金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

徒然草を読む(23)~良い細工は少し鈍い刀で

2020年06月20日 | 本と雑誌

徒然草第二百二十九段は技と道具の話だ。

「よき細工は、少しにぶき刀を使ふといふ。妙観が刀はいたくたたず」

意味は「腕の良い細工師は少し切れ味が落ちる小刀を使うという。彫刻の名人、妙観の小刀はあまりよく切れない」ということだ。

さて兼好法師のこの意見が職人さんと刃物の関係すべてに当てはまるかどうかはわからない。怪我すると危ないと思って切れ味の悪い包丁を使うとかえって怪我をするという話を聞いたことがあるような気がする。刃物が切れないと力が入り過ぎ勢い余って怪我をすることがあるようだ。

要は自分の技量や使い方にあった切れ味の刃物を使うのが一番良いということなのだろう。

切れ味というと人を使う上で「カミソリのように頭の良い人間を使うか?」「カミソリほどには切れないが、少々のことでは刃こぼれしないナタのような人間を使うか?」というのは人事の要諦のような気がする。

私は後者のような人材の方が好きだ。カミソリのような人間は机上の計画が順調に進んでいる時は強みを発揮するが、想定外の事態が発生すると対応力が落ちることが多い。ストレス耐性が低いのだ。

細工物に少しにぶい刃物が良いかどうかはケースバイケースだろうが、ビジネスパーソンは切れ味が鋭過ぎるより少し切れ味が鈍いところがある方が良い。なぜならそういう人間の方がストレス耐性が高いし、敵も少ないからだ。贅沢をいうと「鈍いところがある」よりは「鈍いところがあるように見える」のが最高なのだが。

ところでコロナウイルス感染防止で自宅籠りの時間を利用して徒然草を読み返していた。読み返したすべてをブログに紹介した訳ではないが、紹介した部分をマインドマップで示すと次のようになった。

カテゴリーは私が勝手に分類したものだが、兼好法師の関心事が多岐にわたっていることが改めて分かる。また650年ほど後の現在読んでも共感する部分が多いし、話の進め方など参考になるところも多い。

コロナ騒動も人生万事塞翁が馬である。

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混乱必至のマイナポイント事業

2020年06月19日 | デジタル・インターネット

鳴り物入りでスタートしたキャッシュレスポイント還元が予定どおり6月末に終了する。

次に総務省が準備を進めているのが、9月から始まる最大5千円相当のポイントが決済業者を通じて付与される「マイナポイント事業」だ。総務省ホームページに沿って「マイポイント事業」の流れをみると次のようになる。

①マイナンバーカードの申請と取得  ここでは省略

マイナポイントの予約(マイキーIDの取得) 手続き受付中

  A.スマートフォンでの予約 スマートフォンでマイナンバーカードを読み取る 

  B.パソコンでの予約 カードリーダーでマイナンバーカードを読み取る

③マイナポイント申し込み 

 キャッシュレス決済サービスを一つだけ選択 7月から

④チャージまたは買い物 2020年9月~2021年3月

さて今朝私は「マイナポイントの予約」を行ったが、これが結構手間取った。

最初はスマートフォン(アンドロイド)でポイントの予約に取り掛かった。手順はGoogle Playで「マイナポイント」アプリをインストールする。これはOK。ところが次の「スマートフォンでマイナンバーカードを読む」で進まなくなった。

マイナンバーカードの読み取り方は機種ごとに異なるので、別のページから私の機種の読み方を調べて再挑戦したが駄目。機種とバージョンが読み取り可能であるかどうか再チェックしたが問題なさそうであった。しかしマイナンバーカードを読み込むことができない。「非接触型接続の場合は原因不明の不具合も起こりうる」と判断して、PCで挑戦することにした。

こちらで手間がかかるのは、ブラウザをInternet Exploreに切り替えないといけないことだ。私は日頃はクロームを使い、場合によっては(OneNoteを使う時など)はEdgeを使っていてExploreは使っていない。そこでアンダーバーの検索窓口にInternet Exploreと入力してExploreを呼び出して作業を行った。

マイキーIDを予約する時にパスワードの設定を求められる。このパスワードは半角で大文字小文字数字を取り混ぜて8桁で設定する必要がある。マイナンバーカード関連では電子申告などに使う「利用者識別番号」登録の暗証番号もある。こちらは当初の指定が半角英数小文字で大文字は使っていない。

ということで少々手間取ったがなんとか「マイキーID」を取得することができた。

自分でマイキーIDを取得して感じたことだが手間がかかるということだ。総務省HPには「マイナポイントの予約を全国各地に設置してある支援端末で行うことができます」とあり、自分自身のデバイスでマイナポイント予約ができない人をサポートする姿勢を示している。ちなみに私の住む市町村の支援端末は市役所にあるようだ(HPによる)。

以下は私の推論であるが、PCやスマートフォンからマイナポイントを予約しようとトライして手こずる人は多いと思う。これはオンラインの定額給付金申請がスムーズに行かなかったことで実証されている。自分のデバイスで登録できなかった人が市役所に大勢押しかける状況を想像すると3密が怖くなってくる。

