づけは大変そうだが、年金や生命保険などの紐づけは少し頑張ればできない話ではないだろうと私は思っている。

 

 

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ダウ1,175ポイント、史上最大の下落。犯人はアルゴリズム?

2018年02月06日 | 投資

昨日(2月5日)ダウは1日の動きでは史上最大の下落を経験した。米国株は3市場とも大幅下落でダウは4.6%、S&P500は4.1%、ナスダックは3.78%下落した。

昨日は相場に影響を与えるような指標発表やニュースはなく、午前中の一時的な株価上昇の後、だらだらした相場が続いいていたが、午後2時40分頃株価は急落し、ダウは1,600ポイントほど下落した。その後押し目買いが入り最終的には1,1175ポイントの下落となった。

幾つかの記事を読むと引け際の急落はアルゴリズム取引が引き起こした可能性が高いようだ。

それはさておき、先週から続いている株価急落でダウの今年の成績はマイナス1.5%となった。

私は先週金曜日の株価下落について「冷静に?下落」とブログに書いたが、昨日の下落はパニック的な売りによるものだったようだ。

実際のところ昨日は10年債に買いが入り、利回りは金曜日の2.85%から2.79%に下落したが、そんなことはお構いなしに株は売り込まれたようだった。

だが冷静に考えてみると、「合理的な説明がつかないほど急速に株価が上昇した相場」の反動として「合理的に説明がつかない急落」が起きても不思議ではない。

実行犯はアルゴリズムかもしれないが、真犯人は相場に乗り遅れまいとする投資家の欲と恐怖心なのである。

 

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