WSJによると米国最大級の地銀の持ち株会社US.Bancorpは、全米約2,800拠点で次長(原文はassistant branch manager)とテラー責任者(調整役)(原文はteller coordinator)の削除に取り組んでいる。
同社の報道担当者は、このリストラで影響を受ける従業員の人数を明らかにしていないが、全従業員の2%以下だろうとコメントしている。
同社の総従業員は7万4千人なので2%は約15百人に相当する。支店数2,800から考えると首を切られる次長の数が少ないような気もするが、元々次長職を置いていない支店も多いのだろう。ただしその辺りのことは記事には書いていないので想像するしかない。
同社のCecere社長は従業員向けのメモで「今回のリストラで影響を受ける従業員(Bankerと呼んでいる)は長期間この会社で働き、会社の成功に貢献してきた。(しかし)顧客の行動が変化しているのである。」と述べている。
同社は今春2021年の年末までに支店の10~15%を閉鎖すると発表していて、今年既に140店舗を閉鎖している。
次長職など管理系スタッフの削減を進めるBankcorpだが、一方で顧客とのリレーションシップマネージャーなどより顧客に焦点を当てたポジションの採用を発表している(ポジション数は公表していない)。
日本の銀行であれば、次長職やテラー責任者を解雇せずにリレーションシップマネージャーへの配置転換を進めるのだが、職務的採用を行っている米国の銀行はあっさりしたものである。故にリストラの速度は速い。
もっとも実態面では、解雇対象の次長職などが新規採用のリレーションシップマネージャー職に応募することは可能だろうが、その辺りの具体的な話は記事にはでていない。
「顧客行動」という最大の環境要因に対応できるかどうかに銀行が生き残れるかどうかはかかっている。これは銀行に限った話ではないが。