ITの達人クラスの人なら問題はないだろうが、普通レベルのユーザーの方は少し早めにマイナポイントの予約をされることをお奨めしたい。

 

 

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コロナ対策ワクチン・治療薬開発を応援しよう

2020年06月18日 | 健康・病気

東京では明日(6月19日)から大規模なイベントを除いて、飲食店などの自粛要請は全面的に解除されます。

一方東京都の関係者によると今日新たに41名の人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。一日の感染者が40名を超えるのは今月15日以来のことです。社会的・経済的な活動はコロナ前に戻りつつありますが、ワクチンや治療薬が開発されるまで安心することはできません。

外食や旅行ができずにセーブしたお金があればその一部をワクチン・治験薬の開発支援に寄付してみませんか?

コロナリスクのない明るい社会を取り戻すことを目指して。

 

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徒然草を読む(22)~友人に向くタイプ向かないタイプ

2020年06月16日 | 本と雑誌

徒然草第百十七段は「友人に向くタイプ向かないタイプ」を論じている。

この段はシニアになってから読むとなるほどと合点がいくところが多い。

兼好法師は「友とするにわるいもの」として7つあげている。

  1. 地位や家柄があまりに高い人
  2. 年の若い人
  3. 病気一つしたことのない頑強な人
  4. 酒好きの人
  5. 威勢の良い武士
  6. 嘘をつく人
  7. 欲が深い人

会社勤めの間は社内外の地位の高い人と付き合うことも必要な場合があるが、シニアになれば最終職位が同じレベルの人と付き合う方が気楽だ。現役時代地位が高かった人はその名残で酒を飲むにしても高い店で飲むことが多い。自分と同じ経済レベルの人間と付き合うのが気楽でよい。

兼好法師は若者・頑強な人・威勢の良い人を避けている。シニアになると元気一杯の人より病の経験のある人の方が思いやりがあるので友とするのに良いだろう。嘘つきや欲張りが敬遠されるのは古今変わることがない。

良い友の条件は3つだ。

  1. 物をくれる友
  2. 医者
  3. 知恵のある友

このとおりだと思う。ただし相手にも選ぶ権利がある。つまりこちらが3つの条件の一つは満たしていないと友達になって貰えないだろう。この中で一番簡単なのは「物をあげること」だ。少し広げて考えると世話好き・援助好きでいることだ。ちょっとした貰い物があった時などご近所におすそ分けすることなども身の回りに良い友を作る道だろう。

物も情報も欲しがると集まらないが、こちらから与えると自ずから集まってくるものである。

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コロナによってビジネス慣行は変わったか?

2020年06月15日 | 資格・転職・就職

今朝の電車はかなり混んでいた。本格的にオフィス通勤者が戻ってきたようだ。東京では今週金曜日から接待を伴う飲食店やライブハウスの営業再開も可能になったので、今日月曜日から会社へ向かう人が増えているのだ。

4月7日の緊急事態宣言から約2ヵ月経過した訳だが、この2ヵ月という日数は人間の行動が変わるかどうか?という点では微妙に日数だ。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで行われたある研究によると人々の習慣が変わるのに要した日数は平均66日だった。変化の対象となった習慣とは毎日果物を食べるとかジョギングなど運動をするというものだった。2ヵ月という自粛期間が人々の習慣を変えるほどの長さであったかどうかは微妙だ。

おそらく軽い習慣の中には変わったものもあるだろう。だが根っこの岩盤のような習慣は簡単には変わるものではない。例えば我々は群れることに慣れている。あるいは群れることに慣らされてきた。だから多くの人は会社に行って群れて仕事をすると落ち着き、自宅で一人で仕事をすることが続くと落ち着かなくなるのではないだろうか?

コロナが社会に与える影響については経済評論家の池上彰氏が今日あるオンラインセミナーで「コロナは社会の変化を加速させた」と述べていた。具体的には「少子高齢化により、数年後には宅配が普及すると見込まれていたがコロナにより普及速度が格段に早まった」という例をあげていた。

しかし変わろう、変えようとしても中々進まないのは、コミュニケーション、仕事の進め方、人事評価などの問題だ。これらの問題は2カ月程度で変えられるものではない。日本の社会は非テレワーク型の社会なのである。

これに較べてアメリカは元々テレワーク型の社会である。国土が広く、コミュニケーションは電話やメールで行われることが多く、face to faceの会議は重要な節目に行わるだけだ。個人個人の守備範囲は明確で、自分の仕事を片付けたらさっさと帰ることが定着している。

だが国土が狭く、face to faceの打ち合わせが習慣化している日本ではテレワークが定着するには時間がかかる。満員電車を我慢しても、オフィスに集まることを選択する人が多いということはビジネス慣行が簡単に変わらないことを示唆している。

行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば人格が変わり、人格が変わると運命が変わる、いう言葉がある。

逆にいうと行動が変わらないと習慣も変わらず運命も変わらないということだ。

 

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